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ハンデキャップはシングルの〝黒帯〟か?

重箱の隅、つつかせていただきます|第17回

2022/01/10 ゴルフサプリ 編集部

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど……。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

GOLF TODAY本誌 No.595/70ページより

戸川景
とがわ・ひかる。1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て㈱オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。

ハンデキャップはシングルの〝黒帯〟か?

今回のテーマは、まずタイトルで迷った。最初の案は「なぜプロにはハンデキャップがないのか?」だった。少し取っ付きにくそうなので、変更してみた。

ゴルフのハンデキャップ(以下、HC)は、腕前に優劣がある者たちが、対等に勝負(ゲーム)するためにルールで決められた、シンプルなツールのはずだ。

だが、コースごとのスロープレーティングが計算され、HCが小数点以下1ケタまで表記されるようになってから、これは空手や柔道の〝黒帯〟だな、と感じることが多くなった。腕前を示す〝肩書〟ということだ。

もちろん、以前からHC9以下を「シングル」、5以下を「5下」と呼んで上級者のカテゴリー分けする風潮はあった。だが、明らかにクラブ競技ではアンダーHC競技があり、本来の機能も果たしていた。

ところが、小数点以下の表記になってから、やれマッチプレーでは計算しづらいだの、使いにくいからオフィシャルではなくクラブ独自のHCを決めて運営するだのといった話があちらこちらで起きてきた。

結局、JGAなどの公式競技に参加したいアスリートや、全国的に公正と思われる腕前の評価を知りたい人だけが真剣に利用している〝肩書〟になってしまったというわけだ。

別に、それが悪いわけではない。スポーツで腕前の公式な評価基準があることは、有意義だと思っている。

私が物足りなく感じているのは〝対等に勝負するためのツール〟という点だ。

現状、ゴルフ競技は数多くカテゴリー分けがされている。老若男女、プロとアマ。シニア枠でもグランド、ゴールド等々。

これがボクシングや砲丸投げといった、埋めようもない体格差や筋力特性が影響するスポーツなら仕方がない。だが、ゴルフはどうか。年齢も性別も問わずに楽しめるスポーツとして認知されているはずなのに、どうして同じ土俵、いやフィールドで競技ができないのだろうか。

ことゲーム、たとえばトランプやチェス、将棋ならこういったカテゴリー分けを必要としない。ゴルフでも、たとえば4メートルくらいのパット勝負だけなら、8歳のジュニアや80歳のシニアでも、 プロと対等に戦えるだろう。

パットだけでなく、通常のコースのラウンドで、誰でも対等に戦える条件を整えてみたい、という考え方はおかしいだろうか。

日本ではシーズンの終わりに「3ツアーズ選手権」がある。シニア(PGA)、男子(JGTO)、女子(JLPGA)の対抗戦だが、体力差=飛距離差を埋めるために、使用ティを変えることで対応している。

このように、使用ティを変えたり、使える道具(クラブ)を制限したりすることで〝対等に勝負できる条件〟を考えるのは、ゴルフというゲームの本質に迫ることだと思う。

さて、プロにもHCを、と考えたのは、同様に男女混合での競い合いが見たいのと、体力差より技術力の差を見たいからだ。つまり、体力差だけ埋められればいい。

HCをスコア調整の数値だけとは捉えない。元々ゴルフはターゲットゲーム。「ピンを狙える距離のショットの精度が勝負を決める」という条件を満たすHCを考えると、ワクワクしてくる。

もし私がプロの男女混合競技をセッティングできるなら、ティショットのクラブを男子は6番アイアン以下(セカンド以降はFWも可)にする。これで女子と同じティで戦わせてみたい。

女子と、その30ヤードほど後ろからセカンドを打つ男子。いい勝負になると思う。試してみたい。


Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ


重箱の隅、つつかせていただきます

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