腰が痛くてゴルフができない? 筋肉性腰痛はマッサージ、ストレッチ、お風呂で解消!
生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第2回
12月は腰痛の患者さんが急増します。その理由は、忘年ゴルフ、大掃除、くしゃみが引き金になりやすいから。さらに、そもそもの原因は前かがみの姿勢にあると、代々木あおいカイロプラクティックの秋山誠司院長は言います。プレー中、前かがみの姿勢をよくとるゴルファーに腰痛の予防法を教えてもらいました。
■健康指導/秋山誠司氏(代々木あおいカイロプラクティック院長)
筋肉性腰痛はマッサージ、ストレッチ、お風呂で解消!
歩行や立ちっぱなし、ハイヒールも原因に!
前回は、腰痛には筋肉性腰痛と屈曲性腰痛があることとそれぞれの原因についてお話ししました。今回は、2つのうち比較的痛みが少なく治りやすい筋肉性腰痛について、代々木あおいカイロプラクティックの秋山誠司院長に詳しくお聞きしていきます。
「おさらいになりますが、筋肉性腰痛は長時間歩いたり、立ちっぱなしだったり、ハイヒールを履いて歩いたりすることで起きる腰周り全体の筋肉疲労でしたね。歩いて18ホールを回った後など椅子に座って腰を丸めると『ああ、気持ちいい』と、ホッとする瞬間がありますが、そう感じるのも筋肉性腰痛の特長です」
筋肉を温め、伸ばし、血行をよくしよう
「屈曲性腰痛の多くが鋭い痛みを伴うのに対し、筋肉性腰痛の場合は強い痛みはなく、腰全体が張っている、凝っている、筋肉が緊張して硬くなっていると感じるケースがほとんどです。筋肉が緊張して硬くなるのは、歩いたり立ったりしている間、腰は反っているからです。反ること自体が悪いわけではなく、反ることによって腰の後ろ側の筋肉が縮まり、周りの筋肉は反りを支え続けることで疲労します。ですから張りや凝りを感じたら、早い段階でこまめに筋肉のケアをすることで症状は改善します」(カッコ内はすべて秋山誠司院長)。
簡単ではないかもしれませんが、筋肉疲労なら一般アマチュアにも筋肉のケアができそうに思えます。秋山院長はケアをする際に大事な3つのポイントを挙げてくれました。
「特別なことは必要ありませんので大丈夫ですよ。私はゴルファーの患者さんに、できればマッサージを受ける、できるだけストレッチをする、日々お風呂で温める、という3つのケアをおススメしています。これだけでも張りは解消します。いっぺんにしなくてもいいですから、腰が張っているなと思ったらまず1つ、できれば2つというふうに試してみてください」。
「筋肉は、ほうっておくと収縮しやすい性質があります。縮むと筋肉の中に通っている血管は圧迫されて血行が悪くなります。血流が悪いと栄養が行き届かないのと同じで、傷んだ筋肉の修復が追いつかず張りは改善しません。そうなると外からの力で筋肉を伸ばすしか方法はありません。ストレッチをしたり、温めたりすることで血流をよくすることが大事なのです」
ゴルフ当日はストレッチとお風呂でケア
(1)朝、練習場でボールを打つ前と18ホールのラウンド後は、必ずストレッチを行ないましょう。腰をひねったり、回したり、伸ばしたりするシンプルなストレッチで十分です。朝のスタート前は入念に行なってください。
(2)スイングは、できるだけ最後までクラブを振り切ってフィニッシュするのがベターです。筋肉を動かしきることでよけいな負担をかけずに済むからです。急にはできなくても、まずは素振りからやってみましょう。
(3)ゴルフスイングは右から左へ一方通行の動きですから、筋肉にかかる負担は人によって左右で違います。練習の終わりや、スタート前のウォーミングアップの一環として、またグリーンが空くのを待つ間など、ちょっとした時間があるときに反対素振りをしてバランスを整えるといいです。
(4)ホールアウトしたらゴルフ場のお風呂に直行しましょう。5分でも湯船に浸かって体を温めると、腰が気持ちよくほぐれます。疲労をとってからの車の運転はラクですよ。
(5)帰宅後も、寝る前にストレッチをするのがおススメです。長時間車の運転をしたことで腰はもちろんお尻の筋肉まで張ったり凝ったりしているからです。疲れた、時間がない、面倒くさい、というときは、ベッドに仰向けになってヒザを立て、左右に5回ほど腰をゆっくりひねるだけでも構いません。ほんのちょっとの心がけで、翌日腰の張りは消えているでしょう。
5つもポイントがあると面倒に感じるかもしれませんが、ゴルフ当日のルーティンにしてしまえば実行するのはそう難しくはないと思います。できれば普段から習慣として身につけ、コップに水を溜めないことが重要です。
【筋肉性腰痛のまとめ】
・特徴
(1)筋肉の張り、凝り
(2)座って腰を丸めると「ああ気持ちいい」とホッとする
(3)長時間の歩行、立ちっぱなし、ハイヒールの使用などによる筋肉疲労が原因
・ゴルフ時の注意点
(1)ウォーミングアップ、クールダウンのストレッチを行なう
(2)フィニッシュまで振り切る、反対素振りを行なう
(3)ホールアウト後すぐ湯船に浸かって腰をほぐす
(4)帰宅後もストレッチをして寝る
・予防法
(1)できるだけマッサージを受ける
(2)寝る前にストレッチをして腰の筋肉を伸ばす
(3)湯船で腰を温め血行をよくする
取材・文/野上雅子
秋山誠司(あきやませいじ)
日本カイロプラクティック医学協会認定カイロプラクター。2009年東京都渋谷区に代々木あおいカイロプラクティックを開業。これまでのべ4万人以上の体の不調や痛みに対する施術を行なう。2020年ストレートネック対策枕「寝返りで姿勢を整える枕/キュアラインピロー」を開発し、東急ハンズやロフトなどで好評販売中。ゴルファーの体の痛みや不調にも理解が深い。著書に『ゴルフの上達を阻む“首の痛み”の正体とは!?』(辰巳出版)。