菊地絵理香が通算5勝目。飛ばし屋・福嶋晃子、笹生優花に並んだ記録とは!?
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.142
菊地絵理香が大東建託・いい部屋ネットレディスで通算5勝目を挙げた。2日目には63の好スコアをマーク。菊地自身3回目の63だったのだが、これはツアー記録に並ぶ快挙でもあった。
菊地絵理香が通算5勝目。飛ばし屋・福嶋晃子、笹生優花に並んだ記録とは!?
大東建託・いい部屋ネットレディス2日目の菊地のプレーは圧巻だった。1イーグル、7バーディでボギーはなし。9アンダーの63を叩き出して単独首位に立った。そのまま最終日までその座を守って逃げ切ったわけだ。
菊地が63をマークするのは2016年スタジオアリス女子オープン2日目、2019年大王製紙エリエールレディス3日目に続く3回目である。63以下のスコアが3回というのは女子ツアータイ記録。これまでの達成者はアニカ・ソレンスタム、福嶋晃子、アン・ソンジュ、テレサ・ルー、笹生優花という面々。日本選手だけなら福嶋、笹生に続く3人目の快挙である。
世界最高峰のプレーヤーだったソレンスタムはもちろんのこと、福嶋、アン、ルー、笹生にも共通するのは飛距離が出てバーディを奪う能力が非常に高いという点だ。
対して菊地はお世辞にも飛ぶ選手とはいえない。大東建託・いい部屋ネットレディス終了時のドライビングディスタンスは234.07ヤードで69位でしかないのだ。なおかつ部門別データの順位では平均バーディ数よりもパーセーブ率の方が高いタイプである。つまり、粘り強くパーを重ねてスコアメークしていくのが菊地のスタイルなのだ。それは我慢比べの展開になることが多い日本女子オープンでしばしば上位に来ることからも分かる。
そんな菊地がツアー全体でも年間数例程度しかない63を3回も出したことは興味深い。堅実さも時には大爆発の導火線になり得るということだ。
ちなみに、女子ツアーで初めての63は1996年NEC軽井沢72の2日目に福嶋晃子が出したものである。62は2003年ダイキンオーキッドレディス2日目に具玉姫が、61は2012年サントリーレディス最終日にキム・ヒョージュがそれぞれ最初にマークしている。
菊地絵理香がこれまでマークした63
大会 | 最終順位 |
---|---|
2016年スタジオアリス女子オープン2日目 | 優勝 |
2019年大王製紙エリエールレディス3日目 | 9位 |
2022年大東建託・いい部屋ネットレディス2日目 | 優勝 |
撮影トーナメント/アース・モンダミンカップ
撮影/相田克己
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。