絶対に手打ちにならない。稲見萌寧のドライバースイングを分析【連続写真つき】
一流プロのドライバーのマネどころ
強い稲見が帰ってきた!7試合中6試合がトップ3
昨シーズンは9勝を挙げて賞金女王になった稲見萌寧。今年は開幕直後こそ調子を落としていたが、5月以降は7試合中6試合でトップ3に入っており、6月には今季初優勝をマークするなど強い稲見が帰ってきた。そんな稲見のドライバーショットから学ぶことは?
GOLF TODAY本誌 No.602 16〜19ページより
右腕を体につけて打つ2つのメリット
絶対に「手打ち」やアーリーリリースにならないスイング
注目ポイント!右ヒジを曲げたまま打っている
右ヒジが伸びていたら、右腕を体につけて打つことはできない。稲見は右ヒジを曲げたままインパクトしている。
注目して欲しいのは、インパクトの瞬間まで右腕を体につけていることです。右腕が体の近くを通っている選手は沢山いますが、稲見選手の場合は右ヒジが体に食い込むようなスイングになっています。(写真6)
このスイングには2つのメリットがあります。1つはインパクトが強くなること。右腕が体にくっついていることで、腕の力だけでなく、体の力もボールに伝えることができるのでインパクト剛性が圧倒的に強くなります。逆に体と腕の距離が離れすぎている人は、体の力が伝わりにくいので、強いボールが打てません。
もう一つは、右腕を体から離さないことでアーリーリリースにならないこと。
トップから切り返した後、腕だけが先行して動いてしまうとリリースポイントが早くなりやすいのですが、稲見選手のようにインパクトまで右腕が体にくっついていればリリースが早くなることはありません。スイングとしては、アーリーリリースと反対の「レイトヒット」になっているのでインパクトゾーンでヘッドを走らせることができます。
右腕を体につけて打つためには?両腕を外側に回している
アドレスでは腕を「回した」構えで、ダウンスイングではヒザを広げて打つ
✔️スタンスは肩幅より広め
スタンスは肩幅よりやや広めでニュートラルなスタンス幅。下半身を使いつつ、右足を蹴りやすい広さになっている。
稲見選手のように右腕を体から離さないようなインパクトを作るには、アドレスで「腕をロック」させておくことが必要。ただし、腕にギュッと力を入れてしまうのはNG!
力を入れるのではなくて、ヒネリを入れることがポイントです。写真ではわかりにくいのですが、稲見選手も右腕は右方向(外旋)、左腕は左方向(外旋)に回して構えています。腕を回しておくことで、体との一体感が生まれるので右腕が体から離れにくくなります。
右ヒジを曲げた角度はフォローまでキープ
✔️切り返しでは最初に左腰をスライドさせる
トップからの切り返しで、稲見選手は左腰を少しだけ左にスライドさせている。その動きによって、左足を強く踏める。
アマチュアの場合、ダウンスイングで上半身から動いてしまうので右腕が体から離れてしまう。それを防ぐためには下半身リードで打つことが必要なのですが、そこでマネしてほしいのが稲見選手のヒザのポジション。
アマチュアはダウンスイングで両ヒザの距離が狭くなってしまう人が多いのですが、稲見選手は両ヒザの距離をトップから少し広げるような感じで打っています(写真4から写真6)。
最近はPGAツアーでもヒザを広げる選手が増えましたが、ヒザを広げることで地面を踏みやすくなりますし、自然と下半身が先行して動くスイングになります。ヒザを広げるときは少し腰を下げるイメージでもOK。下半身に意識があるだけで、下半身リードのスイングにつながります。
解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。
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