シューズ選びの最初の決断は、スパイクレスorソフトスパイクに!

ゴルフシューズを選ぶときに最初に考えることは、スパイクレスか?ソフトスパイクか?という時代が来たのだとゴルフショップのスタッフから聞きました。曰く、「最近は、完全にスパイクレスを選択するお客様のほうが多数派になっています」とのこと。

スパイクレス(裏に突起が付いているシューズのことで、スパイクレスという名称は便宜上)の歴史は意外に古く、実はスパイクシューズが広まる以前から存在しました。20世紀前半に米国でスパイクシューズが一般化しても、欧州ではスパイクシューズは競技ゴルファー向けの特別な新しい形態のシューズ、という位置付けで、それ一択にはならなかったのです。

20世紀末までゴルフシューズは、基本的にスパイクシューズのことでした。何度かスパイクレスのヒットシューズが生まれましたが、過半数の日本のゴルファーはスパイクレスのシューズを選ぶことはなかったのです。

令和のゴルフブームの主役は?

とはいえ、20世紀末にバブルが弾けてから、スパイクシューズは急激に減っていきます。理由は複数ありますが、金属の釘状のスパイクがいろいろなものを傷めてしまうのが一番の理由でした。

例えば、ゴルフコースのクラブハウス内の絨毯は、スパイクの時代はすぐにボロボロになってしまうので、年に何度も傷んだ場所を修復していました。

平成の期間は、ゴルフシューズ=ソフトスパイクでした。鋲が樹脂でできたソフトスパイクシューズであれば、絨毯の傷みは10分の1程度になり、修繕の費用は別次元に少なくて済みます。

スパイクレスシューズもありましたが、初級者はグリーンを傷つけにくいのでいいとか、腰が悪い人には歩行しやすくていいとか、用途を絞って選ぶ人が多かった期間が続きました。

令和のゴルフブームで、ゴルフシューズの主役は完全にスパイクレスになりました。その最大の理由は?というゴルフ談義をしていたら、強烈な違和感を覚える意見があったのです。

スパイクレスは履き替える必要がないからいい、という理由には…ちょっと待った!

「やはり家から履いていける気軽さが、スパイクレスシューズが過半数になった要因ですよ」という売り文句でショップはアピールしますが、僕の周囲ではそんな人は見たことがありません。コースに着いてからシューズは履き替えるもので、スパイクレスだから履き替えないでいい、というのは「ちょっと待ってよ!」なのです。

コースの外から汚れや芝生に害がある雑菌を持ち込むからダメなのだ、というのがセオリーですが、実際にはその実害よりも、気持ちの問題が大きいのです。

例えば、学校の上履きをイメージしてください。「面倒だから家から上履きでいいや」「上履きに履き替えなくとも、自分だけならそんなに汚れないだろう」というのは非常識。

玄関で靴を履き替えることで、学び舎に入るという言わば儀式になっていて、気持ちの切り替えが自然にできているのです。もちろん、衛生面でもプラスです。

シューズでスコアアップは本当?レベルが上がるほどシューズは大事

約30年ほど前、新しいシューズでひどい靴擦れを起こしたため、3ホールだけ裸足でゴルフをしたことがあります。

芝生が想像以上にチクチクすること。裸足のほうが歩きづらかったこと(当時は歩きゴルフ)。踏ん張りが効かず飛距離が落ちて、かつ、方向性も不安定になること。少しだけ背が低くなる分、アドレスに違和感があること…いろいろなことに気が付いて、ゴルフシューズに助けられてゴルフをしている現実を知ったのです。

意識していない人も多いと思いますが、ゴルフジュースは全てのストロークに関わっています。飛ばすのも、乗せるのも、寄せるのも、入れるのも、ゴルフシューズ次第でプラスにもマイナスにもなるのです

スパイクレスは、この10年ぐらいで飛躍的に進化し、ゴルフシューズとして本当に優秀になりました。ソフトスパイクも同じです。ゴルファーが歩きやすいように、カートが使いやすいように、疲れにくくなるように、ショットが安定するように、飛距離が出るよう研究して製造して、ゴルファーの意見を聞いて再び研究して、製造して。

スパイクレスもソフトスパイクも、トップレベルのシューズはゴルファーを裏切りません。ゴルフの歴史で、最も優秀なシューズを履いてゴルフができるのは最高です。

どちらを選ぶかは好みの世界

ひと昔前まで、スパイクレスは軽量で履き心地がいいがグリップ力と耐久性は劣るとか、ソフトスパイクはグリップ力があり鋲が交換できるが少し重くソールが固い、などのイメージがありました。

しかし、現在はグリップ力の差はほとんどなく、重さも耐久性も大差ないというのがセオリーになっています。

● 履き心地やテクノロジーを優先するなら、スパイクレス
● スイング中の踏ん張りや安定性を優先するなら、ソフトスパイク

どちらを選ぶかは個別のシューズの機能などを優先すべきで、スパイクレスかソフトスパイクかの違いについてはあまり深く考えなくていいのです。メーカーによっては、同じ機能でスパイクとソフトスパイクがラインアップされています。こうなってくると好みの世界です。

ゴルフシューズ選びでスコアダウンしているのは言語道断だとして、シューズでゴルフライフを充実できることを初めて知ったのだとしたら、足元を見直してみるのが正解です。

ゴルフシューズに不安がなくなれば、それだけでゴルフは何倍も楽しめることだけは間違いありません。

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


【ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

第80回(前回へ) 第82回(次回)を読む

シリーズ一覧へ