「インパクトの形」を意識するだけで、どんなスライスも一発で直る!!
大西翔太コーチが教える「ゴルフスイングのツボ」 VOL.19
理論をわかりやすく展開し、実戦ですぐに役立つレッスンで大人気の大西翔太コーチ。
その大西コーチが、誰も知らなかったゴルフスイングのツボをこっそり教えてくれた。第19回は多くのゴルファーの悩みのタネであるスライスの簡単修正法をレッスン。出球の方向が安定し、曲がり幅だって小さくなるというから早速試してみよう。
稲森佑貴のように「真っすぐのインパクト」をイメージしよう
今どきのスライスは、曲がり幅を抑えるより出球の安定が先決
皆さん、こんにちは。ツアープロコーチの大西翔太です。今回はスライスの矯正法についてアドバイスしたいと思います。ゴルファーの8〜9割がスライスに悩んでいるという話をよく聞きますよね。でもゴルファーによってスライスの症状はまちまちです。球が右に曲がるのは共通でも、スライスの原因は人それぞれ異なりますし、修正法も当然変わってきます。
もう一つ正しく理解してもらいたいのは、昔のスライスと今のスライスは本質的に違うということです。昔は上から鋭角に打ち込んでしまうため、アウトサイドインのカット軌道でとらえているゴルファーが大半でした。ボールが目標よりも左に飛び出して、途中から右に急カーブする「ヒッカケ型」のスライスです。
それに対して今のスライスはインパクトでカラダが起き上がってフェースが開いて当たるため、最初から右に飛び出す「プッシュ型」のスライスが多く見られます。ヘッドの大型化と長尺化が進んで振り遅れてしまうパターンが急増したのです。
プッシュ型のスライスはダウンスイングでクラブが寝て下りてきて、インパクトで手元が先行してフェースが開いて当たるため、球が最初から目標よりも右側に飛び出してしまうのが大きな特徴で、実際には右にはそんなに曲がっていないものです。今どきのドライバーは直進性が高く、曲がりを最小限に抑えてくれるという性能を備えています。ですからボールが右に曲がるのを直すよりも、出球の方向を安定させることを第一に考えましょう。フェアウェイの真ん中に打ち出すことができれば、仮に10〜20ヤード曲がってもそんなにトラブルにはなりません。悪くても右のラフで止まってくれます。
左頬を壁に押し当てるイメージでカラダの浮き上がりや突っ込みを解消
今どきのドライバーでも上から打ち込んでしまうためにヒッカケ型のスライスが生じてしまう人も中にはいます。とはいえインパクトゾーンでの軌道がズレているという点ではプッシュ型スライスと一緒。6年連続フェアウェイキープ率1位の稲森佑貴選手はインパクトのイメージをとても大事にしているそうです。曲がり幅を軽減させて、狙ったターゲットをなるべく外さないようにするためにも、「ボールが当たる瞬間はこう打つぞ!」というイメージを皆さんも大切にしてほしいと思います。
飛ばしたいと思うとクラブを思い切り振ろうとして、インパクトへの意識が薄れてミート率が低下してしまいます。インパクトでカラダが起き上がりやすい人は、アドレスの前傾角度をインパクトまでキープすることを心がけましょう。逆にインパクトで上体が突っ込んでしまいやすい人はクラブを目標よりも少し右にアウトサイドへと振り抜く意識を持ちましょう。インパクトで左の頬を壁に押し当てるイメージもいいと思います。クラブを右手で持ち、左手を左頬に当てて構え、左頬の位置が変わらないように右手素振りを数回繰り返します。そうするとカラダの無駄な動きを抑制し、ボールを真っすぐな軌道で打ち抜いていく感覚が明確に浮かんできます。
アドレスの姿勢を完成させたら、いったんインパクトの形を作り、元に戻すと同時にテークバックをスタートするのも効果的です。フェース面をスクエアにセットしたままで、フェース面でボールをターゲットに真っすぐ押し込んでいくような体勢を作ると、インパクトの瞬間のイメージがはっきりとつかめます。
あとはインパクトでヘッドを減速させたり、グリップを緩めたりしないで、左頬の位置をしっかりキープしてボールを打ち抜きましょう。インパクトの形をいったん作る動作がフォワードプレスの役目を果たし、テークバックをスムーズに始動しやすいメリットもあります。スライスの原因や矯正法をあれこれと難しく考えても、なかなか解決しないもの。インパクトのイメージを大事にすれば、どんなスライスでも必ず直ります。
最後に動画でチェック!
ボールに当てる形をしっかりイメージ!
※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/船橋カントリークラブ、島津ゴルフ倶楽部
大西翔太
おおにし・しょうた/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。