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ゴルフクラブの「フェース素材」について考える

深読み! ギアカタログ|今回のテーマ【フェース素材】

2022/03/06 ゴルフサプリ編集部

深読み! ギアカタログ|今回のテーマ【フェース素材】

ゴルフはプレーヤーの技術だけでなく、使っている道具の良し悪し、そして選び方が結果を大きく左右するスポーツだ。この連載では、そのゴルフギアについて深く深〜く「深読み」した話を紹介していく。今回は「フェース素材」について深読みする。

GOLF TODAY本誌 No.597/110〜111ページより

反発性能はミスヒット軽減に特化されつつある

反発性能はミスヒット軽減に特化されつつある

反発性能にはルール制限があるが、オフセンターヒット時のボール初速向上はまだまだ可能。素材もそのために加工性の高いものが選ばれる。

ボディ素材と異なる特性が求められる理由

クラブフェースは元々へッドの一部なので、ボディと同一素材で成型するのがシンプルで作りやすい。

だが、打球時の衝撃による損傷を抑えるために、木製ヘッド時代からフェースインサートが装着されるようになった。ここから、フェース素材によるクラブ性能の改善が始まったと言えるだろう。

インサートの素材は耐久性だけでなく、その重量の違いから、ヘッド重心設計にも影響するようになる。たとえばネジ留めの場合、ネジの重量で重心が浅くなる。反発性能を上げるために金属性のインサートを装着した場合も同様だった。逆に、カーボンプレートを採用すると、重心を深くすることもできた。

この発想は時代を経て、現代の金属製ウッドにも生かされている。フェース素材をボディ素材と変えることで、反発性能の向上とともに、その比重と強度の違いを生かして、ヘッド性能の向上に貢献している。

1980年代に普及したメタルウッドは、中空構造によるヘッド慣性モーメントの向上が際立っていたため、鋳造による単一素材の一体成型が主流だった。だが、1990年代のチタンヘッドへの移行から様相が変わる。セイコー『Sヤード』がフェースの薄肉化による高い反発性能を発揮し、それを研究したキャロウェイゴルフが2001年に高反発設計の『E・R・C』を発表したことで、各メーカーのフェースの薄肉化・高反発化の競争が激化したのだ。

フェースの薄肉化は、打球衝撃に対する耐久性とのせめぎ合いでもある。いかに割れずに、反発性能を上げるか。そのためのフェース素材が求められたわけだ。

製法も、鋳造よりも薄く仕上げやすい鍛造や、カップフェース構造にするためのプレス加工などが採用されるようになると、それに合った化合物が加えられたチタン素材が選ばれるようになっていった。

2008年に反発性能のルール規制がスタートすると、さらにフェース構造は緻密になっていった。芯での反発性能の上限をルール内に収めつつ、オフセンター打点の反発性能を高めるための偏肉設計が進化していったからだ。

加工性に優れるチタン

薄肉化で反発力を高めるには、素材の強度が必要。適度な靭性(粘り)と弾性力(復元力)が要求されるが、比重が軽く加工性が高いチタン合金は、理想的な素材と言える。

番手ごとに適性が異なるフェース構造

反発性能がルールで規制されたことによって、素材による反発性能の違いは均質化、つまりルール上限ギリギリを目指すことで、ほぼなくなったと言える。チタンでもマレージング鋼でも、遜色ないのだ。

となると、素材の違いは耐久性と重量が重視されるようになるはず。今年に入り、テーラーメイドがカーボンフェースのドライバー『ステルス』を発表してきたが、今までにもカーボンウッドやカーボンフェースのドライバーは多数登場している。ただ、大きな違いがその重量と肉厚にある。非常に軽く、薄いのだ。

カーボン素材は軽くて強度があるとはいえ、打球衝撃に耐えるには相応の肉厚が必要であり、チタンフェース(40g台)より軽くすることは難しかったはず。ところが、今回の新作はフェース単体が24g。多層構造で強度を出した結果だという。

フェースで約20gも軽くなると、ヘッド重心設計は大きく変わる。設計自由度が増し、新たなヘッド構造や寛容性の向上が期待できそうだ。

さて、ドライバーが反発性能重視でフェース素材を選別しているとして、フェアェイウッドとユーティリティ、アイアンはどうか。

飛距離を打ち分けるのが主眼の番手なので、ことさら反発性能に特化しないモデルはボディと同一素材のものが主流。だが、たとえばアイアンでもヘッド慣性モーメントを上げつつ、反発性能を上げたいモデルはチタンフェースをインサートしたり、マレージング鋼、クロムモリブデン鋼といった異素材をフェースに採用している。

ここで問題になるのは、打感だ。基本的に、フェースの薄肉化と軽量化は硬く弾く、球離れの早いフィーリングにつながりやすく、つかまり感や操作性を損ないやすい。そのため、フェース背面に振動吸収材のプレートやジェルを装着し、打感をよりマイルドにしているものも多い。

ちなみに、打感は金属素材なら軟鉄でもステンレスでも、ほぼ変わらない。打点部の肉厚に左右されるので、過去にはタイトリスト『DCI990』のような、打感に優れたステンレス製プロモデルがヒットしたこともあった。

軟鉄・ステンレス以外の注目素材

FWやUTに採用されることが多いマレージング鋼は靭性と反発性能に優れているが、比重は重い。クロムモリブデン鋼は硬度が高く、アイアンなどでは溝がダレにくくなる。

フェースはたわむ?  たわまない?

オフセンターヒット時の反発性能を上げるにも、主にフェースをたわませるか、ボディをたわませるかでフェースの素材や構造の考え方が変わる。今後の各メーカーの動向に注目だ。

文/戸川 景 イラスト/庄司 猛


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