本間ゴルフ ツアーワールド GS ドライバーを高橋良明が試打レビュー
試打のスペシャリスト・高橋良明の本気レビュー
2021年1月にデビューした本間ゴルフの新シリーズ『ツアーワールド GS』。GSというネーミングは「Gain Speed Technology」の頭文字であり、「さらなるスピードの獲得」という商品コンセプトを表しているそうです。ゴルフにおいてスピードは飛距離に直結する要素。果たして『ツアーワールド GS ドライバー』はアマチュアゴルファーの期待に応えてくれるのか。「試打のスペシャリスト」高橋良明が検証します。
[目次]
本間ゴルフ ツアーワールド GS ドライバー総合評価
本間ゴルフ ツアーワールド GS ドライバー
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
---|---|
直進性 | ★★★★☆(4/5) |
つかまりやすさ | ★★★★☆(4/5) |
上がりやすさ | ★★★★☆(4/5) |
総合評価 | ★★★★☆(4/5) |
本間ゴルフ ツアーワールド GS ドライバーの特徴
カーボンとチタンの複合で巨大な慣性モーメントを獲得したドライバーが世界の主流となっている中、『ツアーワールド GSドライバー』はあえてオーソドックスなフルチタンヘッドで登場しました。そのねらいは飛びとやさしさを両立させること。
世界のライバルに負けない飛距離性能を実現するためスイングスピードとボール初速をアップさせるテクノロジーを満載しつつ、球のつかまりやすさや上がりやすさなどアマチュアにとって不可欠な機能も底上げ。多くのアマチュアが実際のラウンドでパフォーマンス向上を実感できるドライバーに仕上がっています。
- ボール初速と方向安定性を向上させる「クランクスリット」
- ボールをやさしくつかまえてくれる「キールデザイン」
- ミスヒットでも高初速をキープする「ラジアルフェース」
特徴1.ボール初速と方向安定性を向上させる「クランクスリット」
フェースのたわみを大きくするためにソールにスリット(溝)を設けたドライバーはよく見かけますが、『ツアーワールド GSドライバー』に採用されているのは直線ではなくクランク状に折れ曲がったスリットです。「クランクスリット」の効果は2つ。
一つめはフェースセンターに当たったときのたわみ戻りが速くなり、ボール初速がアップすること。二つめはトゥやヒールに当たったときのギア効果が大きくなり、ボールをセンターに戻す方向のスピンが増えることです。最大飛距離と方向安定性アップ、まさしく一石二鳥の効果が期待できます。
特徴2. ボールをやさしくつかまえてくれる「キールデザイン」
『ツアーワールド GSドライバー』のデザイン上の特徴にもなっているのがソール後方ヒール寄りの突起(キール)です。キール自体に重量がある上、さらに9グラムのタングステンウエイトを装着することで従来モデルよりも大きな重心角を実現。
ヘッドがターンしやすいドローバイアス設計により、ボールがやさしくつかまり直進性の強い球が打ちやすくなっています。また、自分からつかまえにいく動きが抑えられるのでクラブの振り抜きがよくなりスイングスピードがアップする効果も期待できます。
特徴3. ミスヒットでも高初速をキープする「ラジアルフェース」
外観からは分からない部分にも飛距離アップに関わる大きな特徴があります。それはフェース裏面の形状です。『ツアーワールド GSドライバー』の「ラジアルフェース」は、肉厚の中心部から肉薄の周辺部に向かって放射状に14本のリブを配置することで反発力と反発エリアを最大化、オフセンターヒットでも高いボール初速が得られます。
「ラジアルフェース」自体はとくに上下の打点のブレに強く、さらに「クランクスリット」との相乗効果により、アマチュアに多いフェース下部のミスヒットをカバーしてくれます。
本間ゴルフ ツアーワールド GS ドライバーのスペック
標準装着シャフトの『SPEEDTUNED48』はRフレックスで48グラムの軽量タイプでクラブ重量も290グラム台前半と軽めです。
クラブ長さも標準的な45.5インチなのでエンジョイゴルファーでも無理なく振り切れて、ヘッドスピードが出しやすい設定になっています。
メーカー | 本間ゴルフ |
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製品名 | ツアーワールド GS ドライバー |
ヘッド素材 | ボディ:Ti811チタン鋳造、フェース:Ti6-4チタン圧延 |
ヘッド体積 | 460㎤ |
ロフト角 | 9.5、10.5、11.5度 |
ライ角 | 59.5度 |
シャフト | SPEED TUNED 48(R、SR、S) |
長さ | 45.5インチ |
重量/バランス | 295g/D1.5(9.5度、S) |
価格 | 68,000円+税 |
公式サイト | 本間ゴルフ公式サイト |
本間ゴルフ ツアーワールド GSドライバーを試打レビュー
スピードアップをメインコンセプトに掲げて登場した『ツアーワールド GSドライバー』は果たしてアマチュアゴルファーにどんな恩恵を与えてくれるのか。クラブを知り尽くした高橋良明がその飛びとやさしさを検証します。
- ヘッドとシャフトがボールを自然につかまえてくれる
- つかまりがいいからボールにしっかりパワーが伝わる
- スライスの曲がり幅が小さくなりフェアウェイに残りやすい
ヘッドとシャフトがボールを自然につかまえてくれる
『ツアーワールド GSドライバー』は初速も確かに出ますが、一番印象に残ったのはヘッドの返りやすさです。ヘッドは自分で返そうとしなくても自然にターンします。シャフトもやわらかくちょうど真ん中くらいでしなり戻るのでタイミングよくヘッドが返ってきます。本間ゴルフはシャフトを自社工場で作っているだけあって、ヘッドとシャフトのバランスがとてもいいですね。
ヘッドが遅れたり先行したりすることもなく、ヘッドとシャフトの動きが合っているので、仕事をクラブに任せて振るだけで自然に球がつかまるし、つかまり過ぎるような不安もありません。
つかまりがいいからボールにしっかりパワーが伝わる
『ツアーワールド GSドライバー』の弾きの強さと打ち出しの高さは歴然としています。ルールの制限があるので真芯に当たったときライバルの中で群を抜いて飛ぶということはありませんが、上下左右に芯を外して打ったときの初速ロスが少なくなっています。
打点の安定しないアマチュアにとっては、スイートスポットが広く感じられ、ナイスショットの回数を確実に増やしてくれるでしょう。飛び方はボールをただフェースの反発力で弾くというより、しっかりつかまえて飛ばしているイメージです。ボールを前に押す時間が長く、パワーがロスなく伝わるので風に負けない強い球を打つことができます。
スライスの曲がり幅が小さくなりフェアウェイに残りやすい
最近流行の高慣性モーメントドライバーは、フェースローテーションが抑えめで左右どちらにも曲がりにくくなっています。これに対して『ツアーワールド GSドライバー』はフェースローテーションでボールをつかまえ、スライスの曲がり幅を抑えて真っすぐ飛ばすタイプです。
ボールのつかまらないスライサーにとって、高慣性モーメントドライバーはテークバックで開いたフェースがインパクトで戻りきらずに球が右にすっぽ抜けるリスクがありますが、『ツアーワールド GSドライバー』はクラブ自体に球をつかまえる機能があるので確実にミスの度合いを小さくしてくれます。また、スピン量が減りすぎず、トゥに当たったときはフック回転、ヒールに当たったときはスライス回転がかかるのでボールをフェアウェイにコントロールしやすくなっています。
本間ゴルフ ツアーワールド GSドライバーがおすすめの人
基本的につかまりのいいクラブなので一番におすすめしたいのはスライサーです。ボールが右に滑って距離をロスしている人や打ち出しが低くてキャリーが出ない人などにもおすすめです。クラブがボールをつかまえて打ち出し角を上げる手助けをしてくれるので飛距離アップが期待できます。
また、価格帯がやや高いけれど、スイートスポットが広いので初心者のスタータークラブとしても悪くありません。スライサー向けといっても極端に左に飛ぶわけでなく、つかまりが適度なので上達してからも長く使えるクラブだと思います。もちろん、ホンマらしい顔の美しさやフルチタンの爽快な打感などベテランゴルファーやホンマファンの方が使っても満足のいくドライバーです。
本間ゴルフ ツアーワールド GSドライバーの評価
ありきたりの表現になってしまいますが、『ツアーワールド GSドライバー』を一言でいえばやさしく飛ばせるドライバーです。フェースの弾き感もかなりありますが、設計のベースになっているのはつかまりのよさだとぼくは思います。
やさしいといってもただ弾いて高く真っすぐ飛ばすのではなく、しっかりと球をつかまえながら飛ばす感覚があり、ヘッドとシャフトの走り感、当たったときの感触と球筋が一致して気持ちよく飛ばすことができます。やたらと慣性モーメントの大きさを求めず、あえてフルチタンのヘッドにした理由もそこにあるのかもしれません。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
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