飛ばし王・デシャンボーが17年ぶりに記録更新!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.44
“ゴルフの科学者”ブライゾン・デシャンボーが17年ぶりに米ツアー記録を塗り替えた。前年秋から肉体改造に取り組んでパワーアップしたデシャンボーが打ち立てた新記録とは何か?
飛ばし王・デシャンボーが17年ぶりに記録更新!
米ツアー2019〜20シーズンが幕を閉じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響でスケジュールが大幅に乱れたが、何とか前年の8割弱にあたる36試合を消化した。
数々の話題があったが、そのひとつが強烈な肉体改造でマッチョ化し、一気に飛距離を伸ばしたブライゾン・デシャンボーだろう。ドライビングディスタンスは322.1ヤード。最終戦で猛烈に追い上げたキャメロン・チャンプをわずか0.1ヤード抑えて初の1位に輝いた。前シーズンは302.5ヤードで部門34位だったから、いかに変ぼうしたかが分かるだろう。
デシャンボーがマークした322.1ヤードはツアー新記録である。従来のそれは2003年にハンク・キーニーが記録した321.4ヤードだったから、実に17年ぶりに塗り替えたわけだ。逆の見方をすれば飛距離がグングン伸びている今の時代に17年も残っていたキーニーの記録がいかにすごかったか、ということもいえる。
ドライビングディスタンスを計測しはじめた1980年、1位はダン・ポールの274.3ヤードだった。それからちょうど40年、デシャンボーはポールよりも47.8ヤードも遠くに飛ばしているわけだ。
新記録となったのは部門1位の数字だけではない。ツアー平均でも296.4ヤードをマークして2シーズン前の296.1ヤードを更新した。ちなみに、1980年のツアー平均は256.5ヤードだった。それを上回ること40ヤード弱。40年で40ヤードだからちょうど1年に1ヤードずつ伸びている計算になる。2019〜20シーズンのドライビングディスタンス最下位(193位)の選手は277.9ヤード。40年前の1位であるポールの飛距離よりも上である。それくらい、飛距離の進化はすさまじいわけだ。
では、フェアウェイキープ率はどうか。2019〜20シーズンのツアー平均は60.22%である。1980年は62.55%だから、それほど落ちてはいない。ただし、フェアウェイキープ率のピークは1990年代で最高は1999年の69.02%である。この年と比べれば大幅減。やはり飛距離と正確性の両立は難しいようだ。
米ツアーのドライビングディスタンス歴代1位の変遷
年 | 距離 | 選手 |
---|---|---|
1980年 | 274.3ヤード | ダン・ポール |
1981年 | 280.1ヤード | ダン・ポール |
1986年 | 285.7ヤード | デービス・ラブⅢ |
1991年 | 288.9ヤード | ジョン・デーリー |
1995年 | 289.0ヤード | ジョン・デーリー |
1997年 | 302.0ヤード | ジョン・デーリー |
1999年 | 305.6ヤード | ジョン・デーリー |
2001年 | 306.7ヤード | ジョン・デーリー |
2002年 | 306.8ヤード | ジョン・デーリー |
2003年 | 321.4ヤード | ハンク・キーニー |
2020年 | 322.1ヤード | ブライゾン・デシャンボー |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/
2019ソニーオープン・イン・ハワイ
撮影/田辺安啓
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