100ヤード以内のショットはグリーン真ん中狙いが大正解!
PGA初の女性A級ティーチングプロ 中村英美がレクチャーする「100を切るためのお約束!」|第14回
グリーンまで残り100ヤードといっても、状況によっていえば80ヤードとか60ヤードなど距離はさまざま。「100切りを目指す人は、そこから3打で上がることを目標としましょう。ハードルが高いかもしれないけど、マネジメントのコツを学ぶためにもぜひトライしてくださいね」と中村英美。3打以内で上がるコツをレクチャーしてもらおう。
100ヤード以内のショットはグリーン真ん中狙いが大正解!
3打で上がるには、あえてピンを狙わない作戦も必要
100ヤード以内を3打で上がるためにはピンがどこに立っていてもグリーンの真ん中を狙いましょう。グリーン周りからの20〜30ヤードのショートアプローチでしたら基本的にピンを狙いますが、ピンまで50〜60ヤード以上ある場面ではあえてピンを狙わない作戦を立てることも大事になってきます。
たとえばピンの位置がグリーンの左側で、グリーン左手前にバンカーがあるという状況を思い浮かべてください。ピンまでは70ヤードです。ここでピンをダイレクトに狙うと、結果はどうなるでしょうか。ピッタリの距離を打とうとして手前にショートしたり、左に引っかけたりするとバンカーにつかまってしまうことが分かりますよね。グリーンの真ん中を狙って打てば少し左に飛んだらバーディチャンス、右に飛んでもグリーンの右半分のどこかに乗ってくれる公算が成り立ちます。このようにグリーン周りの状況をよく確認して、ミスしてもリスクの少ない場所にターゲットを絞りましょう。左のバンカーを徹底して避けるなら、グリーンの真ん中よりもさらに右側を狙うのもいいと思います。
ピンまでの距離に応じてピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジの3本を使い分けます。ピンまで70ヤードでしたら私の場合ですとアプローチウェッジのフルショットに近い距離となります。フルショットといっても10割の力でスイングするのはNGです。力感を7〜8割くらいに抑えて、トップの左腕が時計盤の10時、フィニッシュの右腕が2時くらいの高さを目安にしてコンパクトにスイングしましょう。フィニッシュは左足だけでも立てるような体勢を作るのがベスト。クラブを振り抜いたら右ツマ先で地面を軽くトントンと叩けるかチェックしてみてください。
小さめのスイングだからといって手先だけの動きでクラブを振ってはいけません。バックスイングで左ヒジが折れ曲がったり、フォロースルーが小さくなったりするとインパクトの打点が安定しにくく、方向性も距離感もブレやすいのです。バックスイングは右隣りの人と左手で握手するイメージで左腕を自然に伸ばし、フォロースルーは左隣の人と右手で握手するイメージで右腕を自然に伸ばしましょう。小さめのスイングでもカラダの張りを感じながらスイングすることが大事なポイントです。
9時〜3時のスイングから自分の距離感を作ろう
100ヤード以内のショットでグリーンの真ん中に乗せられるようになるには距離感を身につける練習が絶対に欠かせません。といってもどんな距離でも正確に打てるようになるには、気が遠くなるほどの練習量が必要です。そこで9時から3時までの振り幅を基準にして距離感を作りましょう。バックスイングで左腕が時計盤の9時の高さまで上げて、フォロースルーで右腕が時計盤の3時の高さまで振り抜いたとき、キャリーがどのくらい出るかをチェックしてください。飛べばいいということではありません。何回打ってもほぼ同じくらいの距離となることが重要です。
同じ9時から3時までのスイングでも、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジの3本で打ってみて、それぞれ何ヤードくらいのキャリーが出るかを確認してください。私の場合ですとピッチングウェッジは85ヤードくらい、アプローチウェッジ60ヤードくらい、サンドウェッジ45ヤードくらいといったところです。距離感は個人差があるので一概にはいえませんが、9時〜3時のスイングをベースにして、自分なりの距離感を把握してください。次の段階として8時から4時や、10時から2時と振り幅を変えたときのキャリーの差をつかんで距離感のバリエーションを広げていきましょう。
〈まとめ〉
・100ヤード以内のショットはグリーン真ん中狙い
・3本のウェッジを使い分けて距離感をコントロール
・飛ばそうとしないで7〜8割の力感でスイング
・小さめのスイングでもカラダの回転を使う
・9時〜3時のスイングを基準に距離感を作ろ
・振り幅を変えたときのキャリーの差を知る
ピン狙いがリスキーな場面は、ピンと反対側に打つ作戦がベスト!
中村英美
なかむら・ひでみ/群馬県出身。163㎝。法政大学ゴルフ部卒。2015年の関東女子ミッドアマ優勝。フィリピンや台湾でトーナメント出場の経験を積んだ後、ティーチングの道に進む。21年にPGAで女性初のA級の資格を取得。22年はPGAアワード賞の最優秀賞に輝いた。アマチュアレッスンのほか、女子ゴルファーのキャスティング、コンペ・イベント企画を運営するV・J・Golfを主宰。
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部