7番アイアンの飛距離|初心者男性・女性・プロはどれくらい飛ぶ?
「俺は7番アイアンで160ヤード飛ぶよ」とか「残り150ヤードなら僕は7番アイアンで打ちますね」など、100切りレベルのアマチュアゴルファーはよくこんな話をしています。
どうして7番アイアンが飛距離の基準のようになっているのかは不明ですが、それだけ7番アイアンがポピュラーな番手ということでしょう。
そこで100切りを目指すハイハンデのアマチュアゴルファーは7番アイアンでどのくらい飛距離が出るのか、ヘッドスピードとともに紹介しましょう。
撮影協力/埼玉県所沢市「インドアゴルフKF24」
7番アイアンは「ゴルフクラブの出発点」
「7番アイアンは14本のクラブの真ん中だから、初心者はこの番手から練習をするといい。7番は初心者にとっての出発点なんだよ」
昔はよくこんなことを言われたものです。初心者にとってロングアイアンは難しすぎる。とはいえ、ショートアイアンではやさしすぎる。だから、ちょうど真ん中の7番アイアンから始めるといい。このような根拠とはいえない理由から7番アイアンをすすめられた訳です。
アイアンセットが3番からだった時代であれば、この理由もなんとなく腑に落ちないこともありません。ですが、セットが6番からになった(女性用では7番からがほとんどです)今では腑に落ちないどころか、意味不明という感じです。
さらに初心者の多くは飛び系と呼ばれるアイアンを使っていて、この手のアイアンはロフト角が少ないストロングロフト設計なので、7番アイアンといえどもそれほどやさしくないのが実情です。
したがっていまは、7番アイアン=ゴルフ初心者にとっての出発点ではなく、9番アイアンやピッチングウェッジから始めるほうがスイングをマスターしやすいのです。
とはいえ、いつの間にか“打ちやすい番手の代名詞”、“出発点”になってしまった7番アイアンを基準にしてスイングをつくったり、飛距離を考えているアマチュアも多いことから、この番手の飛距離について掘り下げていきましょう。
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7番アイアンの平均飛距離は150ヤード?
7番アイアン=平均飛距離150ヤードとよくいわれます。そしてレベルを問わず、ほとんどの男性ゴルファーが7番アイアンは150ヤード打つ番手と思っていたりします。
しかし、この距離をこの番手で打てる人は、意外と少ないのです。
- キャリーの距離か、ランを含む距離か
- 7番アイアンの平均飛距離
キャリーの距離か、ランを含む距離か
飛距離を語るときに大切なのはキャリーなのか、ランを含めた距離なのかを明確にすることです。
7番アイアンの平均飛距離は150ヤードなどとよくいわれますが、これはハンデキャップが20以下のアマチュアゴルファーの“ランを含めた飛距離”です。初心者や100切りレベルになるとランを含めて120〜130ヤード前後が平均。
キャリーでは110〜125ヤード程度が平均です。したがって、150ヤード打てないからと遮二無二クラブを振りまわす必要はないのです。
7番アイアンの平均飛距離
プレーヤー | 7Iの平均飛距離 (キャリー) | 7Iの平均飛距離 (ランを含む) |
---|---|---|
一般男性 | 110〜140ヤード | 115〜145ヤード |
一般女性 | 60〜90ヤード | 65〜100ヤード |
男子プロ | 170〜190ヤード | 175〜195ヤード |
女子プロ | 140〜160ヤード | 145〜165ヤード |
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※ロフト角32度前後、一般男性のヘッドスピード36m/s前後、一般女性のヘッドスピード30m/s前後
レベルを問わず、7番アイアンの平均飛距離は上の表のとおりです。
アマチュアゴルファーにとって男子プロのデータはまったく参考になリません。参考にするなら女子プロですが、平均でこの数値を並べようとするとシングルプレーヤークラスの腕前がなければ難しいのが実情です。
したがって、初心者や100切りを目指すレベルの人は当然のこと、3回に1回程度、90台でまわることができるレベルの人が7番アイアンでキャリー150ヤード打とうと考えることが無謀なのです。
7番アイアンで狙った飛距離が出る打ち方の基本
ここでは7番アイアンはどの程度飛距離が出るとよいのか、目安となる飛距離をはじめ、打ち方の基本などについてお話しします。7番アイアンはなかなか当たらない、思ったほど飛距離が出ない、こんな悩みのある人は参考にしてください。
ポイント
- 最下点の手前で打つダウンブローが絶対に必要
- 大振りせずにコンパクトなスイングをする
- 右手首の角度が解けないように注意する
- スタンスの中央にボールを置く
最下点の手前で打つダウンブローが絶対に必要
ボールの先が最下点なので、ヘッドはボールに当たったあとに、芝に当たります
男性の一般的なアベレージゴルファーの場合、7番アイアンで110~150ヤードほどの距離が打てれば問題ありません。
ただ、飛距離(縦距離)を安定させたいのであれば、ダウンブローで打つことが求められます。ダウンブローとは、簡単にいうと最下点の手前でボールを打つことです。
この打ち方ができるとインパクトロフトが安定しやすく、飛距離のバラつきが小さくなります。そのため、必ず身につけるように練習しましょう。
大振りせずにコンパクトなスイングをする
ダウンブローで打つためには大振りせず、コンパクトなスイングを心がけましょう。慣れないうちはクラブを少し短く持って練習するのがおすすめです。
練習の方法ですが、シャフトが地面と平行になる高さまでバックスイングしたら、そこで一旦止まり、その位置からクラブヘッドをボールめがけて打ち込みます。
その際、ヘッドが地面に当たらないように意識しましょう。うまくできるとやや硬めの感触が手に残ります。また打音も乾いた音になるはずです。
右手首の角度が解けないように注意する
右手首の角度を維持するように注意しましょう
ダウンブローで打つためには、切り返し後のダウンスイングで右手首の角度が解けないように注意しましょう。いわゆる“タメ”をキープしたままインパクトする意識を強くもってください。
これができると、ダウンブローに必要なアタックアングル(入射角)を得ることが可能となるはずです。ダウンスイングの早い段階で右手首の角度が解けてしまうと、ヘッドがボールの手前に落ちて、ダフりを招きます。
スタンスの中央にボールを置く
ボールはスタンスの中央に置きましょう
ダウンブローで打つためには、スタンスの中央にボールを置くのがおすすめです。中央に置くと、クラブヘッドがボールに向かって下りてくる“下降軌道”の途中でヒットしやすくなり、結果的にダウンブローで打つことが容易になります。
ハイハンデのアベレージゴルファーはボールを左足寄りに置く人が多いもの。ここに置くと、左足へしっかりウェイトシフトを行わないと下降軌道でヒットするのが難しくなります。
7番アイアンで飛距離が出ない原因・見直しポイント
7番アイアンが思うように飛ばない…。望んだ飛距離が出ない…。このようなことを悩んでいるアベレージゴルファーは意外と多いものです。そこで飛ばない主な原因と、見直すべきポイントを紹介しましょう。
- インサイド・アウト軌道でスイングする
- 下半身リードのダウンスイングをする
- ハンドファーストのインパクトをする
- ダウンブローで打てるようにする
- 軸をキープしてスイングする
インサイド・アウト軌道でスイングする
飛ばない原因の1つ目は、スイングの軌道がアウトサイド・インだからです。スイングがこの軌道だと、インパクトがカットになるためボールにスライス回転がかかり、飛距離が出なくなります。
アウトサイド・イン軌道を直すためのポイントは、切り返すときに右ヒジを右のお尻のポケットに向けて下ろすようにすることです。
これができればグリップがカラダの近くを通ることでクラブがインサイドから下りてくるためアウトサイド・インとは真逆のインサイド・アウト軌道でボールをヒットしやすくなります。
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右ヒジを右のお尻のポケットに向けて下ろす
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インサイド・アウト軌道になりボールをヒットしやすくなる
下半身リードのダウンスイングをする
飛ばない原因の2つ目は、下半身リードのダウンスイングができないからです。ダウンスイングのスタートである切り返し時に、手や腕が最初に動くと左脚への体重移動が行われず、すくい上げる軌道のスイングになります。
すると、インパクト時のロフトが増えてボールが高く上がり、上がった分、飛距離が出なくなります。
下半身リードでダウンスイングするポイントは、グリップ位置をトップのポジションから動かさず、左足でグッと地面を踏み込んで、腰を少しだけ左方向へスライドさせることです。
これができれば左脚へ体重が移動してから、グリップとクラブが下りてくるため、すくい上げる軌道になりません。
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グリップ位置をトップから動かさず、左足で地面を踏み込み、腰を少しだけ左方向へスライド
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左脚へ体重が移動してから、グリップとクラブが下りてくる
ハンドファーストのインパクトをする
右手首の角度をキープしハンドファーストでインパクト
飛ばない原因の3つ目は、ハンドファーストのインパクトができないからです。インパクトがハンドファーストとは逆のハンドレイトになると、ロフトが増えた状態でボールをヒットすることになるため飛距離が出なくなります。
ハンドファーストでインパクトするためのポイントは、ダウンスイングで右手首の角度をキープし、そのままインパクトする意識をもつことです。
これができれば、いわゆるタメが解けなくなり、ハンドファーストでインパクトできるようになります。
ダウンブローで打てるようにする
飛ばない原因の4つ目は、ダウンブローで打つことができないからです。ダウンブローで打てないということは、ダフって打っていることになります。
ダフる度合いはその都度、違いはありますが、違いはあるにせよ、ダフれば当然、そのぶん飛距離は出なくなります。
ダウンブローで打つポイントは、ふだんよりややスティープにクラブを下ろして、リーディングエッジをボールの赤道にあてる意識をもつことです。
これができれば、ヘッドがボールの手前に落ちにくくなり、ダフらずに打てるようになります。
軸をキープしてスイングする
頭を1ミリも動かさない、またはアドレス時の目線をインパクトまで変えない意識をもつ
飛ばない原因の5つ目は、スイング軸をキープできないからです。キープできないということは、打点が不安定ということです。
これでは仮にヘッドスピードが速くても、フェースのスイートスポットでボールをとらえられないため飛距離は出なくなります。
スイング軸をキープするポイントは、スイング中に頭を1ミリも動かさない意識をもつこと。またはアドレス時の目線をインパクトまで変えない意識をもつことです。
この意識があれば、ムダなカラダの動きが抑制されることでスイング軌道が安定し、スイートスポットでヒットする確率がアップします。
7番アイアンで飛距離が出ない人は飛び系アイアンを試してみよう
7番アイアンで思うような飛距離が出ないと悩んでいる人は「飛び系」と呼ばれるアイアンを使ってみてもいいでしょう。
飛び系アイアンの7番のロフト角はたいてい28度前後です。上級者などに好まれるコンベンショナルなアイアンの7番は32度前後が多く、その差は4度。4度違うということは、番手が一つ違うのと同じです。
さらに飛び系のほうがクラブのレングスが長めで、また重さが軽い傾向があります。つまり、長くても軽いため振り抜きやすく、そのぶん、ヘッドスピードがアップする設計になっているのです。
これだけではありません。飛び系アイアンのほとんどが反発力の強い素材をフェース面に採用し、またボディが撓む造りになっています。要するに反発力と撓みという二つの要素を組み合わせ、誰でも簡単に飛距離アップができるようになっているのです。
このことから「アイアンでも飛ばしたい!」と思うのであれば、飛び系を手にするのもいいでしょう。
飛び系アイアンおすすめ人気ランキング10選|飛距離が欲しい人向け
この記事では、飛距離が欲しい人におすすめの飛び系アイアンをランキング形式紹介します。 飛び系アイアンというジャンル...
7番アイアンの平均飛距離や目安をおさらい
方向性のよいショットが打てるのであれば、飛ぶほうが、飛ばないよりも有利でしょう。これは飛ばすことより、狙うことが目的のアイアンでも同じです。
そのため多くのアベレージゴルファーは、7番アイアンで150ヤード打つことにこだわるのでしょう。なににこだわるかは人それぞれですが、これまでに紹介してきたデータを見ると、「7番=150ヤード」は常識とは言えないことがわかったのではないかと思います。
その日一発の会心のあたりより、大きなミスを招かない平均点的なショットがよいスコアにつながります。
それでもあなたは7番で150ヤードにこだわりますか?
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経てフリーのゴルフライターに。レッスンやギアはもちろん、ゴルフの歴史などにも精通。また、無類のスイングマニアで、スイング理論が大好き。ここ数年は競技ゴルフに明け暮れ、毎日の練習を自らに課している。