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タイガー・ウッズ使用で話題のブリヂストンスポーツ TOUR B XSでいち早くラウンドしてみた!

ロマン派ゴルフ作家 篠原嗣典の新製品試打

2021/12/29 ゴルフサプリ編集部

ブリヂストンスポーツ 『TOUR B X』と『TOUR B XS』

まだ正式なリリース前で詳細はわからない2022年バージョンのブリヂストンスポーツ 『TOUR B X』と『TOUR B XS』をいち早く入手。飛び出すように、コースに出て、ラウンドをしてみた。どんな進化をしているのか? モデルチェンジの真相に迫る。


撮影/篠原嗣典

撮影/篠原嗣典

タイガー使用のTOUR B XSは使いやすく進化!

タイガー・ウッズが使用するブリヂストンスポーツのTOUR B XS
タイガー・ウッズが使用するブリヂストンスポーツのTOUR B XS

ブリヂストンスポーツのご厚意で、来春発売の『TOUR B X』と『TOUR B XS』を使用して、コースで実際にランドをすることになった。
情報公開は、来年ということで、詳細なモデルチェンジの内容については不明だが、とにかく打ってみた上での個人的感想は広く公開しても良いという許可を得て、速報としてレポートすることにする。

まずは、先日、復帰したタイガー・ウッズが自身のSNSで「信頼している」と絶賛している新しい『TOUR B XS』で14ホールをプレーしてみた。

一発目のドライバーショットで感じたのは、二つ。
打ち応えが軽めで、やわらかさが強調されていることが一つ目。これは、2021年のボールのトレンドでもあり、また、前モデルの『TOUR B XS』も同様な特徴があったので、大きな変化ではない。

もう一つは、弾道に少し伸びが出て、高弾道になったと感じたこと。棒球というよりも、美しい弾道だ。

飛距離にかんしては、前モデルで格段の向上があって、トップレベルに飛ぶボールとなったが、その性能は維持していて、ヘッドスピード40m/sでも、220ヤードの飛距離だった。

やや控えめな音量の打音は、微かな残響がある高音で、やわらかいのに、カチッとした印象を与える。個人的には大好きな打音。

プレーを進める中で感じたのは、「扱いやすいボールになっている」ということだった。
前モデルの『TOUR B XS』は、ヘッドスピードが速いゴルファー向けにチューニングされていて、自分のヘッドスピードだと、性能を引き出し切れていない、という感覚があったが、その残念感を一切感じさせないからだ。

飛距離性能はトップレベルを維持して、全体としてはスピンがかかりやすくなった。
ショートゲームが一番顕著で、50ヤードぐらいの寄せでも、きっちりクラブが入れば、少し戻ろうとする強烈なスピンがかかる。アイアンも、落ちた場所で確実に止まってくれる。ハイブリッドやフェアウェイウッドでも、ランは最小限で、グリーンをキャリーで狙っていけるスピン量を感じた。

面白かったのはパットで、やわらかいのに、必要な弾き感はしっかりとしている。
打音も、大きくはないが、芯に当たればきれいな高音を響かせて、同伴者の耳にも十分な情報を伝える。

『TOUR B XS』の前モデルは、ひと言で書くと、コントロールに自信があるゴルファーが敏感さを武器にして使うボールだった。

新しい『TOUR B XS』は、たぶん、契約プロの意向を反映して、大きく変更はしていないが、良い意味で少し鈍感になって、それがやさしく、使いやすくなった、と感じさせる。
バックスピンは強くかかるようになり、ボールはストレート系に飛びやすくなった。

ラウンド中に注目した点は、ショートゲームやショートアイアンで、左右の打ち分けには鈍感になったのに、高低の打ち分けにはより敏感に反応するように感じたことだ。ナチュラルに打てば、スピンがかかった高弾道が出るのに、低い球を狙えば、狙い通りに打ち出しから低いボールが出る。
この辺りのテクニックを使えるゴルファーは多くはないが、使えるゴルファーにとっては、これこそがツアーボールと歓喜する出来である。

『TOUR B XS』は、前モデルで足りなかった部分を加えて、ツアーボールとしての総合力をアップしたマイナーチェンジをしたと感じた。

飛距離が出る超人クラスのゴルファーの好みに合わせたボールとして、少し癖があるボールだった『TOUR B XS』は、誰が使用しても機能を発揮できるように新しくなると言える。

僕は現在、『TOUR B X』を使用球として愛用しているが、新しい『TOUR B XS』は使用球にしても良いと考えてしまうほど総合力がハイレベルなボールに仕上がっていると感じた。
初めてのボール、極寒の状況にもかかわらず、14ホールを1バーディー、2ボギーでプレー出来たのが、何より『TOUR B XS』の優秀さを物語っているのである。

使用者が多いTOUR B Xの気になる進化はあったのか?

ブリヂストンスポーツのTOUR B X
ブリヂストンスポーツのTOUR B X

個人的には、現在の『TOUR B X』を基準球にして試打などもしていて、この2年で150ラウンドを共にしてきたボールなので、こちらのほうが気になっていた。

『TOUR B XS』同様、外見での変化は、ボールのブランド名のプリントの左右のアロー(矢印)が、白抜きのデザインから、二重になったデザインに変更された部分しかわからない。

大きくモデルチェンジして、好みではないボールになっていないか、とドキドキしながら、13ホールをプレーした。

新しい『TOUR B X』を使用した一発目のドライバーショットで、ホッとした。
打音、打ち応えが、同じベクトルにあることがわかっただけではなく、飛距離性能や弾道にも大きな変化がなく、トップレベルの高性能が維持されていることがわかったからだ。

打ち手によって、感覚が違うので、表現方法が変わると思われるが、一般的な書き方をすれば、少しだけ柔らかい打ち応えになった。
感覚が鋭いゴルファーであれば、フェースにボールが食い付く感触が良くなった、ということになると思う。
これが実に良いのだ。ドライバーからウェッジまで、見事に同じ感触が続く。

真芯に当たったときだけに得られる感触であり、感触は機能とは言えない、という考え方もあるが、全てのストロークで使う唯一のギアであるゴルフボールの感触が、自分にとって心地良かったり、当たりの指針になることは、アベレージを高いレベルで維持するために不可欠だと確信しているので、新しい『TOUR B X』の感触は素晴らしい進化だと評価したい。

自分が上手くなったと勘違いできる打音と打ち応えと僕は説明するのだが、打って気分が上がる打音に仕上がっている。

飛距離性能は、『TOUR B XS』とほぼ同じで、220ヤードだった。
弾道は高弾道で、前モデルとほぼ同じ。強い弾道を描く。

現在、市場には柔らかい感触のボールが多く、『TOUR B X』は固いから古い、と評価する人もいる。
ツアーボールもやわらかくて良いのだということがスタンダードになったきっかけは、『TOUR B X』シリーズが最初にやわらかいツアーボールを市場投入したことであり、その優位性は未だに変わらない。

新しい『TOUR B X』も、カチッとした打音や打ち応えの影響で、固い印象を持たれるケースがあると思うが、感触に敏感なゴルファーが打てば、トレンドのやわらかさと変わらないことがわかるはずだ。

プレーしながら、もう一つ、進化した部分を感じたのはショートゲームだった。
アプローチで、前モデルは、低く打ち出しても止まるというボールに少し鈍感な傾向があった。それが、再び敏感になったように感じたのだ。
数を打っていないので、断言までは出来ないが、ショートアプローチのときに、打ち出しが高くなる癖が緩和したように思えた。

打ち慣れている『TOUR B X』だからわかるのだが、アイアンショットのスピン性能が少しだけ上がった。
ショートアイアンは、今まで、キャリーしたところに止まる感じだったのが、少し戻っているケースがあったからだ。

最後に、パットのときの打音が少し大人しくなった気がする。
これも、世界的なボールのトレンドに合わせたとも言えるし、ツアーの要求に応えた可能性もある。

パットの打音は、最終的には距離感とリンクする大事なファクターで、打音が合わなくて、距離感が合わない、という悲劇は、無意識も含めてたくさんある。
『TOUR B X』の打感は特別で、他の性能は無関係に、パットの打音だけでエースボールにしているゴルファーもいるのである。

個人的には、特別な音質は維持されつつ、音量が少し落ちただけだと感じたので、そこにこだわりがあるゴルファーには、安心して新しい『TOUR B X』に変更できるとお知らせしたい。

タイガーの使用で話題になりがちな『TOUR B XS』が目立つが、実は、『TOUR B X』がフラッグシップモデルであり、使用者も多く、新しいテクノロジーを搭載して、限界に挑戦する位置づけのツアーボールなのである。
今回、試打した中では、新しいテクノロジーが活かされて、今までと完全に違うという部分は見つからなかったが……

前モデルは、究極の完成度を誇ったツアーボールだった。
飛んで、乗せて、寄せて、入れるという全ての要素でトップレベルを争える基本性能の高さに加え、風に強い特性や、打音を含めた感触まで、隙がないツアーボールだった。

新しい『TOUR B X』は、それを引き継ぐツアーボールとして、間違いなくディープにチューニングした進化をしていると確信した。

ちなみに、13ホールのスコアは、2バーディー、2ボギーのパープレーで、状況を考えれば120点だった。
試打を終了した現時点で、新しい『TOUR B X』を使って、2022年の春からゴルフをしている自分を想像することができているのである。

ロマン派ゴルフ作家 篠原嗣典

文、写真/ロマン派ゴルフ作家 篠原嗣典
1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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