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日本のギャラリーを熱狂させた松山英樹の技の深み

レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第12回

2021/10/26 ゴルフサプリ 編集部

ZOZOチャンピオンシップの松山英樹

ZOZOチャンピオンシップの松山英樹

松山英樹の優勝で幕を閉じたZOZOチャンピオンシップ。マスターズチャンピオンとしての強さを、日本の地で日本のギャラリーに見せつけてくれました。松山選手の強さはどんなところにあるのか?長年、米国ツアーの解説を行っているレックス倉本氏が分析する。

写真/相田克己

試合に勝つことよりも、より高いレベルのゴルフを追求し続ける松山

いやー、ZOZOチャンピオンシップは素晴らしい試合になりました。初日からスタートダッシュをかけた松山選手が最後まで試合を引っ張り、最後は2位に5打差をつけて堂々の勝利。松山選手の底力を他の選手に見せつけて勝った、そんな印象の試合でした。

そして、もうひとつ心に響いたことは、習志野CCに来ていたたくさんのギャラリーたちの素晴らしい応援ぶり。何より海外から来ていた選手たちにも大好評のフェアーで熱い声援だったことで、週末松山選手と一緒にプレーした普段はもの静かなトリンガーリ選手もその声援に応えるパフォーマンスを何度もしてしまうほどで米国メディアでも大絶賛。日本人として私も誇らしい気持ちになりました。

今日はそのZOZOでの松山選手のプレーを振り返りながら、松山選手の底力はどんなところにあるのかを(僭越ながら)少し私なりに探ってみたいと思います。まず、今回の勝因ですが、何よりも他の選手と比べて松山選手が格上だったということ。それから、2019年大会もそうだったのですが、スター選手が初日にいいスタートダッシュをきったら、その後難しいコースセッティングの習志野CCではトップグループを走っている選手たちが有利なこと。2019年大会ではタイガーが初日はトップスタートし優勝、今回は松山選手が2位スタートで優勝。習志野は難しいPAR4が数ホール続く中、10月開催でボールも飛ばなくなるし、最終日に向けてコースも固くなってくるからスコアーも出しにくくなる。そんな中でスター選手が初日から飛び出すと最後まで勝ち抜く可能性はグッと上がります。なので、松山選手が初日に良いスタートを切ったことが1番のアドバンデージだったと思います。さらに、最終日のバックナインで実力をいかんなく発揮したことで勝利が確定しました。

松山選手、今回はスタート前から調子は良くない、ということをインタビューで答えていました。これまでも同じようなコメントが試合前後で聞かれることもあったのですが、私が思うに、これは松山選手のユニークなところと言っていいのですが、松山選手は試合で優勝争いするだけの実力はすでに十分持っているのですが、それ以上に彼が求めていることが高いので常にそういう課題に取り組みながら戦っていると思うんです。より高いレベルのゴルフを追求することが試合に勝つことよりも優ってしまうことがあって、だから無茶苦茶調子が悪いというよりも、自分ができないことに対するフラストレーションで結果的に成績につながらなかった、ということはあったと思います。それが彼のプレースタイルだし、そういう積み重ねがあるからこそ、要所要所で素晴らしいプレーを発揮でき、彼の底力の土台を作っているのだと思います。ただ、今回の習志野では初日から松山選手は大ギャラリーを引き連れてのプレーとなったことで、自分のプレーの内容以上に結果を残す方に自分の頭がすっと移行するマインドセットがあったのではないでしょうか。

パットを沈め拳を握った松山英樹
パットを沈め拳を握った松山英樹

最終日の18番のセカンドのようなショットが打てるのに、敢えて安全に行くという戦い方

松山英樹と大ギャラリー
松山英樹と大ギャラリー

松山選手は2日目からはフック系のボールで基本の攻め方はをしていたように見えました。彼はどちらかといえばフック系のボールをコントロールできる時が自分の調子が上がってきている時です。最終日にバックナインに入ってもフック系のボールで全てのホールを攻略していて、最後の最後にあの18番のセカンドショットをスライス系でピンを攻めてスーパーショットを放ちました。皆さんの記憶にも強く残るような素晴らしいショットです。

あの時はトリンガーリ選手がセカンドショットを右に大きく曲げたのでほぼほぼ松山選手の優勝が決まった状況で、自分自身のパフォーマンスを発揮するのみという場面に彼はそれを見事にやってのけました。もちろんこのショットは凄いんですが、バックナインの彼のショットを振り返ると、いいショットもあるし、ミスショットに近いようなショットもあって、ポテンシャル的には18番のセカンドのようなショットが打てるんですが、敢えてそれをせずに安全に行くという戦いかたをするのがトーナメントだと思うんです。

だからあの18番のスーパーショットを見たからこそ、バックナインに入って優勝争いをしていたその一打一打の選び方とその凄みというのが逆に鮮明に見えてきました。安全なショットしか打てない、というのではなく、いいショットが打てるんだけど敢えてそういう安全なショットの選択をしながら戦う、スーパースターの技の深みというのか、そういうところが今回の松山選手の底力を作っているんだと感じました。

そして、最後にPGAツアーの試合はこれからもっとアジアのマーケットを意識しながらトーナメントの運営がされていくでしょうし、ZOZOの成功もあることから、ますます日本での試合に力が入ってくると思います。ですから、ゴルフファンがここまで楽しめる試合をもっと増やしていくためにも、日本にこのアメリカツアーの血が入ってくるのは悪いことではないと思うので、これを利用することで日本のゴルフ界を盛り上げる道を探るべきではないのかな、と改めて感じたZOZOチャンピオンシップでした。

さらに詳しい話の続きは、下記「レックス倉本のBYTC GOLF」のYouTube音声動画で引き続きお楽しみ下さい。Podcastでも配信中。「レックス倉本」で検索してください。

レックス倉本

▼レックス倉本 プロフィール
本名は倉本泰信(くらもとやすのぶ)。1991年プロゴルファーに転向/コメンテーター歴14年広島出身。広島カープの大ファン。毎朝、目覚めとともにカープの試合状況をチェックするのが日課。大学時代をアメリカで過ごしたとき、唯一日本のブリヂストンのボール”Rexter”を使っていたのでゴルフ部のチームメイトから”REX”(レックス)と呼ばれるようになる。アマチュアゴルファー時代は、広島県の瀬戸内高校ゴルフ部からアメリカのオクラホマ州立大学を経てイーストテネシー州立大学ゴルフ部で腕を磨く。在学中には2度オールアメリカンに選出され、1990年に日本アマチュア選手権優勝、全英オープン出場を果たす。大学卒業後、1991年に日本のプロテストを合格しプロデビュー。その後、ヨーロピアンツアー、カナダツアー、アジアツアー、日本国内ツアー(1995年2部ツアーの賞金王に輝く)に参戦。2007年より米国ゴルフチャンネルでUS PGA Tour 、European Tour、US LPGA Tourなどのコメンテーターとして活躍。現在はフリーランスとしてGOLF TVでの解説のほか、 NHK、WOWOWでUS PGA Tour、US LPGA TOURの現地レポーターとしても活躍中。


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