世界で大活躍!日本人アマチュアの実力が上がっている理由
レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第13回
今年は日本人アマチュア選手たちの大躍進と言っていいほどの嬉しいニュースが続いています。マスターズ女子アマで優勝した高校生の梶谷翼さん、世界アマチュアゴルフランキングのトップには今月アブダビで行われたアジアパシフィックアマチュア選手権で優勝した中島啓太くんがついています。さらに同じくアジアパシフィックアマチュア選手権女子の部では橋本美月さんが優勝。その試合では男子も女子も出場した日本人選手が全員予選通過したというから、日本のアマチュア選手層の実力の底上げが間違いなくされているのがわかります。
私なりにこの若い日本人アマチュア選手たちが世界でも活躍し始めているその背景を探ってみた時に頭に浮かんだことが2つありますので、みなさんにシェアしたいと思います。
ナショナルチームのガレス・ジョーンズ氏の功績
日本のアマチュア選手たちをサポートしているのがJGA(日本ゴルフ協会)ですが、日本人の快進撃を導く分岐点となったのは、ナショナルチーム強化のために招聘された助っ人外人コーチのガレス・ジョーンズ(豪)のメソッドを取り入れ始めたことが一番大きいと思います。当初は外国の考え方には抵抗があったのか積極的にジョーンズコーチの話をあまり聞く人は多くはなかったのですが、畑岡奈紗選手がいち早く彼のメソッドを受け入れいて成績を残し始め、それを見た男子の選手らも彼の話を聞き始め、そこから徐々に選手層が厚くなり始めました。
ジョーンズコーチが何を教えているかというと、ものすごく基本的なことなんです。例えば練習の仕方、自分の弱点の見つけ方、練習時間の費やし方、スコアを伸ばすにはどんな練習をすればいいのか、ショートゲームを中心にゲームを組み立てるのにショートゲームの弱点がどこにあってそれをどう強化するのか、などなど。今までの素質のある若い高校生、大学生の選手たちはボールストライキングが上手ければそれをもっと磨こうという方向に焦点が行きやすいんですが、ジョーンズコーチはどちらかと言えばスコアを作ることに焦点を当てた分析をして、地味な積み重ねになるんですが、ショートゲームの苦手分野の強化、コースマネージメントの考え方などを徹底的に叩きこむ指導を続け、その結果今のような選手たちの活躍に繋がってきているのだと思います。
私を含めてほとんど選手は職人気質というのか、一つの技術に対して追求していく方向に傾きがちなんですが、実は試合を戦う上で大切な要素って他にたくさんあってそれが置き去りにされていることが結構ありますが、ジョーンズコーチはそこに焦点を当てて取り組んだというところが今のナショナルチームの方針にもなり、結果もついてきているんだと思います。
米国の大学で腕を磨き成長している選手が増大
アジアパシフィックアマチュアに出場していた阪根竜之介くんはノースフロリダ大学、森山友貴くんはオレゴン大学、そして欧陽子龍くんは東京育ちですが今はオクラホマ州立大学と今回出場した日本人男子の半分はアメリカの大学に留学をしていてその海外組がアブダビに集まってきました。女子でも長野未祈さんはフロリダのセミノール州立短大に在籍していますし、他国でも多くの若い選手たちがアメリカの大学ゴルフ部に留学をしてそこから今回の試合に集まってきています。こういうところを見ると、アメリカの大学で腕を磨いて世界の舞台で活躍をするというのが世界の主流であり、その流れに日本や日系の若い選手たちも乗り始めていることがわかります。このことも実力の底上げに貢献していると思います。
私もアメリカの東テネシー州立大学で腕を磨いたひとりですが、アメリカのゴルフ部は練習施設環境は抜群に良く、試合も年間15試合前後で試合経験もたくさん積め、奨学金でゴルフ部に入るので学費と経費は大学持ち、大学内で試合に出るための予選会もあってゴルフする機会は間違いなく多いです。がその反面、勉強も強制的にやらされるのでまずはそこをクリアしなければならない大きな関門はありますが、でもこれはプロになってもそうだし、プロ生活が終わった後でも絶対にその苦しい経験は生きてきますから、遠回りのように見えて実は長い目で見ていいこともたくさんあります。ですので、私はいつも日本のジュニアゴルファーたちにはアメリカの大学のゴルフ部で腕を磨くという選択肢もあるんだよということを機会があるごとにお伝えしています。
いずれにしましても、これからの日本のゴルフ界を作っていく若い世代が活躍し始めているということは本当に明るい気持ちにしていくれます。心から応援したいです。
ここに書けなかった渋野選手、古江選手も参戦するUS LPGA最終予選会の情報などは、下記「レックス倉本のBYTC GOLF」のYouTube音声動画で引き続きお楽しみ下さい。Podcastでも配信中。
▼レックス倉本 プロフィール
本名は倉本泰信(くらもとやすのぶ)。1991年プロゴルファーに転向/コメンテーター歴14年広島出身。広島カープの大ファン。毎朝、目覚めとともにカープの試合状況をチェックするのが日課。大学時代をアメリカで過ごしたとき、唯一日本のブリヂストンのボール”Rexter”を使っていたのでゴルフ部のチームメイトから”REX”(レックス)と呼ばれるようになる。アマチュアゴルファー時代は、広島県の瀬戸内高校ゴルフ部からアメリカのオクラホマ州立大学を経てイーストテネシー州立大学ゴルフ部で腕を磨く。在学中には2度オールアメリカンに選出され、1990年に日本アマチュア選手権優勝、全英オープン出場を果たす。大学卒業後、1991年に日本のプロテストを合格しプロデビュー。その後、ヨーロピアンツアー、カナダツアー、アジアツアー、日本国内ツアー(1995年2部ツアーの賞金王に輝く)に参戦。2007年より米国ゴルフチャンネルでUS PGA Tour 、European Tour、US LPGA Tourなどのコメンテーターとして活躍。現在はフリーランスとしてGOLF TVでの解説のほか、 NHK、WOWOWでUS PGA Tour、US LPGA TOURの現地レポーターとしても活躍中。
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