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ゴルファーの大敵・腰痛の3大「きっかけ」はゴルフ、大掃除、くしゃみ!

生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第1回 腰痛(1)

2021/12/17 ゴルフサプリ編集部

12月は腰痛の患者さんが急増します。その理由は、忘年ゴルフ、大掃除、くしゃみが引き金になりやすいから。さらに、そもそもの原因は前かがみの姿勢にあると、代々木あおいカイロプラクティックの秋山誠司院長は言います。プレー中前かがみの姿勢をよくとるゴルファーに、腰痛の予防法を教えてもらいました。
■健康指導/秋山誠司氏(代々木あおいカイロプラクティック院長)

ゴルファーの大敵・腰痛の3大「きっかけ」はゴルフ、大掃除、くしゃみ!

腰痛は日頃の前かがみ動作の積み重ねで発症!

「コップの中の水を想像してみてください。腰痛を引き起こす要因(水)は、日常生活で少しずつ注がれていき、いずれコップの容量を超えてしまいます。その手前ぎりぎりで耐えている時“あること”をすれば、水は一気にあふれだし、痛みを発症するのです」代々木あおいカイロプラクティックの秋山誠司院長は、腰痛が発症する過程をこのようにたとえます。

ほとんどの腰痛は、例えば「日曜日にゴルフをしただけで腰痛になってしまったんです」というように、原因がわかりやすいものではないようです。敢えていうなら、一定期間をかけて日常生活のなかで腰に負担がかかる行動や動作を繰り返すところから少しずつ腰痛の要因は積み重なり、“あること”をきっかけに痛みや強い違和感・不快感となって現れるのです。

12月は忘年ゴルフや風呂掃除に要注意!

きっかけになる動作や行動は、ゴルフにも日常生活のなかにもさまざまあります。「例年のことですが、12月と3月には腰痛の患者さんが急増します。なぜかというと、12月は大掃除、3月に入ると花粉症によるくしゃみなど、腰痛のきっかけになる前かがみの動作が非常に多いからです。例えば、お風呂の掃除、草むしり、バケツの水を換える動作、物を拾う動作など、日常生活の中には腰痛の原因となる前かがみの動作がたくさんあります」(カッコ内はすべて秋山誠司院長)。

日々の生活で腰痛の要因がだんだん溜まってコップの水位は上がり、たまたま“あること”によって水があふれるように痛みが出るのです。
 
腰痛を予防するには、コップの水をあふれさせないことが重要ですが、それにはできるだけコップに水を入れないようにする心がけが欠かせません。少しずつでも溜まっていけば、いつか必ずあふれてしまうからです。コップに水を入れないようにするには、ゴルフやふだんの日常生活で気をつけるべき姿勢や行動があるのです。

腰を伸ばしたり・回したりで「ああ気持ちいい」は治りやすい腰痛

秋山院長によると、腰痛には、筋肉性腰痛と屈曲性腰痛の2つのタイプがあります。初めて動けないほどの激しい痛みに襲われた場合は整形外科を受診するのが一番ですが、慢性的な痛みや様子をみるような比較軽い痛みは、自分でもある程度の判断はできるといいます。

「例えば、歩いて18 ホールを回った後でクラブハウスのソファーに座って腰を丸めた時『ああ、気持ちいい』と感じることがあります。それは典型的な筋肉性腰痛といっていいでしょう。長距離の歩行、立ちっぱなし、ハイヒールを履いて歩いたなど、痛みというよりは疲れて腰が固まっているような、張っているような違和感があります。というのも、歩行や立ちっぱなしの動作中は腰が反っています。ハイヒールを履いた時などは腰の反りが助長され、腰の後ろ側の筋肉が長時間緊張して縮まってしまいます。周りの筋肉も、頑張ってその反りを支えているため筋肉が疲れてしまうのです」。

このように筋肉性腰痛は腰周りの筋肉が疲労したために現れ、強い痛みを伴うことはありません。腰を丸め、縮んだ筋肉をゆっくり伸ばしたり回したりすることで筋緊張は和らぐため、むしろ動かすと気持ちよく感じます。痛みや違和感はしだいに消えていきます。コップの水が少し溜まったところでこまめに流すように、腰痛はそのつど解消されるでしょう。

鋭く不快な痛みはギックリ腰のサイン

「いっぽう、厄介なのは屈曲性腰痛です。筋肉性腰痛とは明らかに違い、刺す、しびれる、ピリッとくるような強い痛みを伴います。『これ以上動かすのが怖い』という嫌な予感や不安もあるようですね。ゴルフに行って腰を痛め、私のところへいらっしゃる患者さんのほとんどは屈曲性腰痛、いわゆる“ギックリ腰”ですよ」。

繰り返しになりますが、腰痛の要因は日常生活から少しずつ溜まっていき、ゴルフや大掃除やくしゃみといった“あること”をきっかけにあふれだします。ギックリ腰はその典型です。では、そもそもの要因は何なのでしょうか。

「最大の要因が腰の屈曲、つまり前かがみです。腰を曲げる姿勢を繰り返すことよって、背骨の中にあるクッションである椎間板が少しずつ潰され、あるとき急激な負荷がかかったときに強い痛みを発症します。靴下を履く動作やゴルフのパッティングスタイルなどはわかりやすいでしょう」

「コロナ禍では自宅で長時間パソコンに向かう方も多いと思いますが、デスクワークでも腰は屈曲してしまいます。椅子に座りっぱなしだと骨盤が後傾しやすいからです。骨盤が後ろに倒れた姿勢は、腰の部分だけクローズアップして見れば屈曲状態になっています。物を拾ったり、しゃがんだりするのと同じように、前かがみになっているのです」。

その姿勢を何日も続けたら、椎間板は潰されて筋肉が固まってしまうのも仕方のないことです。運動不足も重なり、たまたま何かの負担や衝撃が加わったときは、水が勢いよくあふれだすように痛みを発症するでしょう。

パットやボールを拾う動作に気をつけよう

屈曲性腰痛の痛みをなくす、あるいは予防するには、前かがみの姿勢をとらないことが一番の解決法です。とはいえ、ゴルフでは必ずパットやボールを拾う動作をしますし、デスクワークをしないわけにもいきません。

「そこで重要なのは、できるだけ水を溜めないように体の使い方や日々の習慣を工夫して行なうことです。ひとつお伝えしておきたいのは、腰痛は体幹の筋力が弱いから起きるものではありません。特に、腹筋を鍛えれば腰痛を予防できると誤解している方は少なくないのですが、実は過度な筋力強化はむしろ逆効果にさえなるので気をつけましょう。また、筋肉性腰痛と屈曲性腰痛とでは原因も対処法も違いますので、ここを見誤ると治るどころか悪化することもありますので要注意です」。

次回からは、それぞれに適した対処法、予防法を考えていきましょう。

【腰痛のまとめ】

・タイプ
(1)筋肉性腰痛と(2)屈曲性腰痛とがある

・見分け方
(1)張り、凝り、座って腰を丸めると「ああ気持ちいい」とホッとする感じ
(2)前かがみをきっかけに鋭い痛みやこわさを感じる

・発症の時期
(1)随時
(2)大掃除をする12月と花粉症によりくしゃみを頻発する3月に多い

・原因
(1)筋肉性腰痛は長時間の歩行、立ちっぱなし、ハイヒールの使用などによる筋肉疲労
(2)屈曲性腰痛は日々の前かがみの姿勢により椎間板が潰れているところに、前かがみの負担が加わって痛みを発症

取材・文/野上雅子

秋山誠司(あきやませいじ)
日本カイロプラクティック医学協会認定カイロプラクター。2009年東京都渋谷区に代々木あおいカイロプラクティックを開業。これまでのべ4万人以上の体の不調や痛みに対する施術を行なう。2020年ストレートネック対策枕「寝返りで姿勢を整える枕/キュアラインピロー」を開発し、東急ハンズやロフトなどで好評販売中。ゴルファーの体の痛みや不調にも理解が深い。著書に『ゴルフの上達を阻む“首の痛み”の正体とは!?』(辰巳出版)。


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