稲見萌寧が歴代2位の年少記録でV10達成! 狙うはV20記録!?
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.106
稲見萌寧(都築電気)が伊藤園レディスで節目の通算10勝目を挙げた。22歳108日での10勝は宮里藍の20歳105日に次ぐ歴代2位の年少記録。では、試合数ではどうか。歴史をさかのぼると恐るべき記録が存在した。
稲見が歴代2位の年少記録でV10達成! 狙うはV20記録!?
国内女子ツアーで通算10勝に到達したのは稲見が39人目となる。稲見が要した試合数はアマチュア時代も含めて85試合。これは歴代6位にあたる。
新聞等では稲見の試合数を「73」と報じているが、それはプロ入り後のみ。たとえば最年少記録である宮里藍の20歳105日は高校3年時の優勝も含めて10勝目を達成した時点であるから、アマチュア時代の試合数も加えなければ整合性がない。また、海外選手はツアーメンバーになる前と米女子ツアーの資格で出場した日本開催の米女子ツアー大会も含めているのでご了解いただきたい。
39人中100試合以内での10勝は下記の表の7人しかいない。いずれもツアーを代表する選手だ。稲見も歴史に名をのこすレジェンド級の選手へと歩を進めたといえるだろう。
さて、注目していただきたいのは歴代1位・樋口久子の試合数だ。何と、たったの13試合なのである。樋口は女子プロ1期生で、当時は選手の数自体が少なかったという事実はあるが、それを差し引いても恐るべき勝率である。
樋口は女子初のトーナメントである1967年の日本プロゴルフ女子部創設競技こそ2位に甘んじたが以降は3年にわたって6連勝。2試合足踏みしたあと再び連勝街道を突き進み、1971年の東海クラシックで10勝に到達した。まさに独壇場だったわけで、さすがにこの記録に迫ろうかという選手はこの先も出てこないだろう。
この先、稲見に期待したいのは通算20勝関連の記録だ。試合数では樋口の「27」がそびえ立っているから不可能だが、最年少記録は不動裕理の26歳314日だから十分にチャンスあり。来季以降もこのペースでいければ、とてつもない大記録が生まれそうだ。
女子ツアー通算10勝に要した試合数トップ7
選手 | 試合数 | 10勝目の大会 |
---|---|---|
樋口久子 | 13試合 | 1971年東海クラシック |
ト(※)阿玉 | 64試合 | 1979年JLPGAレディーボーデンカップ |
アンソンジュ | 65試合 | 2012年ニトリレディス |
宮里藍 | 69試合 | 2005年日本女子オープン |
申ジエ | 77試合 | 2015年サイバーエージェントレディス |
稲見萌寧 | 85試合 | 2021年伊藤園レディス |
岡本綾子 | 95試合 | 1980年熊本中央レディス |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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