ゴルフ場の特別室の使用料が100万円って本当? 昭和・平成・令和の芸能人ゴルフ事情
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第91回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
有名人のゴルフは苦労が多いが昭和の大スターはレベルが違った?
政治家や芸能人などの有名な人たちは、普通にゴルフをしたくともなかなか思い通りに行かないようです。特に人気商売に分類される有名人は、常に人の目を気にしながら好印象を維持しつつゴルフをすることになるので、ストレスが多いのです。
昭和の終わりに、誰も知っているような大スターをゴルフコースで見たことがあって、感心しました。
彼は握手を求められれば握手をして、一緒に写真を撮ってとお願いされても嫌な顔をせずに対応して、求められればスコアカードにもサインをしてファンサービスしていました。練習グリーンにパターを持ってきたのに、結局1回も打たずに、スタート時間になってしまったのを見て、こういう努力をしているから大スターなのだと思ったのです。
「キャディバッグの上げ下ろしはセルフでお願いします」というゴルフ場が増えている本当の理由
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作...
食事中も周りに配慮しファンサービス
さらにすごかったのは、レストランでの対応です。サンドイッチを片手間に食べながらビールを飲みつつ、「配膳するスタッフとぶつかると危ないから、こちらに並んでよ」と群がる人たちの交通整理をして、後半のスタート時間ギリギリまでファンサービスしていたのです。
後でコースの支配人から聞いたのですが、それ以外にも従業員用に色紙に50枚サインをしてくれたそうです。その代わり、プレー代と食事代は無料にしたそうですが、それで貸し借りなしになるバランスなのかは疑問です。本人は「お騒がせして申し訳なかったね。でもね、ファンあっての自分だから」と笑っていたと聞きました。
真逆の対応をするスターも見たことがあります。マネージャーみたいな人が守っていて「プライベートなので。事務所の決まりでサインも写真もできません」とガードしていました。「何だか偉そうで、テレビと違うなぁ」「嫌いになったわ」と評判を落としていましたが、ファン層が違うので問題なかったのかもしれません。
いずれにしても、自由に、かつ、普通にゴルフができないのは可哀想です。
プライベートを守るために特別室は生まれた!
「○○で撮影があるんだけど、近くに特別室があるゴルフコースを知ってる?」業界関係者から聞かれることがあります。
特別室があるゴルフコースは少数ですが、日本中のあちらこちらにあります。色々なパターンがありますが、基本は、ホテルのセミスイートのような個室のことを特別室と呼んでいるのです。着替え、食事、トイレとお風呂、3組ぐらいのパーティーができるスペースというのが、特別室の内容になります。つまり、クラブハウスの機能が一部屋で済むようになっているのです。
特別室までの動線も、一般の来場者と触れることがないようにデザインされていることが多いので、有名人だと騒がれずにゴルフができるのです。
特別室は元々、コースのオーナーが特別な接待用に作ってそれが広まったと言われています。有名なホテル系列のゴルフコースが、お忍び用に各クラブハウスに秘かに設置したことが特別室の業界内の知名度を上げました。
前後の組をお付きのスタッフなどがプレーするようにしてガードすれば、ゴルフをしているところも一般の人には見つからないのです。ボールを曲げて隣のコースに行って遭遇してしまうことがありますが、多くの場合、そんなところで会えるとは思っていないので「アイドルの△△にそっくりな人がいた」で済んでしまうというわけです。
乗用カートは誰が運転すべき?ゴルフ場レストランの上座はどこ?接待ゴルフを成功させる基本マナー
仕事でお世話になっている取引先とのラウンドや、会社の上司や先輩とのプレー。「ゴルフなんだから無礼講でいきましょうよ」...
次ページ:令和の時代にも生まれている特別室の存在意義
次のページ