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ランガーの記録とルーキーの活躍に注目!! 2022PGAツアーチャンピオンズの展望と見どころ

2022/01/29 ゴルフサプリ編集部

ランガーの記録とルーキーの活躍に注目!! 2022PGAツアーチャンピオンズの展望と見どころ

米国シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズは三菱エレクトリックチャンピオンシップat フアラライ(ハワイ島フアラライGC:1月20日~22日)が開催され、PGAツアーチャンピオンズが開幕。プロコーチ・吉田洋一郎が2022年の展望を語る。

写真/Getty Images

シニア開幕戦はヒメネスがプレーオフを制する

新しい年が明け、ゴルフ界も各ツアーが開幕した。米国シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズは三菱エレクトリックチャンピオンシップat フアラライ(ハワイ島フアラライGC:1月20日~22日)がおこなわれ、新シーズンがスタートした。この開幕戦は、直近2年のツアー勝者、直近5年のメジャーチャンピオン、世界ゴルフ殿堂入りなどの条件をクリアした42選手しか出場できないエリートフィールドだ。私はここ2年ほどCS放送のゴルフネットワークでPGAツアーチャンピオンズの解説を担当しているが、開幕戦の解説は新たなシーズンが始まるということで、いつもよりワクワクした気持ちになる。

今年の開幕戦には、昨シーズンに6度目の年間王者に輝いたベルンハルト・ランガーをはじめ、昨年ランガーと年間王者を競ったジム・フューリック、アーニー・エルス、ビジェイ・シンらそうそうたる選手が名を連ねた。

試合は2日目までアーニー・エルスやビジェイ・シンらが首位争いをしていたが、最終日のバックナインでスティーブン・アルカーとミゲル・アンヘル・ヒメネスが抜け出して17アンダーで並び、2人によるプレーオフとなった。

昨シーズンから好調が続くアルカーは、プレーオフ1ホール目の18番パー4で完璧なショットを見せ、2メートル強のバーディーチャンスにつける。対するヒメネスはセカンドショットをグリーン奥にオーバーさせ、アルカーの勝利で幕を下ろすのかと思われた。しかし、アルカーのバーディーパットはカップ周辺で急激にフックして外れ、両者パーとして2ホール目に向かった。

アルカーは完璧なストロークをしており、パットを打った瞬間に勝利を確信していたに違いない。そこで気落ちしたわけではないだろうが、2ホール目でアルカーが2打目をバンカーに入れてしまい、バンカーショットでも寄せきれず、万事休す。ヒメネスがパーだったのに対し、アルカーは3メートルのパーパットを決められず勝負が決まった。

今回で3度目の開幕戦優勝を果たしたヒメネスのプレーは見事だったが、アルカーは本当に惜しかった。プレーオフ1ホール目のバーディーパットは完璧に見えたが、アルカーによると「芝目に持っていかれた」という。しかし、アルカーの今大会の平均飛距離は300ヤードを超え、フェアウェイキープ率は90.5%(4位タイ)、パーオン率は88.9%(1位)とプレー内容は非常に素晴らしく、今後の活躍が期待できる内容だった。

ランガーの記録達成なるか? そして、フューリックの雪辱は?

近年のPGAツアーチャンピオンズは往年の名選手が出場することで注目を集め、今シーズンは新規大会が1試合増え、28大会の開催でPGAツアーチャンピオンズ史上最高額の賞金総額6200万ドル(約71億円)と盛り上がりを見せている。

新シーズンを展望すると、やはり注目はベルンハルト・ランガーだ。昨シーズンは年間王者を獲得し、64歳1か月でドミニオンエナジーチャリティー・クラシックを制してツアー最年長優勝記録を更新した。

65歳になる今シーズンは、あと3勝に迫っているヘール・アーウィンの最多優勝記録45勝に追いつくか注目したい。昨年は年間王者を獲得したが優勝は1回のみ。ここ数年は、体力の衰えからか終盤にスコアを伸ばせず勝ちきれない試合も増え、年間3勝は厳しい目標かもしれないが、まずは最多勝利タイ記録、そしてその先の記録更新を目指して頑張ってほしい。

もう一人の注目選手はやはりフィル・ミケルソンだろう。昨シーズンのPGAツアーチャンピオンズは6戦4勝と、現役PGAツアー選手として圧倒的な強さを見せた。今年もPGAツアーを主戦場としつつ、チャンピオンズはスポットでの出場になりそうだが、ミケルソンの圧倒的な飛距離に他の選手がどう対抗していくのかに注目したい。

昨シーズン、最終戦までランガーと年間王者争ったジム・フューリックが雪辱をはたすかどうかも見どころだ。昨シーズン最終戦で、3位以内に入れば王者獲得の可能性があったのだが、スコアを伸ばしきれず5位タイに終わった。手中にしかけた年間王者のタイトルを獲得するために「今年こそは」という思いが強いだろう。今シーズンもアイアンショットは好調なので、プレッシャーのかかった場面でパッティングを決めきれるかが鍵を握る。

PGAツアー時代に無名だった選手の活躍

PGAツアーで華々しい成績を残してシニア入りする選手がいる一方、レギュラーツアー時代は無名ながらシニアツアーで頭角を現すルーキーが現れるかにも注目したい。

昨年前半戦はルーキーのアレックス・チェイカがマンデートーナメントから勝ち上がり、メジャー2勝を挙げ注目を浴びた。後半戦はこちらもマンデーから勝ち上がってきたルーキーのスティーブン・アルカーが大活躍。後半戦に出場した10試合でトップ10に9回入り、ティンバーテック選手権でシニアツアー初優勝を飾って台風の目となった。

アルカーはニュージーランド出身の選手だが、シニア入りするまではPGA下部ツアーのコーンフェリーツアーに出場する全く無名の選手だった。こうして50歳を過ぎて花を咲かせる選手が現れるのもシニアツアーの面白さだ。

今年、50歳を迎える「ルーキー」として新たに参入する選手で期待されるのは、デビッド・ディバルとY・E・ヤンだ。2人ともタイガー・ウッズとしのぎを削ったメジャーチャンピオンだ。

1999年3月から8月まで世界ランク1位だったディバルも2001年の全英オープン以降は優勝がなく、ツアーに出場することも少なくなりテレビコメンテーターとしての印象が強い。昨年のマイク・ウィアーのようにシニアツアーで復活のきっかけをつかんでほしい。ヤンは2009年の全米プロでタイガーを破り、アジア人初のメジャーチャンピオンとなった選手。昨年まで日本ツアーで活躍しており、試合勘は十分だと思うので大いに期待したい。

シニアツアーはパワーあふれるPGAツアーよりも技術やマネジメントを学ぶことができる。ぜひ、シニアツアーの熟練の技からゴルフ上達のヒントを得てほしい。

吉田洋一郎

解説
吉田洋一郎
よしだ・ひろいちろう/1978年生まれ。デビッド・レッドベターのメソッドを学んだ後、PGAツアーや欧州ツアーで指導するプロコーチ約100名から直接指導を受ける。米国や欧州でのティーチング資格を多数取得している。

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