「Ai SMOKE」ドライバーはどこに当たっても飛ぶ!? 100万以上のスイングデータを元にした進化とは?
ついに「ヒト」のスイングデータ25万人分をインプット!AIは第2世代へ~米国本社のAI開発担当者が語った秘話~
ギア効果や慣性モーメントにたよらなくても、AIのフェースがボールの「矛先」を補正してくれる
今年は「10K」というフレーズとともに慣性モーメントが10000グラム・cm2を超えるドライバーが話題になっている。
しかし、「Ai SMOKE」の話を聞くと、キャロウェイは慣性モーメント競争の一歩先の次元に到達していた。
フェースが右を向いてインパクトしたときは、左方向のエネルギーを加えることで、ストレート弾道に
前作の「パラダイム」はヘッド後方にしかウェイトがなかったが、「Ai SMOKE MAX」はソール前方にウェイトを装着したことで打ち出し角を高くしつつ、スピン量を抑えた。
世界中の25万人のスイングデータをインプットして完成させた「Ai SMOKE」。どんなスイングでミスヒットしても、マイクロディフレクションの効果によって曲がり幅を抑えてくれるというが、インパクトの瞬間にフェースはどのような動きをしているのか。
ここからはキャロウェイの開発研究部門(R&D)でウッドカテゴリーを担当するクリス・ヌンツ氏に話を聞いた。
「わかりやすく説明すると、ミスヒットした瞬間にフェースが方向性を補正して、曲がり幅を軽減する絶妙な角度にたわんでいます。それを我々はマイクロディフレクションと呼んでいます。
例えば、インパクトでフェースが開いて当たったとき、ボールは右方向に飛びます。その際に、ギア効果によってドロー回転がかかるので少し戻ってくるというのが今までの常識でした。『Ai SMOKE』の場合、インパクトでフェースが開いて当たった瞬間にボールに伝わるエネルギーの矛先を変えています。
右に飛び出すインパクトの場合は、フェースのたわみによって左方向に飛ぶエネルギーをボールに加えることができます。だから打ち出す方向がストレートに近くなり、サイドスピンも減る。ギア効果にたよることなくフェアウェイにボールを運べるのです」
あらためて「Ai SMOKE」のフェースを見ると、バルジやロールの角度が小さく、平面的な「顔」をしている。試作の段階ではさらにバルジやロールが少ないプロトタイプもテストしていたそうだ。さらにクリス氏は慣性モーメントについても興味深い話をしてくれた。
「そもそも慣性モーメントを大きくするのはミスヒットしたときのヘッドのブレを抑えるためです。ヘッドがブレないことで、フェースが開いたり・閉じたりしにくくなり、曲がり幅を抑えることができるという理論です。しかし、『Ai SMOKE』はフェースのテクノロジーだけでボールの曲がり幅を抑えることができ、打ち出し角もサイドスピンも適正化できています。だから、極端に慣性モーメントを上げる必要がありません」
実際に打球の着弾範囲を調べると「Ai SMOKE MAX」は前作よりも約10%、「Ai SMOKE トリプルダイヤモンド」では約30%も打球の幅が狭くなった。さらに、クリス氏は慣性モーメントを大きくすることにはデメリットもあると教えてくれた。
「慣性モーメントを大きくすることで寛容性が高くなることは間違いありません。しかし、デメリットも2つあります。まず慣性モーメントを上げるためには、ヘッドを限界まで大きくしないといけないので、スイング中の空気抵抗が大きくなって、ヘッドスピードが上がりにくくなってしまう。
さらに、慣性モーメント10000グラム・cm2以上にするためには、ヘッドの後方部にかなりのウェイトを装着することになります。ウェイトをつければ重心が深くなって、打球は上がりやすくなるでしょう。しかし重心が後ろにあるとバックスピンが増えてしまい、ボールスピードは失われてしまう」
「Ai SMOKE ドライバー」最速試打計測!“弾道を補正”するAIスマートフェースの真偽を確かめた!
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そもそも、キャロウェイがゴルフクラブの開発でAIを活用した最大の目的はボールスピードと飛距離を伸ばすことだった。クリス氏は、
「2019年の『エピック フラッシュ』ではAIを使ったことで、間違いなくボールスピードが上がることが証明できました。そこから会社全体がAIによる開発をサポートしてくれてスーパーコンピューターも大幅にアップグレードできました。『Ai SMOKE』においても飛距離を追求するというスタンスを変えることはありません」
キャロウェイがAIを使った最初のドライバーを発売してから約5年。今回、はじめてドライバーの製品名に「Ai」という名称をつけたことも、キャロウェイが本当にAIを使ってやりたかったテクノロジーが実現できた証ではないだろうか。ちなみに「Ai SMOKE」が完成するまでに25万人分、100万以上のスイングデータをインプットしたAIはスーパーコンピューター上で5万回以上の設計とテストを繰り返してきた。前作「パラダイム」の発売から1年しか経っていないが、そこには人間の常識では考えられない進化が秘められている。
創業以来、キャロウェイの開発哲学になっている「明らかに優れていて、その違いを楽しむことができる(DSPD)」。それはAIの時代にも継承されている。
「日本人ゴルファーのリアルなデータも、もちろん数多くインプットされています」
Callaway Golf
R&D
マネージャー
クリス・ヌンツ/Chris Nunez
PARADYM Ai SMOKEシリーズ
PARADYM Ai SMOKE MAX
幅広いゴルファーにマッチするスタンダードモデル
SPEC
●ヘッド体積/460㎤
●ロフト角/9.0、10.5、12度
●クラブ長/45.5インチ
●クラブ総重量/305グラム(TENSEI 50 for Callaway-S)
●シャフト/TENSEI 50 for Callawayなど
●価格/9万6800円
PARADYM Ai SMOKE MAX D
適度につかまるドローバイアス&高弾道
SPEC
●ヘッド体積/460cm³
●ロフト角/9.0、10.5、12度
●クラブ長/45.5インチ
●クラブ総重量/305グラム(TENSEI 50 for Callaway-S)
●シャフト/TENSEI 50 for Callawayなど
●価格/9万6800円
PARADYM Ai SMOKE MAX FAST
ヘッドスピードアップにつながる日本人好みの軽量モデル!
SPEC
●ヘッド体積/460
●ロフト角/9.5、10.5、12度
●クラブ長/45.75インチ
●クラブ総重量/275グラム(TENSEI 40 for Callaway-S)
●シャフト/TENSEI 40 for Callaway
●価格/9万6800円
PARADYM Ai SMOKE トリプルダイヤモンド
アスリート好みの顔と操作性。歴代モデルで最もやさしい
SPEC
●ヘッド体積/450cm³
●ロフト角/8.0、9.0、10.5度
●クラブ長/45.5インチ
●クラブ総重量/312グラム(TENSEI 60 for Callaway-S)
●シャフト/TENSEI 60 for Callawayなど
●価格/9万6800円
History/Callaway×AI
2009/開発部門にスーパーコンピューターを導入
2016/インパクト時のボールの挙動をAIで初分析。アイアンフェースをAIで試作
2017/ドライバー開発の試作に初めてAIを使用
2018/スーパーコンピューターをアップグレード
2019/世界初となるAIを使ったゴルフクラブ、「エピック フラッシュ」を発売
2020/スーパーコンピューターをアップグレードし、打ち出し角の適正化に成功
2021/リアルなゴルファーのスイングをインプットすることを本格的に検討
2022/スイングデータをインプットしたドライバーの試作品が完成
2023/「パラダイム」では着弾範囲の左右ブレを抑えるフェースに
2024/25万人分のスイングデータを入力した「パラダイム Ai SMOKE」が誕生
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