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ウッドとアイアン。打ち方の統一はできるものなのか?

重箱の隅、つつかせていただきます|第16回

2021/12/07 ゴルフサプリ編集部

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど……。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

GOLF TODAY本誌 No.594/70ページより

戸川景
とがわ・ひかる。1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て㈱オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。

打ち方の統一はできるものなのか?

ウッドとアイアンは同じ打ち方でいいのか、と聞かれることがある。最近は、ユーティリティの打ち方はアイアン寄りか、ウッド寄りか、とも。

私の回答は、同じつもりで振って違う打ち方になるのが一番カンタン、でもそれぞれ違う打ち方をイメージしてもいい、というもの。少し、説明しよう。

クラブ設計家の故・竹林隆光氏は、打ち方は道具(クラブ)で変わる、と語っていた。スイング進化論というわけではなく、番手ごとにもそれはある、と。

たとえばウッドを持てばウッドの振り方になり、アイアンを見ればアイアンの打ち方をイメージするようになるのが人間。ヘッドの見た目やシャフトの長さで、なんとなく当て方を想像し、それなりの振り方になるという。

話を聞いている途中、確かに見た目もさることながら、ウェッジでシャフトが水平になるまで振り上げることはないな、と考えていた。同じ振り方なら、振り上げる大きさも同じにするはずだ。

ここで、アイアンの番手ごとのスペックに疑問が生じた。なぜ同じ長さにしないのか。バランス理論もおかしい。短い番手はヘッドを重く、長い番手は軽くして動的モーメント(振り心地)を揃えるなら、スタンス幅も振り幅も同じでいいはずなのに、短い番手はスリークォーターでは、変だ。

長さの違いは、ハリー・バードンの時代は使い勝手。短い距離は短いもののほうが加減しやすいから。だが、ボビー・ジョーンズの頃に30本以上も持ち歩くプレーヤーが登場し、16本規制、後に14本規制になる段階でアイアンを作る際には、まずヘッド重量ありきだったようだ。

ペラペラの板のようなヘッドでは、ロフトが増えるほどフェース高さが必要になり、それだけ重くなったはず。重いヘッドで振りづらくなるぶん、短くして振りやすくする、といったところか。

だが、物理的に飛距離を落として飛ばなくするには、ヘッドは軽いほうがいいはず。この考えを妨げているのは、スイングの統一感を求めたい気持ちと、いい加減なバランス理論のせいだと思う。

実際、バランス理論はおかしい。斜面や風の中で短く持ったら、もう動的モーメントはグッと軽くなる。同じバランスでも、重心距離が長くなれば、振りづらくなる。同じ振り心地にはなり得ない。

番手ごとのスイングを統一するなら、ロフトだけが違って飛距離の打ち分けができるように、少なくともシャフトなどのパーツ重量、レングス、重心距離、ヘッド慣性モーメント、重心角は統一しないと無理だ。

ブライソン・デシャンボーのように体を鍛えてスイングを磨けば、スイング統一も目指せるかもしれないが、私はそれ自体、本末転倒だと思っている。

要は、番手ごとの飛距離、ライ対応のパフォーマンスを発揮できればいいはず。つまりスイングは統一しなくていい、というほうが、本当は正解だと思っている。

パターは他のクラブと打ち方もスペックも違って当然と考えるなら、ウェッジもアイアンとやることが違うと考えて、スペックが違っていてもいいはず。

ウッド類がカーボンシャフトでアイアン類が素材の違うスチールシャフトでいい時点で、緻密な統一は必要ない、と考えるのが正解のはずなのに、なぜかバランスだけ合わせたがる人がいる。ナンセンスだと思う。

ゴルフがターゲットゲームなら、打面コントロールからスペックを考えたほうがいい。それには軽くて動くヘッドのほうがやりやすいはず。特にアイアンとウェッジは。バランスを度外視するとその可能性が見えてくる。


Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ


重箱の隅、つつかせていただきます

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