自分に合ったウェッジの選び方|スピンがかかる!寄る!ミスが減る!
バウンス|ソール幅とグラインド|ヘッド形状|ロフト&セッティング|苦手克服ドリル
シングルプレーヤーを除けば、アマチュアゴルファーのパーオン率は30%台かそれ以下だろう。ならば、どれだけ“寄せワン”を拾えるか、アプローチでミスしないかがスコアのカギとなるはず。頼りになるウェッジを見つけてスコアアップを狙おう。
高橋 良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、37歳、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属、ツアーにチャレンジする傍ら、ゴルフメディアでの試打テスターも務め、毎年ニューモデルを打ち続けているベテランテスター。
58度or56度。グースorストレート。PW以外のウェッジは2本or3本、バウンスは?グラインドは?見れば見るほどウェッジ選びの奥行は深いもの。ウェッジ選びのツボが分かればあなたに合ったウェッジが見つかります。
十人十色、自分に合ったウェッジがある!
グラインドやバウンス角が違えば別物
ゴルフクラブの中で最も多種多様なのはパターですが、ウェッジはパターに次いで多様性を持つクラブです。アドレスでのボールの位置やヘッドの入射角、ハンドファーストの度合いなど、人それぞれ少しずつ違うので数多くのウェッジが用意されているということです。
ヘッド形状についてはプロの好みというものはわりと似ていて、ウェッジにもプロ好みという“顔”はあります。
同じモデルのウェッジを使っているプロでも、人それぞれのヘッドの軌道や入射角に合わせて、ソールのグラインドやバウンスは違うものを使っているものです。ウェッジの場合、モデルは同じでもソールのグラインドやバウンスが違えば別のクラブということです。
自分に合ったウェッジを見つけるためには、ヘッドモデルを選ぶだけではなく、グラインドやバウンスも選ばなければならないということ。そこで、バウンス、グラインド、ヘッド形状をどうやって選べばいいのかを紹介しますので、自分に合ったウェッジ選びに役立ててください。
ウェッジの選び方1[バウンス]スピンも距離感もヘッドの抜けが原動力
アプローチは最もヘッドスピードが遅いショットだから、ヘッドの抜けが悪ければ飛距離も安定せず、スピン量の変化も大きくなる。だから、ヘッドの抜けに大きな影響を持つバウンス選びがウェッジ選びの第一歩だ。
バウンスが合っていればミスが大幅に減る!
バウンス選びはウェッジ選びの最重要ポイントと言っても過言ではありません。なぜかというと、アプローチで“ヘッドが刺さる”、“ヘッドが跳ねる”ことに起因するミスは、ヘッドの入射角とバウンスのミスマッチによるものだからです。バウンスが強いほどヘッドは刺さりにくくなりますが、跳ねやすくなり、バウンスが弱いとヘッドが刺さりやすくなるものの跳ねにくくなります。入射角が急な人はバウンス大、入射角が緩い人はバウンス小が基本です。
バウンスが合っていれば抜けが良くなる
バウンスはヘッドが地面に刺さるのを防ぎ、ヘッドの抜けをよくするためにつけられています。ヘッドの入射角が急だとヘッドが地面に刺さろうとする力は大きくなり、入射角が緩やかならば刺さる力は小さくなるので、バウンスの大小をヘッドが地面に刺さる力の大小に合わせるということです。
トップでヘッド位置が高い
アプローチのトップでヘッドの位置が高いとヘッドが上から下りて入射角が急になる。
左足上がりのアプローチが苦手
入射角が急な人は、左足上がりのライだとヘッドが抜けずに刺さりやすい。
入射角が緩い人はこうなる
トップでヘッド位置が低い
あまりコックを使わずにテークバックするのでトップでのヘッドの位置は低い。
ベアグラウンドや薄芝でトップする
ボールを横から掃くような軌道なので薄芝や硬いライだとヘッドが跳ねてトップしやすい。
ウェッジの選び方2[ソール幅とグラインド]ソール幅も入射角に合わせる基本
入射角が急な人が幅広ソールを使うと抵抗が大きくなって抜けが悪くなったりヘッドが跳ねたりします。反対に入射角が緩い人が幅狭ソールを使うとヘッドが刺さったり、つっかかったりします。
実践|実際に選ぶ時はココの幅を見る
ヒール側の平面部分が実質的なソール幅
最近のウェッジはソールにグラインドが施されていますから、ソールの幅を判断する時はグラインドを加味する必要があります。グラインドは余分なところを削ってバウンスの効きを調整しているので、削り取られた部分はソールの幅も削り取られたとみればOK。残った平面部分が実質のソール幅になります。
アドレスの形でもバウンスは変化する
ハンドファーストの度合いでもバウンスは変わります。ハンドファーストが強いと地面に対するバウンスの角度が減りますから、その分バウンスが大きなものを選ぶ必要があります。
ウェッジの選び方3[形状]ウェッジのネック形状はアイアンに合わせるのが基本
バウンスやグラインドとともに、ヘッドの形状、特にネック形状もウェッジ選びの際の重要な要素だ。好みで選べばよいのか?それとも選ぶ基準はあるのか?
アドレスしやすく、 イメージした高さに ボールが飛び出すものがいい
丸いものや四角いもの、三角形に近いものとウェッジのヘッド形状はいろいろありますが、ヘッド形状は好みでOKです。ただし、ネック形状は自分が使っているアイアンに合わせるのが基本です。
これが違っているとアドレスでの球の位置がずれやすく、ダフリやトップが出やすくなります。試打して選ぶことが可能ならば、アドレスが“ぴたっと”決まるものの中から、イメージした高さと方向に飛び出すものを選ぶといいでしょう。
ストレートネック(オフセット小)
● 最もフェースを開いて使いやすい
● 球の打ち出しは高くなりやすい
● ひっかかりにくい
● 操作性は高い反面スイングの安定性が求められる
セミグースネック(オフセット中)
● フェースを少し開いても使いやすい
● 球の打ち出しはニュートラル
● 適度につかまる
● セミオートマな操作性
グースネック(オフセット大)
● フェースは開きにくい
● 球の打ち出しは少し低め
● つかまりがいい
● 操作性は低いがオートマチックに打てる
スクエアに構えてロフト通りに打つのが一番やさしい
アプローチはいろんな状況があるので、フェースを開いても使いやすいものがいいのではと思われがちですが、ライが難しくなればなるほど、上手く打てたとしてもなかなかピンには寄らないものです。スコアメイクを考えるならば、やさしいライや状況から“寄せワン”を増やした方が得だと言えます。この視点でウェッジを選ぶなら、セミグースかグースネックがオススメです。
ウェッジ専用シャフトってどうなの?
ウェッジ専用シャフトが作られている理由は2つあります。ひとつは重量。アイアン用シャフトはほとんどが番手別均一重量設計ですが、一番短いものがPW用です。するとAW、SWはPW用をカットして使用することになるのでシャフト重量が軽くなってしまいます。これを防ぐために、ウェッジ専用シャフトは少し重く作られています。もう一つはしなり方。特にスチールのアイアン用シャフトはダウンブローに打ちやすいしなり方があり、これをウェッジに使うと入射角が急になりやすいので、ウェッジ専用シャフトはボールをすくい上げやすいしなり方に設計されています。
ウェッジの選び方4[ロフト(セッティング)]ウェッジのセッティングはアイアンセットのオプションとバンカー用のSWを入れれば迷わない!
バウンスや形状ソールグラインドに次いでロフトもウェッジ選びの悩みどころだが、ウェッジのロフト選びをスッキリ解決するセッティングのコツがあった。
PWのロフトがまちまちなのが悩みの原因
最近のアイアンは、アスリート向けから激飛びまで色々なモデルがあり、PWのロフトが47度前後から38度前後まで大きな差があります。これが、ウェッジのロフト選びを難しくしている原因です。そこで、注目すべきはセットのオプションのウェッジです。カタログやホームページで確認していただければわかりますがPWのロフトに応じて、50度くらいまでのオプションが用意されていますのでこれを利用すればOKです。
50度以下をメーカーオプションのウェッジで揃えて、バンカー用に56度のワイドソールモデルを入れれば、残りは52度を1本入れればOKです。これで基本的なセッティングが決まります。セットの本数に余裕があれば、球を上げたい時のためにフェースを開いて使いやすい58度や60度を入れてもいいでしょう。
高橋プロのワンポイントアドバイス
スピンをかけやすいライとかけづらいライがある
スピンが効いたアプローチを打つためには、技術・道具・状況の3つが必要です。技術は練習で習得するしかありません。道具については、自分に合わせて抜けのいいウェッジを選ぶこととスピンタイプボールが必要です。その上でスピンをかけやすい状況とかけづらい状況がありますから覚えておいてください。
本数に余裕があれば役に立つはず
56度や58度のフェースを開いて打つより、60度をスクエアに構えて打った方が簡単にボールを上げられます。セットの本数に余裕があればSWはバンカー専用、60度は上げたい時専用にすれば打ち方はいつも同じで済むので、ミスが減るはずです。
ウェッジのダフリ・トップ克服ドリル
スタンス手打ち・軸ブレをなくしてスピンが効いた球を打とう
自分に合ったウェッジを選んでも、ミスの原因がスイングにあったのでは、ミスは免れない。そこで、高橋プロにアプローチが苦手な人によくある例と克服ドリルを紹介してもらった。
パターン1[軸ブレ]
スイング軸がブレるとヘッドの軌道がゆがみアドレスとインパクトの位置がズレて、ダフリやトップにつながる。
原因は単純! スタンスが広すぎる
アプローチもパターのように打とうとすると陥りやすいパターンです。アプローチはパッティングより大きく上体を回して打ちますが、パターと同じ感覚で打とうとすると、スタンス幅が広くなり、回転ではなく体が左右に動いてしまい、軸がブレてダフリやトップが出ます。
軸ブレはこれで解消|アドレスからフォローまで両内モモはくっつけたまま
アプローチで上体が左右に動いてしまう人は、スタンスの幅はボール2コ分くらいで、両足の内モモをくっつけたまま振りましょう。
パターン2[手打ち]
アプローチは小さくゆっくりとした動きなので、手首の動きだけでクラブを動かしやすく手打ちになりやすい。
手打ちはこれで解消|アドレスからフォローまで右手首の角度は変えない
ハンドファーストにしてノーコックで打つ練習がオススメ
極端なロブショットのような特殊な場合を除いて、アプローチでは手首を使わないのが基本です。テークバックで少し右手首が甲側に折れてもOKですが、それ以降は右手首の角度を変えずに振りましょう。アドレスでハンドファーストを強くして、アドレスからフォローまで右手首の角度を変えずに振る練習をするといいでしょう。
取材協力/サザンヤードCC(茨城県)
GOLF TODAY本誌 No.5979 89〜99ページより