ボーケイ SM9は、見た目よりも何倍も進化したウェッジになった!
タイトリストの『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』をコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ
『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』は、王道のウェッジとしてパフォーマンスするか? コースに持ち込んで、その謎を紐解き、レポートする。
撮影/篠原嗣典
VOKEY DESIGN SM9 は進化を止めないウェッジだ!
タイトリストは2022年3月11日に『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』を発売した。
『VOKEY ウェッジ』といえば、米ツアーでの使用率が50%を越えることもある王道中の王道を行くウェッジである。
『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』のコピーは、“先進技術とクラフトマンシップの結集”だ。
ウェッジは、VOKEYじゃないと使えない、という熱心なファンも存在する。
2年おきに、ニューモデルにモデルチェンジされるたびに、自然と注目は集まるというわけだ。
『VOKEY ウェッジ』は、ツアーでの使用率が高く、ツアープロの要望に応える形で進化を続けた結果、ウェッジとしての完成度を高めていった。しかし、ウェッジに求められる個別のこだわりや、機能に応えようとし過ぎて、肝心の基本性能に少し問題が出てしまう傾向が発生してしまった。
具体的に書くと、一部のグラインドのウェッジが、ロフト通りに飛ばない現象が発生していたのだ。
それが狙いだったり、納得して使うのであれば、何ら問題はなく、チューニングだともいえるが、ゴルファーにとっては、必要なロフト角を選んだのに、結果が出ない、という結果になってしまうのだ。
前モデルの『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』から、基本性能を見直して、ロフト通りに飛ぶこと、重心の位置が全てのロフトやグラインドで同じになることなどをテーマに開発し直したのだ。ツアープロにも、アマチュアにも、それは大歓迎されて、僕も自分が知る中で、最も高機能で使いやすいボーケイだと絶賛したのだった。
新しい『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』は、まず見た目でわかることが二点ある。
リーディングエッジとネックの繋がりをスムーズに見せるために、フェースのヒールサイドの処理が少し変わった。結果として、以前より、ラインが見えるようになったので、スクエアに構えやすいだけではなく、イメージ通りにフェースを開きやすくなり、違和感なくアドレスして、狙えるようになったのだ。
もう一つは、バックフェースの肉厚も、トゥ側上部に厚みが増した。これは開いて打つときに、当たり負けする感触を嫌うツアープロのリクエストに応えたものだという。
テクノロジーとしては、ロフト別に最適な重心に設計した「プログレッシブCG」を更に進化させて、スクエアインパクトを助ける「フォワードCG」も、ロフト角とグラインドに合わせて最適化したという。
『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』は、前モデルの完成度に、更に磨きをかけた、という感じである。
個人的には、アドレス時に、やや面長に感じる雰囲気はそのままに、ネック周りはシュッとして、無駄がなくなったように見えて、好感触を持った。
今回、56度のロフトで、『F グラインド』『M グラインド』『S グラインド』『D グラインド』の4種類を試打して、グラインドごとの差があるかを含めてテストする。同時に、48度のロフトのウェッジも、ギャップウェッジとして注目されているので、その性能を確認してみることにした。
コースに持ち込んで、『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』をじっくりと試打をしてみた。
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VOKEY DESIGN SM9は、良い意味で、期待を裏切るウェッジ
『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』の打音は、濡れた金属系の音質で美しい。音量もちょうど良い大きさだ。
打ち応えは、やや軽いものの、弾き感が敏感に伝わる。
普通に打てば高弾道で、フェースの開閉による左右への曲がりの影響は最小限になっている。
56度も、48度も、色々な球種が打てるように、敏感に反応する。腕前が活かせるウェッジとしては素晴らしいが、オートマチックに使う目的だと、やや厳しい感じがする。
フェースを開いて打った時に、『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』の特徴であるトゥ側の裏のボリュームが効いて、エネルギーの伝わりが良いのは感じるが、前モデルに比べて、少しスピンのかかりが弱い。この辺りは、個別の好き嫌いだと思うが、個人的にはキャリーが飛ばなくとも、スピンが効いたボールが打ちたいので、少し残念だった。
プラスポイントだと感じたのは、56度の四種類のソールグラインドの差である。
意外だったのだが、それぞれの個性を感じるし、期待通りのフィードバックもある。しかし、結果として出る弾道は、同じに近いのだ。
つまり、グラインドごとの大きさが出ないのに、感触だけは満足できるのである。
感性で使うウェッジだからこそ、これは素晴らしいことで、個人的に、打つ前までは『D グラインド』が一番になるだろうと予測していたのに、2ラウンドに渡って打ってみて、『F グラインド』が案外とオールマイティーで使いやすいことに驚かされて、『M グラインド』が一番結果が良かったりもした。
『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』は、グラインドを選ぶ際に、あまり慎重にならずに、自分の好きな感じで選んでも十分に活躍してくれる可能性が高い。
グラインドごとに違いはあるのに、同じボールになるというのは、ちょっと面白かった。
48度のウェッジは、クラシックロフトだとPWのロフトだ。
近年の1番手アップの飛び系アイアンや2番手アップのぶっ飛び系アイアンを使っているゴルファーは、PWやギャップウェッジが飛びすぎて、100ヤードをキチッと打てるウェッジがない、という弱点に悩んでいる。
48度のウェッジは、そういうゴルファーを助けるために注目されているのだ。
とても良かった点は、フルショットも普通に打てて、距離を落としていくテクニックにも完璧に反応して、狙い通りにの結果が出ることだ。
ウェッジからの流れを優先するなら48度は『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』をチョイスするほうが、絶対にスコアアップに繋がるし、逆にヘッドが大きいほうが好きなゴルファーは、アイアンのセッティングの48度をチョイスすれば良いのだ。
特別に早朝のコースで、1ホールを借り切って、色々なボールを打つ動画を撮ったりした。
芝生が朝露で揺れていて、フェースを吹きながらテストをした。濡れた環境に弱いと感じていたからだが、それでも濡れたフェースになってしまったが、以前よりも、そういうウェットな状態に少し強くなった。
スピンがかかるようになったのだ。
とはいえ、『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』は、前モデルよりも、スピン性能は少し落ちる。前モデルであれば、バックスピンでボールを戻せる状況からでも、落ちたところに止まるボールになったからだ。
この辺りは、推測しかないが、ツアー現場では戻りすぎるバックスピンは嫌われるということなのだと思う。
『VOKEY DESIGN SM9 ウェッジ』は、前モデルと似ているが、実は使い勝手はかなり差がある。
個性的だった部分を更に削り取った感じがするが、それは結果として、やさしいウェッジに進化しているのだと感じた。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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