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カツラのCMで日本でも有名になったワイスコフ設計のコースで開催!フェニックスオープンが超盛り上がる理由

レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第17回

2022/02/19 ゴルフサプリ編集部 レックス倉本

いや〜、ここはアメフトか大リーグのスタジアムかと思うくらいのギャラリーたちの熱狂ぶりが練習日からずーっと続いたフェニックスオープンでしたね。そして、その熱気に押されて名物ホール16番パー3ではふたつもホールインワンが出てスタンドの人たちは大騒ぎ。ビール缶やペットボトルがグリーン上を飛び交う今まで見たこともないようなとんでもない光景を見てしまいました。最終日のバックナインも最後まで上位選手たちの順位が入れ替わる誰が勝つかわからない面白い展開でさらに選手もギャラリーも私もテンション上がりっぱなしの4日間。どうしてみんなこの試合でこんなに熱狂するのか、今日は試合を振り返りながらその理由を探ってみます。

PGAツアーの選手層の厚さを証明

まず最初に初優勝を遂げたスコッティー・シェフラーについて。シェフラーのプレーオフ最後のパッティングは凄かったですね。私はグリーン脇で見ていたんですが、ちょっと弱くてショートするのかと思ったんですが、最後カップに向かってスーッとのびていきました。ジャストミートしてすごくいい回転をして球がのびたんじゃないかな。

先々週のホギーに続き、初優勝の選手がまた出ましたがそれだけPGAツアーの選手層が厚いってことですね。シェフラーはジュニア時代から活躍していた選手で勝負どころでの勝ち方を知っていて、そういう場面で怯まないんですよ。そのプレースタイルを評価されて去年はライダーカップにキャプテンズピックで選ばれたし、周りも彼の実力を評価しています。

彼のボールの弾道は高くフェードヒッターで、距離が出る割にはフェアウェイを捉えやすいタイプの選手なので、去年の実績を見てもわかるようにメジャーで実力を発揮しやすい選手。距離が出てフェアウェイキープ率が良くて思い切りも良く、パッティングに波はあるけど入りだしたら止まらないから、今年のメジャーも彼の活躍が楽しみになります。

ギャラリーが異常に熱狂するための様々な仕掛けについて

どうしてこの試合が面白くギャラリーたちも異常に熱狂してしまうのか。週末の日曜日にスーパーボールがあるのでそれだけでも人々の心はソワソワわくわくしてしまうのもありますが、私が思うにこのTPCスコッツデール(スタジアムコース)の特にバックナインがとにかく面白い。フロントナインはあんまり面白くないんだけど(笑)、このバックナインに全てのゴルフゲームの面白さが集約されています。

このコースを設計したのがトム・ワイスコフで1960年代70年代にPGAツアーで16勝、ジャック・ニクラウスのちょっと次の世代の選手で全英オープンも勝っている往年の名選手です。私かもう少し前の世代の人なら覚えているかもしれませんが、ワイスコフが少し髪の毛が薄かったんですが日本ツアーに来ていた時にア○ランスが彼をカツラの宣伝に起用し、彼のことを「恐怖のトム」とか呼んで彼がカツラをかぶって出てくるCMを流していたんですよ。小学生だった私はよく覚えています。

話は横に逸れましたが、まあワイスコフは見事なコースを作っています。スコットランドにはLoch Lomondという昔スコティッシュオープンをしていた凄く綺麗なコースがあるんですがそこも彼の作品の一つです。スタジアムコースのバックナインにはリスク&リワードホールのふたつのパー5に今回大騒ぎになった16番のパー3、そしてもうひとつ名物ホールになっていて彼のデザインの特徴でもあるワンオンが可能なパー4の17番ホール。最終日も見どころ満点のホールでしたね。

PGAツアーで新しく作ったトーナメントコースでワンオン可能なパー4を作ったのは彼が先人だと思うんです。さらに17番ホールのグリーンの最終日のピン位置は真ん中奥めでしたが、グリーン上の手前部分はほぼほぼ平らでピンの手前に少し尾根があり、ティーショットのボールはグリーン手前に集まりやすいんですが、砲台グリーンに向かう軽い左足上がりのライから平らなグリーンの奥にピンが切られた時は、選手たちがアプローチするのに無制限に近い寄せ方があるんです。

転がしでもいい、スピンかけてもいい、上げてもいい、好きなように寄せてごらんという感じ。そういう状況に置かれれば置かれるほど選手は決め打ちできなくなってくるんですよね。そういうところの選手心理を本当にうまいこと考慮して作ったグリーンです。

左サイドには池があり池に向かって傾斜があって、奥にはポットバンカーがあって、それらがうまくアクセントになっています。平らに近いグリーンを作り、尚且つワンオン可能なホールにするというコンセプトが最高に凄いです。こんなワイスコフのマジックに選手の集中力も最高レベルに達しスーパープレーが生まれ、ギャラリーも熱狂させられているんではないでしょうか。

まだまだここに書ききれなかったコースのこと、松山選手のプレーのことなど、さらに詳しい話の続きは、下記「レックス倉本のBYTC GOLF」のYouTube音声動画で引き続きお楽しみ下さい。Podcast、Anchorでも配信中。「レックス倉本」で検索してください。

レックス倉本

▼レックス倉本 プロフィール
本名は倉本泰信(くらもとやすのぶ)。1991年プロゴルファーに転向/コメンテーター歴14年広島出身。広島カープの大ファン。毎朝、目覚めとともにカープの試合状況をチェックするのが日課。大学時代をアメリカで過ごしたとき、唯一日本のブリヂストンのボール”Rexter”を使っていたのでゴルフ部のチームメイトから”REX”(レックス)と呼ばれるようになる。アマチュアゴルファー時代は、広島県の瀬戸内高校ゴルフ部からアメリカのオクラホマ州立大学を経てイーストテネシー州立大学ゴルフ部で腕を磨く。在学中には2度オールアメリカンに選出され、1990年に日本アマチュア選手権優勝、全英オープン出場を果たす。大学卒業後、1991年に日本のプロテストを合格しプロデビュー。その後、ヨーロピアンツアー、カナダツアー、アジアツアー、日本国内ツアー(1995年2部ツアーの賞金王に輝く)に参戦。2007年より米国ゴルフチャンネルでUS PGA Tour 、European Tour、US LPGA Tourなどのコメンテーターとして活躍。現在はフリーランスとしてGOLF TVでの解説のほか、 NHK、WOWOWでUS PGA Tour、US LPGA TOURの現地レポーターとしても活躍中。


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