カウンターバランスチューニングの効果・メリットを試打検証
気になるギア
国内外でゴルフツアー中止が続いているが、この期間を利用してスイングの調整や、クラブの調整を行っている選手も多い。そんな中でカウンターバランスチューニングが注目されているとの噂を聞きつけ、さっそく調査をおこなった。
【カウンターバランスは飛びと方向性を変える】最新のクラブチューニング
現在いくつかのカウンターバランスチューニング用具が発売されているが、ドライバーからパターまですべてのクラブに対応し、PGAツアー選手にも愛用者を持つ「ツアーロックゴルフ」を例に、装着方法やその効果をレポートします。
2つのシステムが日本に上陸!
昨年末から今春にかけ2つのカウンターバランスチューニングシステムが日本に上陸。米ツアーでは既に多くの選手が実戦で使用している。
システム1|ツアーロックゴルフ(2020年2月19日日本上陸)
総重量は重くバランスは軽くなる
グリップエンドに穴を開け、ウェイトをシャフト内に装着するシステム。認定フィッターによるフィッティングでの販売。費用はフィッティング料+使用するウェイト代で1本あたり6000円+税~。
スポーツティエムシー
☎03-3769-5021
https://www.sports-tmc.com/
総重量316.9g、バランスD6.5のドライバーに20gのウェィトを装着した場合、総重量は337g、バランスはC8.5に変化。
システム2|センスゴルフグリップ(2019年12月20日日本上陸)
PRO SERIES PUTTER GRIP ・ S.A.W.SYSTEM
DIYで装着可能なパター用カウンターバランスシステム
パターのグリップを「S.A.W.システム」対応グリップに交換するだけで手軽にカウンターバランスチューニングが可能。専用グリップの他に、テックポート付きのスーパーストロークグリップにも使用可能
プロシリーズ パターグリップR1
長方形断面のパター用グリップとS.A.W.システムのセット。
●価格/ 7500円+税
プロシリーズ パターグリップS1
正方形断面のパター用グリップとS.A.W.システムのセット。
●価格/ 7000円+税
S.A.W.システム
グリップエンドからシャフト内に挿入するウェイトムシステム。カーボンファイバーロット、ウェイト3種(10g、20g、30g)と専用レンチのセット。
●価格/ 6000円+税
JPNウェイトの装着はわずか数十秒!
①専用のホールソーでグリップエンドに穴を開ける。
②これで準備完了!ここからウェイトを挿入する。
③グリップエンドへの装着なら、ウェイトを差し込みレンチで締めるだけ。
④ウェイトはグリップエンドに装着するタイプとシャフト内部装着タイプの2種がある。
スポーツティエムシー 営業部課長
藤田典孝氏
公認フィッターの教育・指導を行うツアーロックゴルフマスターフィッター。ツアープロにたいするフィッティングも行うツアーロックゴルフのオーソリティー。
カウンターバランスチューニングで、スムーズかつ教科書通りの始動になる!
プロも含め、多くの方のフィッティングをしてきましたが、カウンターバランスチューニングで大きく変化するのはテークバック始動の動きです。また、ウェイトを装着するのは主にグリップエンドからグリップの先端あたりまでですから、クラブの総重量は増えますが、振った時の重量感はほとんど変化しません。クラブの総重量が重くなるのに、ヘッドスピードは上がる方がほとんどです。
ヘッド側に重さを感じると、テークバックの始動でヘッドを持ち上げようとして“手が浮く”動作が入り、インパクトまでに浮いた手を戻す動作が必要となります。これに対して、手元側に重さを感じるとテークバックで手が浮かず、スムーズにヘッドが低く長く動くので、無駄な動きがなくなって、ヘッド軌道もトップの位置も安定する結果、ヘッドスピードやミート率が上がり、方向も安定するのだと考えています。
これもカウンターバランス
【ゼクシオ】イレブン・エックス ウェイトプラス テクノロジー
以前は、手元重心シャフトのみだったが、イレブン・エックスではさらにシャフトエンドにウェイトブッシュを装着した。
【テンセイ】CKプロ オレンジ
バット側のカーボンシートにタングステンを複合することでカウンターバランス化を図ったアスリートに人気のシャフト。
スーパーストロークテックポート
「テックポート」付きのスーパーストロークグリップは、別売のウェイトを装着することでカウンターバランスチューニングできる。
●価格 グリップ/オープン(実勢価格:4500円+税)
●価格 ウェイト/オープン(実勢価格:2300円+税)
六角レンチで蓋を外し、別売りのウェイトを差し込み六角レンチで締めるだけ。
【試打で実感】えっ!こんなに変わるんだ
飛距離や方向性が変わるといっても、人によってその効果はまちまちで、変化の度合いも感じられたり感じられなかったりというのがゴルフ業界にありがちなパターンだから、カウンターバランスチューニングの効果のほどを編集部員が試してみました。
のみ助
ゴルフ歴35年
平均スコア90
寄せワンでスコアを稼ぐシニアゴルファ
50g近く重いのに、全く重く感じない
普段使っているアイアンは85gシャフトです。これに対して試打クラブのシャフトは120g。さらに12gのウェイトを装着したので、いつもより50g近く重いはずなのにしっかり振れるし、重く感じません。ミート率も上がった感じだし、入射角がきつい悪癖も改善される感じです。
ゴルフライダーK
ゴルフ歴18年
平均スコア98
ドライバーが苦手でスコアが伸びないもののアイアンは得意。
アイアンもいいですわ!
不思議とトップが減るし、球のつかまりがよくなる。重くなっているはずなのにヘッドが走る感じがするし、いつもより飛んでる!
あいり
ゴルフ歴11年
平均スコア82
研修生上がりの腕利きゴルファー。ベストスコアは68。
あれ~! 二人ともドライバーの飛距離が伸びてるじゃん。アタシも打ちたかったな~。
不思議なんですが、結果がいいんです
ドライバーは、グリップエンドに16gから30gのウェイトを装着して試した結果、20gが一番良かった。不思議なのは20gも重くなっているはずなのに、振った時には重く感じないどころか振りやすい感じでヘッドスピードが上がったこと。スライスも減って飛距離も伸びる。魔法のような感覚でした。
球のつかまりまで調整できるんだ
20g装着でばっちり!ドライバー総重量は330g弱になるので、総重量は70g台シャフトのドライバーと同等のはずなのに、重さを感じずに振り切れました。さらに、切り返しのブレが無くなるので弾道が安定。最終的には、ウェイトをシャフト内に12g、グリップエンドに8gと振り分けたところ、曲がりが減少してストレートボール連発!
ヘッドがボールを押してくれる
50g、60g、80gのウェイトをグリップエンドに入れて打ち比べた結果、80gが一番しっくりきました。グリップエンドを重くしているのに、なぜかインパクトからフォローにかけてヘッドがボールを押し出してくれる感じが強くなって球足が伸びました。
ウェッジのミスが減った
短い距離のウェッジのインパクトでボールを“しゃくって”しまうミスが悪いクセですが、カウンターバランスにすると、ヘッドではなくシャフトの中央部に重さを感じ、ここを動かしている感覚が得られるので“しゃくる”動きが全くでなくなりました。また、ゆっくり動かしやすくなって“打ち急ぎ”“当て急ぎ”もなくなります。
感覚的にはいいこと尽くし
ドライバーからパターまで、テストを行った感想から言えば、カウンターバランスチューニングは“いいこと尽くし”。デメリットは特に感じなかった。これまでに様々なクラブやギアを試してきたが、これほどビフォー、アフターで差を感じるものは片手の指で足りるほど。それだけに非常に大きな可能性を感じる。
1本あたりにかかる費用は1万円未満でさらに元にも戻せるので、とりあえずドライバーをとか、パターをということも可能だが、1本チューニングしたら結局、全番手やりたくなってしまいそうな強い予感がするだけに、マイクラブをカウンターバランス化しようかどうか、テスター3人に共通の悩みが生まれた。
パターの方向がばらつかなくなる
ウェイトなしでのパッティングだと方向(左右)も距離(前後)もばらついていたものが、グリップの左右の手が重なる位置に80gのウェイトを入れた時に最も安定度が増して方向も距離も安定しました。自分ではわからないけど、周りから見ていると手首の動きが減るのが分かったとのこと。
撮影協力/サザンヤードCC(茨城県)
GOLF TODAY本誌 No.577 155〜159ページより
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