ベン・ホーガン ドローに効く「微スライド」とは?
アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第3回]
“和製ホーガン”と呼ばれた陳清波のスイング。だが、インサイドからのブローを促す動きはホーガンは“腰のターン”で、陳は“ヒザのスライド”。「実はほぼ同じポイントがある」と森プロは言う。
GOLF TODAY本誌 No.593 73〜77ページより
スイング軸が右傾するとドローではなくフックに
インサイドから振る意識はドローの大敵
ドローを打つヘッド軌道は、わずかなインサイドアウトが正解。だが、それを意識しなくても、円軌道の最下点の手前でとらえるダウンブローなら、必要十分な条件を満たしている、と森プロ。
「意識的にインサイドから当てようとすると、やりすぎになってフックのミスが生じやすくなります。特に、アドレスからスイング軸が右に傾くようになると、いわゆるフック病となり、直すのが困難になります」
インサイドから振りやすいトップは、右腰が引けて頭が右にズレた体勢になりがち。
「ヘッド・ビハインド・ザ・ボールは正しいのですが、頭の右ズレ、スイング軸の右傾は別です。左サイドの動きが詰まりやすく、ヘッドは走ってもヒッカケやすくなるだけです。
ホーガンも陳清波も、スイング軸は右傾せず、わずかなスライド動作でドローを安定させました」
右傾と空回りを防ぐダウンの“微スライド”
陳の憧れとなった切り返しの動き
陳清波は、カナダカップで見たホーガンのフットワークと強弾道に驚き、独自に研究を重ねた。結果、意識するポイントは異なるが、動きと弾道はかなり近づいたという。
ホーガン
陳
ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
森プロの師匠・陳清波の“決め球”は「曲がり幅1ヤードのドロー」だという。ホーガンの技術に憧れた陳清波が磨き上げた伸びの...
<たぐり動作でヒット>真っすぐなアドレスは〝決め球〟でも変えない
右傾しないスイングをワイドスタンスで確認
右傾しないから“たぐり”でダウンブローを促せる
“たぐり動作”でつかまえる
ワッグルの動きと同じく、左手でグリップエンドを先行させてから、たぐり寄せる動きでヘッドをリリース。フェースターンが促されるが、ウィークグリップならインパクトでつかまりすぎない。
スライドは正しいターンのサポートで十分
「スイング軌道を安定させるには、フェード、ドローに限らず、切り返しでの運動連鎖とスイング軸の安定が大切です。
それには、左足の踏み込みからスタートすればいいわけですが、イメージを間違えると左腰が引けて開きすぎたり、左に流れてリリースが遅れすぎたりといったミスにつながります」
ホーガンがイメージしたのは、左腰のターン。
「両ヒザを軽く締めていたことで、左腰を後ろに引くイメージでも空回りにならず、わずかに左にスライドして腕とクラブのリリースを促しました。
でも、その動きを見た陳清波は、フットワークに柔軟性と俊敏さを感じ、両ヒザのスライドをイメージすることで、実質的にほぼ同じ動作をマスターできたんです」
腰のスライド幅はほんのわずかで十分。背骨が後ろに引けなければ、ターン重視でОKだ。
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
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