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手首が自由を求める理由とは?

ゴルフリサーチャーTASK【世界のゴルフスイング事情】vol.12

2021/03/05 ゴルフサプリ編集部

国内外で収集したゴルフスイングに関する最先端情報を「Jacobs3D」アンバサダー、ゴルフリサーチャー「タスク」が独自の視点と考察を交えてお届けします!

GOLF TODAY本誌 No.585/112ページより

手首が支点として動くことを前提にクラブは設計されている

ゴルフスイングはほぼ1秒で終わってしまうアクションですが、その間にプレーヤーが無意識かもしれないが積極的に行っていることがあります。

それは重心の管理です。アマチュアプレーヤーが効率的なインパクトを迎えられないのは、テークバックの始まりから重心の管理が崩壊し、不必要な三次元ローテーションが偏重心であるゴルフクラブに“襲いかかる”からです。発生したローテーションは必ずその都度相殺するように重心管理し、デリバリーポジションから最高効率でヘッドをボールにアタックしていくのが理想です。ですが、デリバリーポジション以降にプレーヤーができることはほとんどありません。

多くの場合、アマチュアプレーヤーはいわゆる腕とゴルフクラブを一体化し、手首を固めてテークバックを始めます。このようにゴルフクラブを動かしてしまうと、スイングの当初からゴルフクラブの特性を生かすことはできなくなります。

これまで、ゴルフスイングは二重振り子運動であると主張してきましたが、その第一の振り子がグリップから先のゴルフクラブがつくり上げる振り子です。すなわち、そこには振り子の支点が存在しないといけません。

そこで重要となるのが手首です。手首は一方の凸状の骨に対して、凹状の骨が対になって楕円状に接続する顆状関節と言われます。この特徴により手首の関節は限定的に自由な円運動をすることが可能です。

よって、ゴルフクラブは“そもそも手首が自由に動く関節であること”を前提に設計されていると考えるのが合理的です。手首が自由に動かない限り、そこを支点としてゴルフクラブに円運動を起こさせることができないということです。

リッキーファウラーの強烈なタメ。しかし、これは本人が意図的に“タメよう”としているわけではない。手首が自由な結果、クラブの物理現象によって起こっていること。

手首が自由であればコックとヒンジングも使える

手首を自由に使ってテークバック時にヘッドを遅らせるように、グリップを飛球線後方へ少し引くだけでクラブのヘッドは大きく回転運動を起こします。

これは単純な物理現象なのですが、こうして第一振り子の支点を動かす中でヘッドの加速を生み出すことは非常に重要です。しかし、テークバックで手首を固めてしまうと、この第一振り子は発生しません。

ダウンスイングでの強烈な加速度とヘッドスピードは、自由な手首によって生まれます。スイングは腕を振るのが基本となりますが、グリップの速度はいくら速めようとも8〜10‌m/sが限界です。それに対してヘッドスピードは40m‐50‌m/sと4、5倍のスピードを得ます。これは、シャフトが加速装置の役割を果たしていることと、遠心力に依るところが大きいです。このように、加速を起こすには手首を自由に使わねばなりません。

効率的なスイングをするプレーヤーは、手首を支点として機能させるとともにグリップの中でクラブの重心も管理します。
この重心の管理には、適切なアーム角を維持する縦側のコック(βトルク:橈屈・尺屈)及び、重心がグリップのコントロール内に収まるように調整するヒンジング(αトルク:背屈・掌屈)が不可欠です。たとえばPGA選手は、スイング中にコックとヒンジングによるトルクエネルギーを適切なタイミングで発生させて、偏重心であるゴルフクラブが発生するローテーションを相殺しているとのです。

こうして重心を管理し、ゴルフクラブのルーピング特性にヘッドを乗せることができれば、ゴルフクラブはその機能を果たし、ヘッドをリリースさせる条件が整います。

ゴルフスイングは、手首から先の第一振り子(クラブ)が基本であり、そのためにも手首は自由であるべきなのです。

クラブの重心をグリップ内で掌握しながらテークバック、ダウンスイングはグリップエンドを“引き続けている”。

ゴルフリサーチャー・タスク
国際金融マンからゴルフリサーチャーに転身。米国のゴルフサイエンス団体Jacobs 3D GOLFのアドバイザリーメンバーであり、日本のアンバサダー。USGTF Teaching Professional、TPI Certified資格を所持。


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