賞金ランキング1位チャン・キム、2位金谷拓実の「やさしさ重視のクラブセッティング」
国内男子ツアーの2020-21シーズンはチャン・キムが金谷拓実の追い上げをかわして賞金王に輝いた。この賞金ランキング1位と2位を分け合った2選手のクラブセッティング。そして、メルセデス・ベンツ トータル ポイントランキングで1位となった大槻智晴のクラブセッティングを紹介する。
写真/相田克己(クラブセッティングはピンゴルフジャパン提供)
チャン・キム|ドライバーを「G425 MAX」に変えて、飛距離・方向性ともに向上
【ドライバー】ピン G425 MAX(ロフト角9度)
【フェアウェイウッド 】ピン G425 LST #3(ロフト角14.5度)
【ハイブリッド 】ピン G425 クロスオーバー(ロフト角20度)
【アイアン】ピン BLUEPRINT(#4〜9、PW)
【ウェッジ】タイトリスト ボーケイ
【パター】ピン ピン2021パター OSLO H
2020年「JTカップ」で1勝、2021年には「バンテリン東海クラシック」「ダンロップフェニックス」の2大会で優勝し、シーズン通算3勝。自身初の賞金王に輝いたチャン・キム。ご存知の通り、300ヤード超のドライバーショットを武器とする飛ばし屋だ。2020-21シーズンもドライビングディスタンス部門では平均307.12ヤードで2位という成績を残している。
飛距離を武器にする選手らしく、クラブセッティングはドライバーとアイアンの間に挟んでいるのはスプーン(14.5度)と20度のアイアン型ユーティリティのみ。その下はアイアンを4番アイアンから入れている。ティショットに気を使うホールではスプーンを使用し、より正確に狙いを定める際にはアイアン型ユーティリティを使うといったところか。スプーンは「G425 LST」だが、これは『パー5のセカンドショットを打つ時、深いラフでもしっかりとスピンが入ってグリーンで止まってくれるので、より簡単にピンを狙うことができるようになりました』とは本人の弁。そして、アイアン型ユーティリティの「G425 クロスオーバー」は、アイアン型ユーティリティの中でも寛容性に優れ、やさしいタイプ。やさしさを感じつつ、狙い打てるクラブだ。
実はこのセッティング、シーズン中にドライバーを持ち変えている。もともと「G425 LSTドライバー」を使用していたチャン・キムだったが、優勝した「バンテリン東海クラシック」の前週から「G425 MAXドライバー」を使用。
ドライバーのヘッドを変えた理由は「飛距離と方向性を両立したかった」からだという。ヘッドスピードの速いハードヒッターというイメージのあるチャン・キムだけに低弾道が魅力の「G425 LST」じゃなくていいの? と思われるかもしれないが、勝つためには「G425 MAX」の優れた寛容性が必要だと考えた。シーズン3勝目を挙げた「ダンロップフェニックス」を終えて『ドライバーは今大会でも理想通りの球が出てくれたことで勝利につながりました』と語っている通り、ブレない飛びが優勝を手繰り寄せた。
これはアマチュアゴルファーもおおいに参考にすべき話だろう。100切り、特に90切りにおいて、ドライバーでのティショットにおけるフェアウェイキープは重要。当然ながら『曲がらない球を打つこと』が求められる。であれば、やさしく打てて、曲がりを抑えたドライバーを求めるべきなのは必然。道具がしてくれることは、道具にまかせることで結果を出したチャン・キムのクラブ選択は、アマチュアも学ぶべきことだ。
金谷拓実|寛容性に優れた「G710」の5番アイアンで210ヤード前後を狙い打ち
【ドライバー】ピン G410 PLUS(ロフト角9度)
【フェアウェイウッド 】ピン G410 LST #3(ロフト角14.5度)
【ハイブリッド 】ピン G410 ハイブリッド(ロフト角20度)
【アイアン】ピン G710(#5)、ピン i210(#5〜9、PW)
【ウェッジ】ピン グライドフォージド プロ (52、58、60度※SS)
【パター】ピン SIGMA2 ARNA
さて、お次は賞金ランキング2位の金谷拓実。2019年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でアマ優勝を果たし、翌年の2020年にプロ宣言し、プロ3戦目の「ダンロップフェニックス」で早くもプロ初優勝。さらに2021年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」でプロ2勝目。その後も優勝争いには何度も絡み、ルーキーとは思えない活躍を見せてくれた。
そんな金谷拓実のクラブセッティングは、やさしさを重視した印象の内容。ドライバーは「G410 PLUS」、アベレージゴルファーが当たり前のように使えるモデルだ。
注目すべきはアイアンである。5番アイアンが2本入っている。そのうちの1本は、中空構造で飛距離性能と優れた寛容性がウリとなっている「G710アイアン」の5番だ。ロフト角は21.5度。そして、その下に続くのは鈴木愛や比嘉真美子も使用している「i210アイアン」。見た目はシャープで操作性に優れたタイプだが、実はやさしい。ヘッドスピードが一般男性並みの女子プロが使用していることからも、それはわかるはず。
金谷拓実が「G710アイアン」の5番を入れているのは『210ヤード前後の距離をやさしく打ちたい』ということが理由。7番アイアンよりも上の番手が難しいと感じるならば、金谷拓実のように「やさしいアイアン」と分類される上がりやすく、飛ばしやすく、ミスヒットに強いものを入れて“異モデル・コンボセッティング”にするというのはどうだろう。そうすることによって、アイアンでは難しさを感じる『グリーンまで180ヤード前後のアイアンショット』が大幅に楽になるのは明白だ。
これをピンのアイアンに置き換えて、アマチュアゴルファーがコンボするならどんなモデルが適当か。たとえば、金谷のように5番アイアンには寛容性に優れた飛び系の「G710アイアン」、6番以下は「G425アイアン」という組み合わせが良さそうだ。場合によっては、6番を抜いて7番から「G425アイアン」でもいいかもしれない。
大槻智晴|メルセデスベンツ・トータル・ポイント・ランキング1位獲得
【ドライバー】ピン G400 MAX(ロフト角9度※-1度)
【フェアウェイウッド】テーラーメイド
【アイアン】ピン i210(#4)、ピン BLUEPRINT(#5〜9、PW)
【ウェッジ】ピン グライド2.0 (50、54度※SS)
【パター】ピン ピン2021パター HARWOOD
最後にもう一人。2020-21シーズンのメルセデス・ベンツ トータル ポイント ランキングで1位に輝いた大槻智晴のクラブセッティング。ちなみにこのランキングでも金谷拓実は2位だった。
大槻もチャン・キム同様、ツアー屈指の飛ばし屋として知られる選手。そのセッティングはシンプル。写真のバッグには入っていないが、ウッドはドライバーとスプーンのみ。スプーンの次にくる番手は4番アイアンだ。
そして、4番アイアンにはピンの「i210アイアン」が選ばれている。販売されているものの4番のロフト角は22.5度。それなりにヘッドスピードがなければ、なかなか打てない代物(番手)である。そして、その下にはチャン・キムと同じモデル「BLUEPRINT」を5番から入れている。さすがに飛ばし屋。一定レベルのヘッドスピードが要求される内容だ。
しかし、パターだけはやさしいタイプを使用。大槻が選んだ「HARWOOD(ハーウッド)」は、ピン2021パターシリーズの中で最もヘッドサイズと慣性モーメントの大きいモデルだ。ストロークが安定し、オートマチックにパッティングできる。ちょっと芯を外したくらいではフェース面がブレることがないため、イメージ通りの転がりと方向性を安定して得ることができる。
こうして見ると、やはりツアープロもアマチュア同様に「道具はやさしいほうがいい」と考えているということがわかる。理想とする打球をやさしく、楽に打てるほうが結果は得やすい。スコアアップを望むなら、一打の重みを知るツアープロたちの、こうしたシンプルな思考を取り入れるべきだろう。
※メルセデス・ベンツ トータル ポイント ランキングは、総合的に優れたプレーヤーを選出することを目的に9部門(平均ストローク、平均パット、パーキープ率、パーオン率、バーディ率、イーグル率、ドライビングディスタンス、フェアウェイキープ率、サンドセーブ率)をポイント換算して順位を決定。
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