PGAツアー「ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン」の取り組み
SDGsとゴルフ|第4回
SDGsとは,Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴール・169のターゲットから構成されている。
世界の強豪プロが集うPGAツアー。年間約45試合が開催されているが、最も多くのギャラリーを集めるのが2月に開催される「ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン」。一週間で70万人以上のギャラリーを動員した年もある。実はこの試合、世界最大の廃棄物ゼロのスポーツイベントとして、世界的に知られている大会でもある。
GOLF TODAY本誌 No.593/101ページより
ゴルフトーナメントで廃棄物ゼロ、カーボンニュートラルを実現
ゴミ収集・廃棄物処理最大手が冠スポンサー
松山英樹選手が2度優勝している大会ということもあり、「ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン」をテレビやネットで観戦したことのある方は多いのではないだろうか?
特に有名なホールは16番(パー3)。スタジアムホールとも呼ばれ、各選手がショットを行うと、このホールだけで約2万人いるというギャラリーが歓声を上げる。そんな光景の裏で大規模イベントとしては画期的なことを成し遂げている。廃棄物ゼロ、カーボンニュートラルを実現しているのだ。
大会のメインスポンサーでもあるウェイスト・マネジメント社は、北米のゴミ収集・廃棄物処理最大手。PGAツアーの公式サイトの記事によると、ウェイスト・マネジメント社は「業界のリーダーとしての役割を真剣に受け止めており、大会の冠スポンサーとしての立場を利用して、廃棄物ゼロの環境ソリューションが可能であり、実際に機能することを示したいと考えている」と話している。
芝生の上で開催される最も環境にやさしいショー
どのように廃棄物ゼロ、カーボンニュートラルを実現しているのか?PGAツアーの公式サイトの記事によると「2012年以来、大会の廃棄物をリサイクル、堆肥化、寄付、再利用、またはエネルギー生成などに転換」しているという。
また、2017年からはカーボンニュートラルな大会としており、「大会運営や大会関連の移動に伴う温室効果ガスの排出をすべて相殺」しているそうだ。さらに、「アリゾナ・パブリック・サービスから100%再生可能な電力を購入しており、2011年からは、調理や清掃で出た水を会場内のトイレに再利用」しているという徹底ぶりだ。
ウェイスト・マネジメント社の大会の取り組みを紹介するWebページには、「THE GREENEST SHOW ON GRASS」という見出しがある。これは「芝生の上で開催される最も環境にやさしいショー(ゴルフトーナメント)」と訳せる。
「#GreenestShowonGrass」のオブジェが会場内にある。このハッシュタグはSNSで世界中に広まっている。大規模イベントでも廃棄物ゼロ、カーボンニュートラルが実現できるという人間の限界に挑戦する取り組みを、世界中の様々なイベントにも広げていきたいというウェイスト・マネジメント社の思いが伝わってくる。
北村 収
1968年東京都生まれ。ゴルフ雑誌(ALBA)編集部、ゴルフダイジェスト・オンライン メディア部門に所属後、2011年に株式会社ナインバリューズを設立。ゴルフ分野を中心に、取材・執筆・編集からソーシャルメディア、web、Eコマースの企画運営まで総合プロデュースを手掛ける。