ゴルフボールは性能より価格?やっぱり価格より性能優先?見直しのタイミングも気になる
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第89回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
物価の優等生のタマゴとゴルフボールは似ている?
日本人は1人あたり年間で平均300個以上のタマゴを消費しているそうです。まさに、タマゴは国民食と言えます。タマゴは、平成(1989年)から昨年(2022年)まで販売価格が1パック200円前後と変わらなかったことから、“物価の優等生”と呼ばれてきました。2023年、そのタマゴの価格が高騰して話題になりました。
そんな話をしていたら突然、同意を求められました。「タマゴとゴルフボールって似ているよね?」即答できませんでした。
確かに大きさは近いといえば近いですが、形も重さも似ているという範疇に入るのでしょうか。戸惑っている様子を見て、その人は言ったのです。「タマゴは30年以上も価格がが変わらなかったというけれど、ゴルフボールだって30年以上、同じ価格でしょ。ゴルフボールも物価の優等生だよ」
言われてみれば、確かにゴルフボールも価格が変わりません。
ゴルフボールは高すぎる?1個いくらなら納得できる?
今年は値上げしたゴルフボールにもあったようですが、タマゴのように2倍を超えるようなことはありません。
ゴルフをすればするほど、一部の価値観が世間と乖離する傾向があると言われます。ゴルフボールはその代表例として挙げられます。1回打っただけでなくなる可能性があるのにボール1個がワンコインもして、さらに1ダースぐらいは常備するように教えられた初心者は、こう思うそうです。
「これは金持ちの遊びだなぁ。どう考えても、消耗品のボール1個が高すぎる」
中級者と呼ばれるようになると、そんなことを考えていた過去はすっかり忘れてしまって、当たり前のように初心者に「ボールは1ダースは常備してね」なんて指導しているというわけです。価値観というのは環境に大きく影響されるのです。
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「ゴルフボールって、ワンコインで3個ぐらいが適切だよな」
大企業に勤めている同世代(50代後半)のゴルフ仲間が言っているのを聞いて、ビックリしたことがありました。
「ゴルフ歴20年以上経っても、新品のボールはもったいないという気持ちが抜けない。使用するときにプレッシャーがかかる」
ジュニアの頃からゴルフをして、競技ゴルフにどっぷりと漬かっていた僕は当時、自分でお金を払っていなかったので、そういう感覚が欠如していました。それ以上に、ボールがなくなるわけがない、という揺るぎない自信がありました。それに当時の主流だった糸巻き構造のバラタカバーのボールはパワーヒッターの場合、なくさなくとも9ホール程度で寿命がきてしまうものだったので、高いからとか、安いからとかいう感覚が入る隙間がなかったような気がします。
だからというわけではありませんが、自分でボールを購入するようになってからも、高額なボールでも必要だと思えば選択することに抵抗がないのです。
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