シングルゴルファーの神ドリルPART1|スイング作りに役立つ基本のドリル(前編)
【時短練習スペシャル】練習は量より質!シングルさんの練習法であなたもシングル!
高度なテクニックも土台があってこそ。上級者がふだんの練習でもっとも時間を割いているのは基本中の基本のおさらいだ。スイングの基礎を身につけたい人や不調から抜け出したい人にオススメのシンプルドリルをご紹介する。
GOLF TODAY本誌 No.593 28〜37ページより
GolfDrill①|3ステップのショートスイングでフェース向きと手の位置を確認
フルスイングしたときには気付きにくいミスの原因を把握できるのがショートスイング。小さなスイングから徐々に大きなスイングに移行するのでウォーミングアップにも最適だ。
Profile
榊原吉規さん
(さかきばら よしのり)1980年5月23日生まれ。愛知県出身。10歳でゴルフを始める。2016年「全日本パブリックミッドアマ」「中部年代別ゴルフ選手権「東海マスターズ」など数々の大会で優勝。ドライバー平均飛距離255ヤード。
両ヒジの間隔を変えないように意識する
大きく振ってもヘッド軌道は同じ
榊原さんのドリルは3つのステップに分かれている。
最初は10ヤードくらいをイメージした小さなスイング。ポイントは、両腕と肩の三角形を保つことと、フェースの向きを変えないようにテークバックを真っすぐ引くこと。グリップは本番のアプローチと同じように短く持つ。
慣れてきたらスタンスを少し広げて、グリップを少し長く持つ。クラブは右腰の高さから左腰の高さまでくらいにして、左右対称になるように振る。だいたい30ヤードくらいのイメージです。最後は手を肩の高さまで上げるハーフスイング。グリップを長めに握り、小さいスイングのときとヘッドの通り道が同じになるように意識する。
ウォーミングアップも兼ねているのでふだんはSWを使用するが、球筋をチェックしたいときにはショートアイアンを使ってもいい。
応用編|ハーフスイングでドライバーの曲がりも解消
三角形を意識し過ぎると肩が上がって 曲がりも解消力みやすいので、グリップをふだんよりやわらかく握りましょう。両ヒジの間隔が変わらないように意識すれば、自然と三角形はキープできます。始動と切り返しで下半身をどこから動かすのか明確にすれば、さらにいい練習になります。
GolfDrill②|片手打ちで再現性の高い左手リードを身につける
左手リードで振るコツを身につけるには
左手1本で打ってみるのが一番。練習の始めに
PWの片手打ちドリルを行うことで
再現性の高いスイングが完成する。
Profile
木下輝洋さん
(きのした てるひろ)1973年11月6日生まれ。長崎県出身。12歳でゴルフを始める。2019年「関東ミッドアマ」5位タイ。「日本ミッドアマ」23位タイ。ドライバー平均飛距離270ヤード。ベストスコア66。
①左肩をボールの位置まで回す。
②フェース向きを意識しながらストローク。
③フィニッシュでバランスよく立てればオーケー。
練習の始まりに片手打ち30球が定番
使用する番手はPW。片手でフルショットは難しいのでスリークォーターなりハーフショットなり無理のない範囲で振る。ストローク中はとくにフェースの向きに気をつけて、インパクトのときにスクエアに戻るようにする。左手だけで上手に当てるコツは、ダウンスイングで上半身を右に向けたままクラブを下ろし始めること。そうすればクラブが自然にインサイドから入り、フェースがかぶらない。腕の力でクラブを引き下ろそうとすると、手が浮いてトップしやすい。重力任せでクラブを真下に落とせば、アドレス時の位置に自然にヘッドが下りてくる。
このドリルをラウンド前に行うときは、同時にバックスイングで体がどこまで回るのかチェックしよう。左肩がボールの位置まで回ればオーケーだ。
腕の力ではなく重力を使ってクラブを落とす
応用編|スイングスピードを上げるための練習と実践
(左)素振り用スティックを先の重い向きで振って肩甲骨周りを伸ばし、先の軽い向きで思い切り速く振れば、スイングスピードを上げられる。
(右)Rシャフトを入れた総重量290グラムのドライバーを使用。軽くて軟らかいスペックでヘッドスピードを上げている。
クラブをリードするのは左手なので、とてもいい練習です。ティアップして打つとさらに効果的。慣れてきたらSWなどロフトのあるクラブを使って、フェースに球を乗せる練習をしましょう。さらに右手の片手打ちもやってみると、両手の役割がよく分かってきます。
GolfDrill③|腕脱力のハーフショットで朝イチのミスも激減する
Profile
和田雅英さん
(わだ まさひで)1965年7月7日生まれ。東京都出身。兄・和田博さんの影響で12歳でゴルフを始める。専修大3年時に「日刊スポーツ杯関東学生」で鈴木亨や川岸良兼を抑えて優勝。ナショナルチームにも選ばれた。
やさしい9番アイアンなら力を抜きやすい
朝イチのミスショットの原因でもっとも多いのは、手を使ってボールをつかまえにいく動き。ウォーミングアップを兼ねたハーフショットで下半身の使い方を確認しよう。
下半身を回しながらテークバックする
朝イチのショットでは体が動きにくい分、腕に力が入ってふだん出ないようなミスが起きる。それを防ぐために、なるべく上半身を使わないようにしてクラブを振る。
ポイントは、ソールしたらまず腕の力を抜くこと。手でクラブを持ち上げるのではなく、下半身を回してテークバックを始動し、ダウンスイングでは腰から切るようにして戻す。スタンスと平行のガイドライン(クラブ)より内側に手が入らないように上げることが2つめのポイント。クラブを上げた段階ですでにボールを打つ体勢ができているので、あとはクラブを下ろすだけでボールが勝手に目標に向かって飛んでくれる。
同じ要領でバックスイングを深くすれば、フルショットになる。ウォーミングアップを兼ねて練習の始めに採り入れたい。
下半身から動かして、回転に手がついてくる理想的な打ち方をマスターできます。ガイドラインを置いて、その中に手を収めることも大事です。何も付け足すことがないいい練習法ですが、練習場でもコースにいるようなイメージで打てれば完璧です。
GolfDrill④|ウォーミングアップを兼ねたハーフスイングは本番でも使える
Profile
渡部智仁さん
(わたべ ともひと)1977年5月15日生まれ。茨城県出身。競技ゴルフは地元の茨城県アマやスクランブル大会などが中心。2017年「茨城県アマチュアゴルフ連盟選手権」2位、2018年「茨城県アマ」9位タイ。
急がば回れ。練習前のウォーミングアップは必須!
気温の下がるこれからの時期、冷えた身体でクラブを振り回しても満足のいく球は打てない。ハーフスイングで身体の動きをよくしておけば正しい動きが身につきやすい。
振り幅は8割、胸の回転は10割
身体が固まって捻転が十分にできないままボールを打つことは、百害あって一利なし。練習の打ち始めはハーフスイングからスタートしよう。
ハーフスイングでは、クラブの軌道や飛距離を気にする必要はない。クラブを短めに持ち、ゆっくりしたリズムで自分の身体が十分に動いているかどうかだけを確認しながら打つ。
チェックポイントは左肩の向き。最初は浅めに回し、肩が90度近く回って、胸が真後ろを向くようになったらフルショットに移行しよう。
ふだんからハーフスイングを練習しておけば、ラウンド中の応急処置にも応用できる。すっぽ抜け、ヒッカケ、トップ、ダフリなどが出始めたら、番手を1つ上げて軽めに振ればミート率が上がって真っすぐ打てるようになります。
応用編|伸ばしたいのはお尻の後ろ側
両足を固定しないステップ打ちを採り入れるとさらに効果的です。バックスイングで完全に右足に乗り、ダウンで左足に乗ってから打つようにすれば、一番難しい切り返しのリズムがつかめ、下半身から動かせるようになります。タメも作れるので一石二鳥です。
GolfDrill⑤|フィニッシュからの連続素振りで、スムーズなスイング軌道を作る
インパクトで当てに行く意識が強いとかえってボールが飛ばなくなり、ミスショットも増える。理想のフィニッシュをイメージして、しっかりと振り切るスイングを身につけよう。
Profile
酒井 進さん
(さかい すすむ)1973年7月5日生まれ。岐阜県出身。高校入学と同時にゴルフを始め、ゴルフ場に就職して腕を磨く。2006年「全国都道府県ゴルフ選手権岐阜大会」優勝、2019年「岐阜県アマ」2位。ドライバー平均飛距離250ヤード。
フィニッシュからフィニッシュまで止まらず連続で振る
理想のフィニッシュからスタート
トップやインパクトの形は気にしていても、フィニッシュはなりゆきという人が多い。だが、現実にはフィニッシュがきれいな人ほどいい球を打っている。フィニッシュが決まっているスイングは、トップがいい位置に収まり、ヘッド軌道やフェース向きのブレも小さいからだ。
フィニッシュからフィニッシュまでの連続素振りは、理想のフィニッシュを身につけるのに最適なドリルだ。やり方はかんたん。まず左足一本で安定して立てるフィニッシュの形を作る。そこからインパクトを通ってトップの位置までスイングを巻き戻してから、最初に作ったフィニッシュを目指して振り抜くだけ。この動きを繰り返すだけで、トップの位置やスイング軌道、インパクトの形も安定してくる。
インパクトでボールに対して当てにいくことよりも、フィニッシュの形をしっかりイメージしながら振ることが大事。
応用編|ラウンド中でもできる少し控えめな素振り
自分も昔よくやった練習です。理想のフィニッシュになるためには必ず通らなければいけない軌道があり、素振りを繰り返すことで軌道が安定しフィニッシュでさらにバランスよく立てるようになります。ただし、自分と球筋の違うプロのフィニッシュをマネしてはいけません。
アドバイザー
寺西 明
(てらにし あきら)30歳でゴルフを始め、「関西アマ」「関西ミッドアマ」など数々のタイトルを獲得。2015年、49歳でプロテスト一発合格。2020年は「日本シニアオープン」で優勝し、シニアツアー賞金王獲得。ツアー通算6勝。ゴルフ塾「寺小屋」で多くのプロやアマを指導する。
協力/関東ゴルフ連盟