「2勝目の壁」を楽々クリアした吉田優利。難易度はいかに!?
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.96
21歳の吉田優利がゴルフ5レディスで通算2勝目を挙げた。初優勝からわずか4試合目での出来事だった。あっさりと「2勝目の壁」をクリアしたわけだが、そもそも2勝目を手にするのはどのくらいの難易度なのだろうか。
「2勝目の壁」を楽々クリアした吉田優利。難易度はいかに!?
スポーツ界では「2年目のジンクス」という言葉がしばしば使われる。ゴルフ界では「2勝してこそ本物」という言葉を聞くことがある。ともに、初めて結果を出した時はその後が大事であり、難しいということを表しているのだと思う。
では、実際に「2勝目の壁」というものは存在するのだろうか。女子でツアー制度が施行された1988年以降、先日のゴルフ5レディスまでに初優勝を挙げた日本選手を対象に調査してみた。
調査対象は138人。うち、ゴルフ5レディス終了時で1勝のみの選手は41人いた。逆の見方をすれば複数勝利を挙げている選手が97人いるということ。実に70.3%もの選手が「2勝目の壁」をクリアしていることになる。つまり、初優勝という高い壁を乗り越えた選手なら次の壁も越えていく力は十分にあるということではないだろうか。
次は「2勝目の壁」を越えるまでのスピードに注目してみたい。初優勝から1年以内に2勝目を挙げた選手は56人いた。多くの選手が初優勝の余韻がある程度残っている時期に再び優勝しているのである。
さらに絞って初優勝から10試合以内ならどうか。今回の吉田を含めて24人いた。138人中24人で率にすると17.4%。つまり初優勝をすれば6人に1人程度が10試合以内に2勝目を飾っているということ。初優勝の勢いというものは、なかなかの威力があるようだ。
2019年以降で見ても、渋野日向子(7試合目)、柏原明日架(4試合目)、笹生優花(1試合目)、古江彩佳(10試合目)、そして吉田(4試合目)とあっという間に2勝目を挙げた選手が相次いでいる。今年に入って初優勝を飾った山下美有夢や堀琴音もシーズン中に2勝目を手にするチャンスは十分にありそうだ。
吉田優利の初優勝から2勝目までの成績
大会 | 成績 |
---|---|
楽天スーパーレディース | 優勝 |
NEC軽井沢72トーナメント | 32位 |
CAT Ladies | 6位 |
ニトリレディス | 予選落ち |
ゴルフ5レディス | 優勝 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/2021アース・モンダミンカップ
撮影/相田克己
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