チタンのAIフェースって、距離感が本当に良くなるのか?

オデッセイは、「AI-ONE MILLED SEVEN T DB パター」を2023年11月3日に発売。同時発売の「AI-ONE パター」と一緒で、パターで初めてAI設計のフェースを採用しているのだ。

ミスヒットしても安定して、芯に当たった速度と限りなく近い速度が出るようなフェースが欲しいというリクエストから、AI設計は始まったという。すぐに素材の提案があり、チタンを使う前提となって最初のプロトタイプができたという。当初使用する予定だったアルミニウムは強度がやわらかすぎて向かなかったが、オデッセイが得意とするウレタンを表面のカバーにする複合フェースにして、2種類のフェースができ上がっていったそうだ。

前者がチタンフェースの「AI-ONE MILLED パター」になり、後者が「AI-ONE パター」になった。

さて、ではいよいよコースで打ってみよう

とはいえ、フェースの裏に凸凹があるだけで夢のような効果が生まれるとは、にわかには信じられないのが当たり前だ。ツアープロにテストを頼んでも、最初は誰もが“?”だったらしい。ところが、実際にグリーンで打ってみると信じられない結果が出るのだ。ツアープロの目の色が変わったという。

パターの歴史が変わってしまう新しいテクノロジーは、徹底した機密扱いで発売直前まで公開されなかった。通常は、発売前に話題になってから発売日が来るように広報するのだが、いかにAIフェースが画期的であるという証拠になっている。その能力が話題になるのは間違いないので、機密を優先したのだ。

「AI-ONE MILLED SEVEN T DB パター」は長い名前であるが、パターのスペックがわかりやすくなっている。順番に、AIフェース、削り出しヘッド、#7の形状、チタンフェース、ダブルベントネックということだ。

1秒でも早くコースで試してみたい!と焦る心を抑えながら、本当にAIフェースはスゴいのか?に注目しながら試打ラウンドに突入した。

「AI-ONE MILLED SEVEN T DB」 を通してAIフェースのスゴさを知り感動した!

「AI-ONE MILLED SEVEN T DB パター」を打ってラウンドして、わかったことを挙げる。

● 打音打感:音量はちょうど良い、硬質で残響ない音質。打ち応えは独特で懐かしさあり。
● 方向性能:ネックの歪みなし。狙いやすく、特にストレートラインに強み。
● 飛距離:ミスヒットでも信じられないほど転がる。直感的な強弱が活かされる。

強烈な印象を残すパターだ。まず、ロングパットのミスヒットには本当に強い。意図的に1センチぐらい外して当てても、少しショートする程度で、今までのようにワンピン以上もショートしたりはしない。

これは画期的だ。ロングパットの距離感が難しい要因の第1位は、ミスヒットでショートするからだ。これが軽減されれば、多くのゴルファーの平均スコアが数打というわかりやすい数字で良くなるはずである。もっとわかりやすく書くと、3パットが減る分スコアが良くなるというわけだ。

他のヘッドも試打したのだが、AIフェースのパターは、ヘッドによってかなり転がりが違うので、自分の好みのヘッドを打つまでは、他のヘッドを打っても参考にしないほうが良い。

ちなみに「AI-ONE MILLED SEVEN T DB パター」は、ぶっ飛ぶような強い転がりのパットにはなりにくい特性があるが、その分打ち熟せばかなり繊細にタッチを合わせることが可能になる。

こんなゴルファーにオススメ

機械的にパットをするのではなく、直感的なインパクトの強弱を大事にしているゴルファーにオススメしたい。

余談になるが、もしもAIを使わずに人間のトライ&エラーだけで同じような構造と機能を持ったフェースを開発するには、20年以上の歳月が必要だと推測できるという。つまり、AIを使うことで、2050年ぐらいの未来のパターが2023年に登場したということだ。書かれていることだけを読んでも、いまいちピンと来ないのは当然だろう。

「AI-ONE MILLED SEVEN T DB パター」をコースで打ったうえで、予言をしたいと思う。2025年の今頃、つまり2年後のパター市場には、ほとんどのパターが裏面に凸凹を有するようになっているであろう。
そう確信してしまうほどに、AIフェースはスゴかった。「AI-ONE MILLED SEVEN T DB パター」はAIフェースを代表する1本である。

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


コースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証
←本間ゴルフの「D1 SPEEDMONSTER」
オデッセイ「Ai-ONE ROSSIE S パター」→

前回へ 次回へ

シリーズ一覧へ