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フォロースイングで左ヒジをたたむ理由とメリットとは?

ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強い自分流の作り方』【第1回】

2024/05/11 ゴルフトゥデイ 編集部

ホーガン先生

ホーガンが著書『モダン・ゴルフ』で説いたのはたった5つの基本動作にすぎない。体型や体力に合わせてこの基本にアレンジを加え、“自分流”を編み出した名手は数多くいる。そのメソッドを読み解き“ホーガン流”の理解を深めよう。

GOLF TODAY本誌 No.623 47~51ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫

スナップ動作を促す左サイドのリードと張り

グリップエンドをグッと引きつける

サイドスローのイメージで右サイドを動かすだけでは、上手くパワーがヘッドに伝わらない。左サイドでグリップエンドを引き込むたぐり動作でヘッドがしっかり走るようになる。

右足内側への踏み込みと、右ヒジを下げて引きつける動作は、ホーガン流のサイドスローのイメージとシンクロする。
右足内側への踏み込みと、右ヒジを下げて引きつける動作は、ホーガン流のサイドスローのイメージとシンクロする。

たぐり動作は左サイドの〝張り〟を意識

野球のサイドスローのイメージを、スイングの基本に置いたホーガン。だが、ゴルフではクラブヘッドが手元より離れているため、振り遅れる動きにもなりやすい。

「そのため、スナップ動作を重視すべきですが、これを右手の力主体で行おうとすると、力みやコネる悪い動きを誘発します。だから、左サイドでのたぐり動作で支援するのです」と森プロ。

還暦を過ぎてもシニアツアーで活躍を続けるベルンハルト・ランガーのスイングは、たぐり動作のメリハリがとても明確だという。

「相変わらず精度の高いアイアンショットを駆使していますが、動きはシンプル。ダウンでは右ヒジのタックインと右足の内側への踏み込みでサイドスローの動きを促し、インパクトに向けて左サイドに瞬間的に〝張り感〟を持たせることでグリップエンドを上手くたぐり込み、ヘッドをレベル軌道で走らせています」

ヘッドを振り抜く方向のイメージを持つ

たぐり動作では、ヘッドを振り抜く方向を飛球線寄りにするか、体のターンに馴染ませるかでグリップエンドの引き付け方が変わってくる。
たぐり動作では、ヘッドを振り抜く方向を飛球線寄りにするか、体のターンに馴染ませるかでグリップエンドの引き付け方が変わってくる。
左肩は若干上がるが、左首筋に詰まり感がないランガー。グリップエンドを“引き上げる”のではなく“引きつけている”のがわかる。
左肩は若干上がるが、左首筋に詰まり感がないランガー。グリップエンドを“引き上げる”のではなく“引きつけている”のがわかる。

左腕のローリングで低く引きつけたホーガン

よりフラットな軌道で振り下ろしたホーガンは、グリップエンドを引き上げず、左腰方向に左腕のローリングでたぐり込んでいた。
よりフラットな軌道で振り下ろしたホーガンは、グリップエンドを引き上げず、左腰方向に左腕のローリングでたぐり込んでいた。

故障を避けるヒント/左のヒジとヒザの脱力で振り抜く

ヘッドの慣性=勢いを緩やかに収束させる

左ヒジを下げるようにたたむと、左腰も浮かず、右腕のサイドスローの動きを妨げずにスムーズに振り抜ける。
左ヒジを下げるようにたたむと、左腰も浮かず、右腕のサイドスローの動きを妨げずにスムーズに振り抜ける。

左腕を短く使ってクラブの動きに従う

「ホーガンも同様ですが、フォローでは左腕を短く使うことでヘッドを丸く振り抜くと、身体に余計な負荷がかからず、故障を防ぐことができます」
「ホーガンも同様ですが、フォローでは左腕を短く使うことでヘッドを丸く振り抜くと、身体に余計な負荷がかからず、故障を防ぐことができます」
左腕を伸ばしたままのフォロー(左)と左ヒジを緩めてたたんだフォロー(右)ではヘッドの運動量が違う。身体に余計な負担をかけず、シニアで活躍するプロは圧倒的に後者が多い。
左腕を伸ばしたままのフォロー(左)と左ヒジを緩めてたたんだフォロー(右)ではヘッドの運動量が違う。身体に余計な負担をかけず、シニアで活躍するプロは圧倒的に後者が多い。

大フォローより円軌道のほうが身体にやさしい

「張りのあるインパクトを求めると、そのまま両腕と肩の三角形をキープするイメージで大きく振り抜くプロもいますが、身体の負担を考えるとあまりオススメではありません」

フォローで頑張っても、打球には影響がない。力むだけ無駄に消耗したり、故障の原因になるだけ、と森プロ。

「ホーガン、ランガーもそうですが、フレッド・カプルスなどもシニアで飛ばし屋を続けていられるのは、左サイド、左腕の脱力が上手いからです。

ヘッドを走らせる秘訣であるスナップ動作は、左手の緩急、メリハリが効くほど効率よく機能します。ランガーの場合、若い頃はまだフォローで硬さ感がありましたが、シニア以降どんどん無駄が削ぎ落されている印象です。フォローではクラブの動きに従うだけ、フィニッシュは惰性で行けるだけ。この脱力は学ぶべきです」

フォローで上体を起こすことが多いランガー。左ヒジのたたみ、左サイドの脱力で右サイドの解放がスムーズできている証拠だ。
フォローで上体を起こすことが多いランガー。左ヒジのたたみ、左サイドの脱力で右サイドの解放がスムーズできている証拠だ。

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

森 守洋

ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。

ホーガンアナリスト 森 守洋


【アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方】
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