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【状況別】ユーティリティの打ち方・活用方法|左足上がり&左足下がり

解説/小川泰弘プロ

2020/03/12 ゴルフサプリ編集部

ユーティリティクラブは用途がとても広く、色々な場面で活躍してくれるクラブだ。フェアウエイやラフのショットはもちろん、トラブルから確実に脱出させたいリカバリーショットでも効力を発揮する。ユーティリティクラブの上手な活用法を小川泰弘プロがレクチャー。

教える人・小川泰弘プロ

おがわ・やすひろ。
1972年9月5日生まれ、東京都出身。1999年プロ入り。
昭和の森ゴルフアカデミーで幅広い年代層をレッスン。実戦的でわかりやすい指導法に定評があり、これまでにレッスンしたゴルファーは2500人を超える。

ユーティリティクラブの機能を生かすには、斜面に沿ってスイングしやすい構えをつくろう

多くのゴルファーが経験で知っているように、たいていのゴルフ場は平坦な場所は少なくて傾斜地からのショットが要求されるケースが多い。傾斜地もトラブルのうちだから無理は禁物。でも、ちょっと距離が欲しいなというときはユーティリティクラブの選択もアリだ。

体重移動を抑えてコンパクトに振ることが条件

傾斜地からロングショットを打ちたいときは、何といってもユーティリティクラブ。フェアウェイウッドは難しいので避けるべきですが、フェアウェイウッドよりもシャフトが短くてミドルアイアン感覚で打ちやすいユーティリティクラブなら対応できます。

ただし、条件がいつくかあります。

・距離を欲張ってクラブを振り回さないこと
・下半身を安定させて構え、体重移動を抑えてスイング
・まともにスイングできないほどの急斜面の場合は避ける

フルスイングはしないで、トップとフィニッシュを低い位置に止める気持ちでコンパクトに振りましょう。フルスイングの振り幅と力感を10とすれば6〜7くらいのイメージです。

打つ前にボールの近くで素振りを数回繰り返し、ユーティリティクラブでも体のバランスを崩さずに打てるかどうかとチェックしましょう。

急斜面のときはユーティリティクラブを持つのはやめて、9番アイアンよりも短いクラブで打ちましょう。

アドレスは体の上にいくほど水平に近づける感覚

アマチュアゴルファーの皆さんもご存知のように傾斜地には左足上がり、左足下がり、ツマ先上がり、ツマ先下がりの4つがあります。

アドレスやスイングのポイントはそれぞれ異なりますが、対策法を頭に入れておくとユーティリティクラブの機能を最大限に生かすことができ、ミス防止にも役立ちます。

最初に左足上がりの打ち方のポイントを説明しましょう。

アドレスは基本的には斜面と平行に立つ感じですが、両肩を斜面と平行にセットしようとして上体が右に傾いてしまうのはよくありません。

バックスイングで上体が右に流れて、ダウンスイングで元に戻そうとして上から打ち込んでしまうことになりやすいためです。これではクラブが抜けなくなり、ダフリが生じます。

また、斜面に逆らったアドレスもNGです。この場合はバックスイングで左肩が下がりやすく、その反動によってダウンスイングでは右肩が下がって左半身が伸びてしまいやすいのです。結果はトップやチョロです。

斜面と平行に立ちすぎるために下からすくい上げるようなスイングとなったり、斜面に逆らった構え方のために鋭角に打ち込んでしまうパターンもありますが、反動の動きが起こるためにミスしてしまうケースのほうが多いのです。

両ヒザのラインは斜面と平行ですが、腰のラインが水平に近くなり、肩のラインはほぼ水平にセットしましょう。体の上にいくほど水平にするというイメージです。

ボールの位置は平地からのショットよりもボール半個ぶんから1個ぶん内側です。フルショットを避けてコンパクトに振るためにもクラブを少し短く持ちましょう。

体重は低いほうの右足に多めに乗ってきます。自然と右足体重となるので、意図的に右足に体重を乗せようとしないこと。上体が右に傾き、右肩が下がりすぎた構えとなりやすいからです。

両肩のラインをほぼ水平にセットするため、左ヒザを右ヒザよりも少し深く曲げます。この姿勢が左足上がりの斜面にマッチしたバランスのいいアドレスです。

両ヒザのラインは斜面と平行だが、両肩のラインは水平にセットしよう
体の上にいくほど水平に近づくという感覚。ボールの位置は通常より少し内側
両肩を斜面と平行にするとバックスイングで上体が右に流れて、ダウンスイングで上体が突っ込みやすい
斜面に逆らったアドレスではバックスイングで左肩が下がり、ダウンスイングで左半身が伸びやすい

左足上がりは右足体重が基本だが、左足の踏ん張り感覚も大切

スイングに関しては、体重移動を抑えてコンパクトに振ります。下半身をできるだけ固定しておく範囲でスイングしましょう。

アドレスでは右足6、左足4くらいの割合で右足体重に構え、右足を軸にしてスイングするイメージです。結果的に斜面に沿ってクラブを振り抜くことができます。

アイアンよりもソールが滑りやすいユーティリティクラブの機能を最大限に発揮でき、グッドショットの確率がアップします。

ただし、ダウンスイングからインパクトにかけて右足への荷重が強くなってはいけません。右足に体重が6から8〜9まで乗っては、すくい打ちになってしまいます。

ダウンスイングからインパクトにかけて右足への荷重を6から5に減らし、左足への荷重を4から5に増やすイメージを持ちましょう。

要は、左足を踏ん張る感覚が大切なのです。ショットの前の素振りで左足を踏ん張りつつ、クラブを振り抜くポジションをしっかりチェックしておきましょう。

体重は低いほうの右足に自然に多めに乗るが、左足を踏ん張っておく意識が必要だ
基本的には右足体重のままでスイング。インパクトでは左足への荷重を少し強めて斜面に沿ってスイングするのがコツ

左足下がりは低いライナーを打つイメージで振ればミスしない

次に左足下がりの斜面の打ち方のコツです。この場合も斜面と平行に立ちすぎてはダメですし、ボールを上げたい気持ちが強すぎて斜面に逆らった立ち方になってもいけません。

左足上がりと同様、両ヒザは斜面と平行ですが、両肩は水平にセットしましょう。体重は低いほうの左足に自然と多めに乗ります。体重配分は左足6、右足4のイメージです。

両肩を水平にセットするために、右ヒザを左ヒザよりも少し深く曲げます。ボールの位置は通常よりも半個から1個ぶん内側。コンパクトに振るためにもクラブを少し短く持ちましょう。

斜面に逆らった構え方ではバックスイングでクラブをインサイドに低く引きすぎて、その反動によってダウンスイングではクラブがアウトサイドから下り、インパクトでは上体が突っ込みやすくなります。

斜面と平行に立ちすぎた構えの場合は、バックスイングで頭が下がり、ダウンスイングはその反動で上体が起きてしまいやすいのです。

斜面に逆らった構え方のために下からすくい上げてしまったり、斜面と平行に立ちすぎて鋭角に打ち込んだりするパターンも見られますが、いずれにしてもバランスのよくないアドレスはミスショットの原因となります。

スイングのポイントはアドレスの左足体重のまま、斜面に沿ってクラブを振り抜いていくことです。

左足上がりもそうですが、クラブを振り抜いていくほうの左足をしっかり踏ん張ることがとても大切。とくに左足下がりのショットは左足を軸にしてスイングするイメージとなりますから、左足上がり以上に踏ん張り感覚が重要となります。

ボールを打ち終えたら、右足を目標方向に一歩踏み出すつもりでスイングしましょう。左足が踏ん張れていれば、簡単にできるはずです。

左足下がりの場合は構えたときにクラブのロフト角が立つため、ボールが低く出て行きますが、最初から低いライナーを打つ気持ちでスイングするのがコツ。ボールを正確にとらえやすく、適正の角度で上がりやすくなります。

そのためにも打つ前の素振りで、クラブを低く振り抜いていくポジションをしっかりと意識しましょう。

ユーティリティクラブを2〜3本持っている人でしたら、ロフト角が一番多いクラブを持つことをオススメします。

左足下がりも両ヒザは斜面と平行で、両肩のラインは水平にセット
体の軸を傾けすぎないようにバランスよく構えるのがコツ。ボールの位置は通常よりやや内側
斜面に逆らった立ち方ではダウンスイングで上体が前に突っ込みやすく、ダフリや引っかけなどの原因となる
斜面と平行に立ちすぎるとダウンスイングで左半身が伸びてトップやチョロ、シャンクなどのミスが出やすい
アドレスの左足体重のままでスイングするイメージ。斜面に沿って振るにはフォロースルーを低く出す意識を持とう
打ち終えたら右足を一歩踏み出すつもりでスイングするとミスを防げる
左足下がりは左足上がり以上に、左足の踏ん張り感覚が大切だ

取材・写真/三代 崇 協力/昭和の森ゴルフコース

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