スリクソン ZX Mk II 3本のドライバーは、フルチタンヘッドの最終形態のラスボスである!
スリクソンZX Mk IIの三種類のドライバーをコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
3種類の『スリクソン ZX Mk II ドライバー』は、どんな特徴を持っているのか?コースに持ち込んで、その真相をレポートする。
撮影/篠原嗣典
スリクソン ZX5 Mk II はトップレベルの飛距離性能とやさしさを持ったドライバー!
ダンロップは、2022年11月18日に3種類の『スリクソン ZX Mk II ドライバー』を発売した。
- 『スリクソン ZX5 Mk II ドライバー』
- 『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』
- 『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』
コピーは“この力は本物だ。”である。ツアードライバーらしいシンプルなコピーには好感が持てる。
新しいスリクソンがすごいらしい、という噂はツアーの現場から伝わってきた。契約している女子プロの成績がグッと上がり、新しいスリクソンのクラブが貢献している、とか。日本のシニアツアーで『スリクソン ZX5 Mk II ドライバー』を使用して、ブラヤド・マークセンが連続優勝記録を伸ばしているという事実や、レギュラーツアーでも星野陸也が優勝とか。
何よりも松山英樹が『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』を実戦投入した、というニュースが決定的だった。クラブにこだわりがある松山は、契約先のクラブだからという理由だけでは、バッグにクラブを入れない。
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その最中に、実際にクラブを見せてもらう機会があった。衝撃だったのは、フルチタンというヘッドである。2022年のトレンドというか、実際には数年前からドライバーのヘッドはカーボンとチタンのコンポジットであることが主流。そのためフルチタンのヘッドは市場から消えつつあることは、少しクラブに詳しいゴルファーなら常識として知っているはずだ。
2年前に発売された前モデルの『スリクソン ZX5 ドライバー』も『スリクソン ZX7 ドライバー』も、ヘッドはカーボンとチタンのコンポジットだったのだ。フルチタンヘッドなんて明らかにテクノロジーが後退している、と落胆したファンもいたようだが…
しかし、ダンロップは自信満々に説明するのである。フルチタンだからできた「シームレス」な構造と、エッジをさらに丸く厚くした「エッジレス」なヘッドと、新開発の「REBOUND FRAME Mk II」により、反発性能が大きく向上したというのだ。
名称の「Mk II」は、新しいテクノロジーの名称の影響を感じさせた。3本のドライバーは、クラウンがマットブラック調で、ソールデザインも極めてシンプル。渋くてカッコイイヘッドになっている。アドレスビューは、ツアードライバーの雰囲気をまとっているのである。
早速、コースに新しい『スリクソン ZX Mk II』シリーズのドライバーを持ち込んで試打
スリクソン ZX5 Mk II ドライバー
メインモデルになるヘッドである。ロフトは10.5度、シャフトはDiamana ZX-II 50 Sフレックス。
●打音と打感:ちょうど良い大きさの打音、軽快な金属系+微かな濡れ感系音質。手応えはやや鈍感。
●弾道:やや低めの高弾道。基本はストレートで敏感に曲げられる。ドローバイアルは薄い。
●飛距離:平均230ヤード。最長飛距離ホール245ヤード。
シャフトがある意味でダンロップらしい味付けになっていて、Sフレックスでもかなりやわらかい。僕のヘッドスピードでも、マン振りするとアンダースペックを感じて、タイミングを合わせて打ったほうが結果が出た。
飛距離性能は、前モデルも飛んだがそれ以上だと確信した。2022年に試打した中でもトップ争いができる。
前モデルはドローバイアスが強い印象があったが、『スリクソン ZX5 Mk II ドライバー』にはほとんどそれを感じない。よりツアーモデルになった感じがした。飛距離性能に優れたやさしいツアードライバーである。
アスリートゴルファーではなく、一般的なゴルファーにオススメしたい1本である。
2022年最後に出てきたラスボス的ドライバーがスリクソン ZX5 Mk II LSである!
『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』は、前モデルにはなかった『LS』、つまりロースピンタイプのドライバーだ。試打したのは、ロフト10.5度、シャフトはDiamana ZX-II 50 Sフレックス。
●打音と打感:ちょうど良い大きさの打音、きれいな硬質感があるツアーっぽい音質。しっかりした打ち応えがあり、手応えは少し鈍感。
●弾道:中弾道。前に行こうとする強いボール。ドロー、フェードには敏感に反応。LSのハードさはない。
●飛距離:平均230ヤード。最長飛距離ホール255ヤード。
『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』は、ラスボス感が強いクラブだ。今年試打した中で、一番飛んだところと同じ所まで飛んだ。それも、軽く振ってである。
アドレスビューで後方にボリュームがあるシェイプは少し懐かしい感じがするが、フェースは右に打ち出しやすいように工夫されていて、上手くできていると感心する。左に行きにくいところも、ツアードライバーとしての完成度が高くて良い。
僕のヘッドスピード40m/sでも十分に使えることにも感心したが、ヘッドスピードが速いゴルファーは、シャフトを変更することをオススメする。
『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』は、ツアードライバーとして必要なものを全て揃えた上で、ロースピンタイプとしての機能を発揮するために、やさしさも兼ね備えるクラブとして仕上がっている。
僕の場合は、実際の飛距離では3本の中で最も飛んだが、打つ人によっては『スリクソン ZX5 Mk II ドライバー』のほうが飛ぶという結果になると思う。低スピンタイプのボールが飛距離に直結するゴルファーは少数派だからだ。
『スリクソン ZX5 Mk II ドライバー』も『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』もフルチタンというヘッド構造ということもあって、価格が前モデルより少し値上がりしただけなのだ。2022年のモデルは値上げ傾向が強かったので、コストパフォーマンス的に優れていることも最後に付け加えておく。
スリクソン ZX7 Mk II は、フルチタンのツアードライバーの最終形態である!
『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』は、3機種の中で最もハードな位置付けになるヘッドで、ロフトは10.5度、シャフトはDiamana ZX-II 60 Sフレックス。ダンロップ セレクトショップ限定で販売される。
●打音と打感:やや抑えめの打音、濡れ感と硬質で残響がミックスした音質。フェースの乗り感がある打ち応え。透明な芯感はお見事。
●弾道:低めの高弾道。ストレート系の強いボール。曲げることに敏感に反応する。
●飛距離:平均235ヤード。最長飛距離ホール255ヤード。
『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』は、アドレスビューがツアードライバーとして100点満点。締まったシャープさが良い。前モデルは僕のエースドライバーなのでより注目していたが、飛距離性能はアップして、少しやさしくもなった印象。
ドローとフェードに敏感に反応するが、持ち球をコントロールしたいゴルファーにオススメ。
マン振りすると左に出球が飛びやすい。そういう意味では『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』のほうが、ツアードライバーとしての味付けが強い気がした。
ヘッドスピード40m/sの僕でも振りやすく、ノーストレスで高性能を味わえるドライバーになっている。試打ラウンド中、1球を除いて(左サイドの木に当たった)他は全て狙い通りの結果になった。『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』と同様に2022年に試打したドライバーで、最も飛んだ飛距離と同じだった。
敏感に反応するところを含めて『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』は、王道のツアードライバーとして進化したと思ったが、フルチタンになったことで完成度を高めて、最終形態になったとも感じた。単純に飛ぶし、使っていて気持ちが良いドライバーだ。
ハードヒッターは純正シャフトではなく、しっかりしたシャフトを選ぶべきで、純正シャフトは一般のゴルファー用にチューニングされている。(『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』のだけが10グラム重いシャフトが標準)
3本のうち、どれを選ぶか
もし『スリクソン ZX Mk II』シリーズの3本のドライバーが、懸賞なんかで当たったことを想像した。悩ましいところであるがどのドライバーが当たっても、エースドライバーにすると考えた。今のドライバーよりも、明らかに飛距離性能が優れているからだ。
ベストは『スリクソン ZX5 Mk II LSドライバー』と『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』で悩むところだが、スコアアップさせるなら『ZX7』だと思うし、使っていて面白い。ワクワクさせるのは『ZX5 LS』だと思う。
2022年もあと少しで終わる。最後の最後に色々と想像させるドライバーが市場投入されるとは…ゴルフの神様は意地悪である。
『スリクソン ZX5 Mk II ドライバー』『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』も、ツアードライバーとしての完成度は素晴らしい。
ツアードライバーが好きなゴルファーや諦めていたゴルファー、またはこだわりがあるゴルファーも、打たずに終わるのはもったいないと断言できるのである。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。
東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。
試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
コースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証
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