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【状況別】ユーティリティの打ち方・活用方法|ツマ先上がり&ツマ先下がり

解説/小川泰弘プロ

2020/03/15 ゴルフサプリ編集部

ユーティリティクラブは用途がとても広く、色々な場面で活躍してくれるクラブだ。フェアウエイやラフのショットはもちろん、トラブルから確実に脱出させたいリカバリーショットでも効力を発揮する。ユーティリティクラブの上手な活用法を小川泰弘プロがレクチャー。

教える人・小川泰弘プロ

おがわ・やすひろ。
1972年9月5日生まれ、東京都出身。1999年プロ入り。
昭和の森ゴルフアカデミーで幅広い年代層をレッスン。実戦的でわかりやすい指導法に定評があり、これまでにレッスンしたゴルファーは2500人を超える。

イメージは7番アイアンのショット。ボールをダウンブローに打つのがコツ

傾斜地からのショットではフェアウェイウッドはなかなか使えない。でもフェアウェイウッドよりも短くて7番アイアンの感覚で打てるユーティリティクラブならOK。難しいツマ先上がりやツマ先下がりでユーティリティクラブを上手に使いこなすコツをお教えしよう。

「飛ばさない」つもりでスイングするのがミス防止のコツ

 ボールはツマ先上がりやツマ先下がりの斜面に止まっている。グリーンまではまだ200ヤード以上ある。そんなときは7〜8番アイアンを選択して安全確実に打つのがベストといえますが、グリーンには届かなくても近くまで運びたいなと思ったらユーティティクラブで打つのもOKです。
 ただし、できるだけグリーンの近くまで飛ばそうなんて欲を出さないこと。斜面がきついほどスイングの振り幅を小さめに抑え、体重移動もなるべく使わないようにしましょう。

 ショットの前にボールの近くで素振りを数回繰り返し、下半身のバランスがしっかり保てる振り幅をつかんでおきましょう。基本的にはフルショットを10とすれば6〜7くらいに抑えるイメージです。
 トップとフィニッシュを低めの位置に止めてコンパクトなスイングを実行すればボールを正確にとらえられます。曲がり幅が小さくなりますし、飛ばそうと思わなくても距離を十分に稼げます。
 斜面ショットでミスを防ぐには、「飛ばさない」気持ちでスイングすることがカギなのです。

ツマ先上がりはクラブを短く持ち、目標に対してスクエアに構える

 ツマ先上がりの斜面からのショットではクラブを短く持ち、ライ角を調整します。クラブを長く持つとフェースをグリーンの方向に向けているつもりでも実際にはかなり左を向いてしまいます。
 アドレスをつくるときは直立の姿勢からクラブを短く持って、クラブヘッドが芝につくまで上体を前傾させましょう。前傾姿勢が深くならないように、やや棒立ち気味に立つのがコツです。スイング中は体重移動を使いませんから、ボールの位置は通常よりも半個から1個ぶん内側となります。
 ツマ先上がりの場合、アイアンで打つとヒッカケが出やすくなります。ロフト角の多いショートアイアンほど構えたときにフェースが左を向きやすく、インパクトでフェースが返りやすいのがその理由です。
 そこでボールが左に行きやすいことを計算に入れて、目標を右に設定するのが基本といわれますが、これまでの経験からしてちょっと怪しいと思いませんか?

 ツマ先上がりの斜面で体を右に向けると左足上がりの要素が加わります。インサイドアウトの軌道が強まって余計に左に引っかかりやすいですし、フェースターンを抑えようとするとボールがそのまま右に飛びやすいのです。フックを打ったつもりが、右にすっぽ抜けてプッシュしてしまったという失敗の経験があるでしょう。
 アイアンよりもロフト角の少ないユーティリティクラブを持ち、右を向いて構えるとアイアン以上に右に飛びやすくなります。逆にいえばボールが左に引っかかりにくいのですから、目標に対してスクエアに構えればいいのです。

 注意したいのはテークバックでクラブをインサイドに低く引きすぎないようにすること。
インサイドに引いてしまうとフェースが開くため、インパクトでフェースを閉じようとする動きが無意識に働き、左に引っかかりやすくなります。
 スタンスよりもボールの位置が高いので横振りに近い感覚となりますが、テークバックはクラブを少し立てる気味に上げるイメージを持ちましょう。
 クラブを短く持ち、コンパクトに振るだけで球はほとんど真っすぐ飛んでくれます。これがユーティリティクラブを上手に活用するコツなのです。

直立の姿勢からクラブヘッドが芝につくまで上体を前傾させる。やや棒立ちに構える感覚だ
ボールと体の間隔を適切に保ち、バランスよく構えるためにクラブを短く持とう
前傾角度が深すぎる構えはNGだ
体を目標の右に向けて構えるとボールがそのまま右に飛んでしまいやすい
目標に対してスクエアに構えるのがいい。ボールの位置は通常よりも少し内側
スイングの振り幅や力感をフルショットの6〜7割くらいに抑えるイメージでスイングするのがコツ
テークバックでクラブをやや立てるイメージ(左)。インサイドに低く引き過ぎないように注意しよう(右)

ツマ先下がりはクローズスタンスに構え、左足を軸にしてスイング

 ツマ先下がりはスタンスよりもボールが低い場所にあるため、アドレスやスイングのバランスを保ちにくい状況です。
 前傾姿勢が深すぎるとインパクトで上体が前に突っ込みやすく、ダフリやヒッカケのミスが生じやすくなります。下半身のバランスが保てず、インパクトで両ヒザが伸びると上体が起きてチョロや空振りとなりやすいのです。
 この場合もアドレスのバランス感覚を重視しましょう。通常の構えからクラブヘッドがボールに届くまで上体を前傾させるだけではNGです。

 最初からスタンスをやや広めにして立ち、クラブヘッドがボールに届くまで前傾させてから右足を後ろに引いてクローズスタンスに構えましょう。ただし肩と腰のラインは目標に対してスクエア。ボールの位置は通常よりも半個から1個ぶん内側です。
 クローズスタンスに構えるのはテークバックでクラブを上げやすくするため、左足を軸足とするため、インパクトでクラブヘッドがボールに届かせやすくするための3つです。
 スクエアスタンスも間違いではありませんが、両ヒザの角度が深くなるためテークバックで右ヒザが邪魔になります。オープンスタンスではもっと邪魔になりますから絶対に避けましょう。

 またクローズスタンスに構えることで左足をしっかりと安定させるイメージにつながります。下半身を固定しやすくするためにも体重の6〜7割を左足に乗せておきましょう。
 これでアドレスの前傾角度をキープしやすくなり、インパクトでクラブヘッドがボールにしっかり届いてミート率がアップします。
 ツマ先下がりのショットも距離を欲張ってクラブを振り回してはいけません。トップやフィニッシュを低く抑えたコンパクトスイングが鉄則です。
 打つ前の素振りで、このくらいの振り幅なら下半身をしっかり固定できるなという具合に斜面に応じた適切なスイングをつかんでおきましょう。

直立の姿勢からクラブヘッドがボールに届くまで上体を前傾させる
スクエアスタンスから右足を後ろに引いてクローズスタンスに構える。こうするとテークバックでクラブがスムーズに上がる
最初から足幅を広めにし、クローズスタンスに立つ。左足を軸足にするイメージが強調されてしっかり踏ん張りやすくなる
トップとフィニッシュを低めに抑えたコンパクトスイングを心がけよう
左足を軸にするイメージでスイングし、アドレスの前傾角度をキープする
通常のスタンス幅のままで腰を落とすだけでは下半身の安定感は生まれない
腰高となると前傾角度を保つのが難しく、様々なミスを招く
スイング中に両ヒザが流れると、最後までバランスよく立てない

取材・写真/三代 崇 協力/昭和の森ゴルフコース

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