前向きな行動が運を呼び込み努力を惜しまない姿勢が可能性を生む!
実は「誰も書けなかったジャンボ尾崎」の巻末対談で、金子に「伸びる選手とは、どのような選手だと考えますか?」と問われた際、ジャンボは笹生優花を例に挙げ、こう答えている。
ーー「強いて言えば、何事も前向きに考える人間だな。運や縁は、待っていても来ない。自分からきっかけをつかまなければいけないのだ。
例えば、笹生が全米女子オープンの前に、久しぶりに挨拶に来たあと優勝した。(原)英莉花も昨年秋、ヒザを故障して棄権したあと、俺のところに練習に来た。何気なく、見てやったら次の週にいきなり優勝。アカデミーの生徒も、一人だけ練習に来たあと初優勝。
俺が言いたいのは、俺のところに来たから優勝できたわけではなく、前向きな行動が運を呼び込んだんだな。動物は良いことがあると、ずっと同じ行動をするらしいのだ。人間も同じだよ。常に前向きな行動が、運を呼び込むのだ。それが伸びる選手の条件かな」
一方で金子は、伸びない選手の特徴をこう指摘している。
金子の独白 「ジャンボのアドバイスをそのまま受け入れ、自分の感性を殺して、言われるがままに練習を繰り返しても上達は望めないでしょう。ジャンボは、直すべき点の答えは出してくれますが、計算式は教えてくれません。それは自分自身で見つけることなのです。答えが、『2』であっても、計算式は無数にあります。そこを見つけるために努力を惜しまない選手は、きっと自分自身の方程式を見つけて、次のステップに進む可能性があると思います」
ジュニアは答えを自分で見つけよう!
金子は今回の取材の中で、さらにこう付け加えた。
金子の独白 「伸びる選手は、何事も人より前向き。自分から上手くなるために、なんでもする。それによって、運をつかむ回数も増える。100球打つよりも、1000球打つ方が、それだけ気づきがあるように」。
金子は西郷真央がジャンボアカデミーの門をたたいた当時のことを、鮮明に記憶している。
金子の独白 「せごどん(西郷の愛称)は、ジャンボアカデミーの一期生だと記憶しています。あまり目立つタイプではありませんでしたが、黙々と練習する姿は、その意志の強さを感じさせました。練習中も、あまりおしゃべりをすることもなく、自分の世界に入り込んでいましたね」。
ジュニアへの指導法についてはジャンボが相談役を務める「ジャンボスポーツソリューション」の公式ウェブサイトの中で自らこう語っている。
ーー「(前略)ジュニア育成については、難しく考える必要性はないと考えています。基本をしっかり教えてあげること。技術的なことは徐々に学べば問題ありません。成長期であるジュニアの大きな体の変化を考慮し、その誤差を見分けてやることが重要。早く上手くさせようと、期待しすぎて周囲が過度な期待をかける環境は負担になります。先ずは『ゴルフ=スポーツ』として捉え、明るく楽しめる環境をつくり、必要な練習を的確にプランニングしなければいけません。そしてスポーツなら当然、成長するもしないも本人の感性次第です(後略)」
基本を大事にして、成長期であるジュニアの体の変化を見極めながらスイングを作っていく。ベースになる考え方として、金子も強調したのが「心技体」ではなく、「体」が最優先される「体技心」。その真意を、金子は著書の中でも、再録している。金子自身がハードなトレーニングの中で聞いた「ジャンボの教え」だ。
「強靭な体力がなければ、技術力を高めるハードな練習はできない。高度な技術力がなければ、強い精神力は生まれない」。身体を作り、技を磨いてこそ、強い精神力も身に着くという考え方だ。
金子の独白 「ジャンボから原選手への指導方法は非常にシンプルです。それは原選手が自分(ジャンボ)の言っていることを解釈可能だと考えているからです。スイングよりも球筋を意識させる練習が多いですね。『良い球を打てるのが良いスイング』という考え方は、原点ともいえますから」。
連載を締めくくる最後の言葉として、金子はこういった。
金子の独白 「(尾崎)直道さんも言ってたけれど『結局自分で理論を造らなければ、何の役にも立たない』という言葉。ジュニアの指導も、自分で考える力を養わせることが最も重要だと考えているんだと思う」。
答えを自分で見つけるからこそ、自分のものになる。これこそジュニアたちが肝に銘じるべき「ジャンボの教えだ。
金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。




