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五輪ゴルフをよりエキサイティングにするには競技形式のダイバーシティ化が必要?

佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー

2021/09/07 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.592/99ページより

「団体戦」や「男女混合戦」、そしてパラリンピック競技も実現を!

五輪ゴルフは112年ぶりに競技復活し東京五輪で2大会目。コロナ禍、猛暑、無観客という史上最も困難な条件下でも選手の情熱と多くの人たちの尽力で世界に誇れる大会となり、稲見萌寧のプレーオフの末の銀メダル獲得はうれしい結実だった。

そして次のパリ五輪からはIOCが求める競技のコンパクト化、スピード化、多様性など変化と工夫も必要だと感じた。プロゴルフツアーは成熟し、毎週のように高額賞金による試合が世界各地で開催、中継されている。国を代表してプレーする五輪ゴルフは選手にとって格別でも、男女ともに「72ホールのストロークプレーによる個人戦」のみでは単調に感じた人も多かったからだ。五輪においてもゴルフが注目競技であり続けるためにはツアー競技の常識を打破するほどのOne & Onlyが求められる時が来たと思う。

東京五輪ゴルフ競技の男子は米国のザンダー・シャウフェレが金メダルを獲得したが、ストロークプレーという試合形式ではツアーと変わらず五輪らしさがでないという意見も。

これからの五輪ゴルフについて、方向性を変えず、よりエキサイティングになる方法として「個人」「団体」「男女混合」の3つの競技を行ってはどうかと考える。

ストロークプレーの個人戦は従来通り行うが、ホール数を18もしくは36ホールに短縮し開催することでコンパクト化が実現できる。

さらに、テニスや卓球のように3つの団体戦(男女それぞれの団体戦と男女混合)を追加開催する。競技方法はフォアサム(1つのボールを交互に打つ)で、18ホールのストロークプレー。団体戦こそ五輪の目指す「ユナイト」(一体、団結)であり国や地域の代表という意識はより高まる。

男女混合は各国の男女上位選手がペアを組み開催。このスタイルの試合形式は6月欧州ツアーでアニカ・ソレンスタムとヘンリク・ステンソンがホスト役で初開催し成功を収め、米国でも開催を模索中。プロの世界ではすでに変化の兆しがあり、五輪競技の一つとして好機であると同時に多様性やジェンダーの点でも理念に沿う。
 
競技方法のフォアサムは4人一組でも18ホール3時間半あれば十分完了できるほどのスピードアップが期待できる。男女合計5種目と増えても最大7日7ラウンドで、従来の男女ストロークプレーより短時間&短期間で終了できスピード化も図れる。

五輪は短時間で勝敗が決まる競技が多く、ゴルフは桁外れの長時間競技。指針に基づき内容充実を追求しなければ競技から除外される可能性があり、それは何としても避けねばならない課題だ。

僕の願いはゴルフがパラリンピック競技にも加わること。そのためにも五輪ゴルフのドラスティックな変革が必要不可欠だと感じている。

プレーオフの末に日本初の銀メダルをゴルフ競技で獲得した稲見萌寧。

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。

写真/INTERNATIONAL GOLF FEDERATION


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