ゴルフのアドレスの作り方|手やボールの位置などポイント解説
ゴルフにおいてアドレスは非常に重要です。その証拠にほとんどのプロゴルファーが「アドレスでショットの成否が決まる」と口を揃えます。また「アドレスを見れば、ゴルファーの腕前がわかる」ともいいます。
そこでこの記事ではどうしてアドレスが重要なのか、またよいアドレスをつくるためのポイントはどこなのかなど、アドレスのいろいろを紹介します。
撮影協力/埼玉県所沢市「インドアゴルフKF24」
ゴルフのアドレスとは
ゴルフのアドレスとはボールを打つために構える動作全般のことです。ポスチャー(姿勢)、スタンス(足の位置)、ソール(クラブの接地)の3つに大別されます。
ゴルファーがスタンスを決め、ボールにクラブヘッドを近づけて構えた状態を「アドレスした」とか「アドレスを取った」などと一般的にいわれます。アドレスは打つクラブやライ(芝や地面の状態及び状況)によって若干変わりますが基本的には同じです。
アドレスのお手本画像【正面・横から】
アドレスはお手本画像のように、どこから見てもバランスのよい姿になっていることが大切です。極端に前屈みだったり、逆に後傾だったりすると、スムースにクラブを振ることができません。
またスイング中に体が前後左右に動いてしまい、ボールをジャストミートできなくなります。
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ドライバーのアドレス
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アイアンのアドレス
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ゴルフでアドレスが重要である理由
ゴルフのアドレスがなぜ重要なのでしょう。一般的によいアドレスだとスイングの安定性や再現性が高まり、その結果、よいショットを打つことが可能といわれています。
つまりミスショットを減らすにはよいアドレスが不可欠ということです。
- 方向性や弾道はアドレスで決まる
- 安定したショットはよいアドレスから
方向性や弾道はアドレスで決まる
基本から外れたアドレス
方向性のよいショットや風などの影響を受けにくい弾道を打つためには、バランスの取れた理想的なアドレスが不可欠です。
基本から外れたアドレスではスイング軌道がアウトサイド・インになったり、極端なインサイド・アウトになったりするため、ボールが曲がることはもちろん、ジャストミートできなかったりします。思うようなショットが打てないときは、一度アドレスを見返してみましょう。
安定したショットはよいアドレスから
オンプレーンと呼ばれるよいスイングを身につけるためには、バランスの取れたよいアドレスが欠かせません。そして、このようなアドレスをつくることが安定したショットを打つことにつながり、結果的にスコアアップへとつながっていくのです。
アベレージゴルファーはボールを打つことにばかり気を取られていますが、正しいアドレスをつくることがナイスショットの第一歩です。
ゴルフのアドレスの作り方【基本の構え方】
アドレスがなぜ重要なのかをお話ししてきましたが、ここからはバランスの取れたよいアドレスをつくるための9つのポイントを紹介します。いままでなんとなく構えていた人は、ここで紹介するポイントを頭に入れて、よいアドレス作りの参考にしてください。
- 足とボールの位置
- 足の幅(スタンス)
- 体の向き(アライメント)
- 背筋・前傾角度
- グリップを握る手の位置
- 手首の角度
- 膝の曲げ具合
- 体の軸
- 重心(バランス)
アドレスの作り方1. 足とボールの位置
1つめのポイントは足とボールの位置関係です。ボールの位置は基本的にこれから紹介する3つを覚えておけば問題ないでしょう。
- ドライバーは左足のカカトの延長線上
- アイアンはスタンス幅の中央
- フェアウェイウッドとユーティリティはドライバーとアイアンの中間
足とボールの距離は使うクラブによって変わります。ドライバーはレングスが長いため足とボールまでの距離は長くなります。サンドウェッジはレングスが短いため、足とボールまでの距離も短くなります。
アドレスの作り方2. 足の幅(スタンス)
2つめのポイントは足の幅(スタンス幅)です。足の幅もこれから紹介する3つを覚えておけば問題ないでしょう。
- ドライバーは両足の間に靴が3足分入る程度
- フェアウェイウッドとユーティリティは2.5足分入る程度
- アイアンは2足分入る程度
この幅をひとつの基準にして、あとは個々に微調整を行い、自分にあった足の幅を見つけてください。
ちなみに足の幅が広いと下半身は安定しますが、体が回転しにくくなります。狭いと回転しやすくなりますが、安定感は落ちます。これを踏まえてベストな幅を見つけてください。
アドレスの作り方3. 体の向き(アライメント)
ターゲットラインに対して肩、腰、膝、足を平行に
3つめのポイントは体の向き(アライメント)です。
ボールと目標(ピンや着弾点)を結んだ仮想のライン(ターゲットライン)に対して、肩、腰、膝、足を平行にします。これが基本でいわゆる「スクエア」になります。
そして持ち球がスライス系ならばターゲットラインより左向き(オープン)にするのが一般的。フック系ならば右向き(クローズ)にするのが一般的です。
アベレージゴルファーの多くは目標よりも右を向いてしまう傾向があるため、アドレスしたら必ず体の向きを再確認しましょう。
アドレスの作り方4. 背筋・前傾角度
4つめのポイントは前傾角度(スパインアングル)です。
体を前傾させるときは背中を丸めずに股関節から前傾します。このとき下を向かないように(頭を下げない)注意しましょう。後頭部から背中までが真っ直ぐになるように意識します。お辞儀をするようなイメージでもいいでしょう。前傾角度はクラブによって変化します。レングスの長いドライバーは角度が浅くなり、レングスの短いウェッジは角度が深くなります。
背中を丸めないようにといいましたが、背筋に力を入れて背筋をピンっと伸ばす必要はありません。“自然”で“真っ直ぐ”ならばOKです。
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背中を丸めずに股関節から前傾
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アドレスの作り方5. グリップを握る手の位置
5つめのポイントはグリップを握る手の位置です。
アドレスした姿を正面から見た場合、グリップは左足の太ももの内側にセットします。ここにセットするとややハンドファーストのアドレスになるため、ダウンブローで打つことが容易になります。
後方、もしくは前方から見た場合、グリップエンドと下腹部の間に握りこぶしが1個半から2個入るくらいのスペースを空けます。このスペースはダウンスイング時の腕の通り道になるため必ず空けるようにしましょう。
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グリップは左足の太ももの内側にセット、グリップエンドと下腹部の間に握りこぶしが1個半
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アドレスの作り方6. 手首の角度
6つめのポイントは手首の角度です。
これまでお話しした5つのポイントに沿ってアドレスすると手首には自然な角度がつきます。この角度が基本なので、これ以上、特に手首の角度を気にする必要はありません。
グリップエンドがおへそあたりを指す人は手首の角度が少ないハンドアップです。逆にグリップエンドが股間あたりを指す人は手首の角度が多いハンドダウンです。
両者は基本とは言い難いアドレスですが、このようにアドレスするプロもたくさんいるので試してみてもいいでしょう。
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手首の角度が少ないハンドアップ
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手首の角度が多いハンドダウン
アドレスの作り方7. 膝の曲げ具合
7つめのポイントは膝の曲げ具合です。
スタンス幅を決めて前傾したら、膝に力を入れて、脚をピンっと伸ばして緊張させます。その状態から膝の力を緩めて、緊張を解きます。このときの膝の曲げ具合がおすすめの角度になります。歩いたり、軽いジョギングをするときのように、膝は軽く曲がっていればOKです。
初心者や初級者、ハイハンデのアマチュアゴルファーは膝を深く曲げすぎる傾向があります。こうなるとお尻が下がった後傾になりやすいため注意してください。
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膝は軽く曲がっていればOK
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初心者は深く曲げすぎる傾向がある
アドレスの作り方8. 体の軸
アドレスしたとき軸が地面に対して垂直になるように
8つめのポイントは体の軸です。軸は体の中心です。
頸椎から背骨を軸と考えるのがもっとも一般的で、アドレスしたときには、この軸が地面に対して垂直になるようにしましょう。ゴルフのグリップは右手が下になる(右打ちの場合)ため、アドレスしたときに右肩が左肩より下がります。下がるぶんだけ背骨は右に傾きます。
したがって、軸は地面に対して垂直ではなく、右に傾けるという説もあります。これは間違いではありません。しかし、右への傾きを任意に行うとたいていのアベレージゴルファーは右肩が下がりすぎるため、垂直にする意識がおすすめです。
アドレスの作り方9. 重心(バランス)
足の指の付け根あたりに重心を置く
9つめのポイントは重心です。
アドレスしたとき足の指の付け根あたり(母指球あたり)に重心を置くのがもっとも一般的です。また軽く垂直跳びをして、着地したときの重心位置をおすすめする説もあります。
プロゴルファーでもツマ先寄りに重心を置くプレーヤーもいれば、カカト寄りに重心を置くプレーヤーもいます。そのため、ウェートシフトがしやすいなど、下半身がもっともスムーズに動く位置をあなたなりに見つければいいのです。
それが分からないという人は、基本といえる指の付け根を目安にしましょう。
ゴルフのアドレスを作る順番
アドレスをする順番や順序に決まりはありませんが、スムーズにアドレスすることができないという人のために、おすすめの順番をお話しします。
- ボールの後ろに立って目標を決めます。
- アドレスする位置まで移動して、フェース面を目標に合わせます。
- ボール位置、ボールとの距離、スタンス幅を確認して、スタンスを取ります。
- グリップを握ります。
- 前傾して、膝を軽く曲げて、完成です。
ゴルフにはさまざまな理論や考え方があるため、この順番でなくてもOKです。いつも同じ順番でアドレスすることができずに悩んでいるのなら、これを試してみてください。
ゴルフクラブ別のアドレスやボール位置のポイント
バランスのよい理想的なアドレスをつくることができても、ボールの位置が適切でないと、ナイスショットは生まれません。そこで基本となるゴルフクラブ別のボール位置を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- ボール位置のポイント
- スタンス幅のポイント
- グリップ位置のポイント
ボール位置のポイント
ドライバーは左足の内側。アイアンはスタンス幅の中央。フェアウェイウッドとユーティリティはドライバーとアイアンの中間。
初級者やアベレージゴルファーは、この3つのボール位置さえ覚えておけば問題ありません。
番手毎にボール位置を微妙に調整することをすすめる理論もあり、それは間違いではありません。ただ、100切りを目指すレベルの人やまれに100が切れるレベルの人はスイングが不安定なので、ボール位置を微妙に変えたところで、その恩恵を受けられません。
スタンス幅のポイント
プロゴルファーを見ても、スタンス幅が広いプレーヤーもいれば、狭いプレーヤーもいます。そのためスタンス幅は人それぞれです。ゴルフスイングは下半身が主役。つまり下半身をうまく使えるスタンス幅なら、広さは自由です。
とはいえ、ひとつの目安としてはドライバーは両足の間に靴が3足入る広さ。フェアウェイウッドとユーティリティは2.5足。アイアンは2足。
これを目安にして、あなたにマッチした広さを探しましょう。ちなみに、広いと下半身は安定しますが、体が回転しにくくなります。狭いと回転しやすくなりますが、やや不安定になります。
グリップ位置のポイント
グリップの位置はアドレスした姿を正面から見た場合、左足の太ももの内側。前方、または後方から見た場合、グリップエンドと下腹部に握りこぶしが1個半から2個入る程度のスペースを空けることが基本かつ一般的です。
グリップがこの位置に来るようにアドレスするとダウンブローで打つことが容易になり、さらに腕やクラブをスムーズに振りやすくなります。グリップの位置が体の真ん中になるとダフりやすくなり、グリップエンドと下腹部のスペースが狭くなると詰まったスイングになるため注意が必要です。
【Q&A】ゴルフのアドレスについて多い質問
以下では、ゴルフのアドレスについて多い質問・疑問に回答します。
- 右肘はどのように体につけたらいい?
- ドライバーのアドレス時のフェースの向きは?
- クラブによるハンドファーストの度合いは?
Q. 右肘はどのように体につけたらいい?
アベレージゴルファーの多くはアドレスしたときに右腕がピンっと真っ直ぐに伸びて、右肩が前に出ていることが多いものです。
こうなるとダウンスイングの軌道がアウトアイド・インになりやすい傾向が。それを防ぐためには右肘を軽く体につける(お腹に密着させる)のが効果的です。こうすると右肘が軽く曲がるため、右肩が前に出なくなります。
Q. ドライバーのアドレス時のフェースの向きは?
ドライバーはもちろん、どのクラブでも、フェース面はターゲットに向けてスクエアにセットして、アドレスするのが基本です。
初級者や中級者のなかには、フェース面をターゲットに対してスクエアにセットすることが苦手という人がいます。そんな人はボールの20~30cm先に目印(スパット)を設定し、それに対してフェース面をスクエアにセットする習慣をつけましょう。
Q. クラブによるハンドファーストの度合いは?
アドレスしたとき、グリップは左足の太ももの内側にセットするのが基本です。ここにセットするとアイアンはボール位置がスタンスの中央なので、シャフトが目標方向へ傾いてハンドファーストになります。
フェアウェイウッドはボールが少し左足寄りになるためシャフトはあまり傾かず、ほぼ真っ直ぐになります。ドライバーはボールがさらに左足寄りになるため、目標とは逆の方向に少し傾いてハンドレイトになります。
ゴルフの正しいアドレスを身につけよう
グリップと並んで、アドレスはゴルフスイングの基本中の基本です。バランスの取れた正しいアドレスをつくることができれば、スイングの精度もアップします。そしてショットの成功率も必ず高まります。
いままでなんとなくアドレスしていた人やアドレスに気を遣っていなかった人は、この機会に自身のアドレスを再点検しましょう。
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経てフリーのゴルフライターに。レッスンやギアはもちろん、ゴルフの歴史などにも精通。また、無類のスイングマニアで、スイング理論が大好き。ここ数年は競技ゴルフに明け暮れ、毎日の練習を自らに課している。