「完走」をめざすための措置
この措置は、悪天候などで定められたホール数(今大会は54ホール)を消化することが難しいと判断された時に「完走」をめざすために実施されます。プレーできなかった選手には、それぞれの順位に応じて最終日にプレーしたのと同じポイントと賞金が与えられます。
予選カットに加えて本来はない2度目のカットをするためにこう呼ばれ、かつては日本のゴルフの歴史を変えたこともありました。
「セカンドカット」が日本のゴルフの歴史を変えた
「セカンドカット」は今年3月の「Vポイント×ENEOSゴルフトーナメント」や昨シーズンの「リシャール・ミル ヨネックスレディス」でも実施されています。
そして、日本のゴルフの歴史を変えたのが、2007年の男子ツアー「マンシングウェアオープンKSBカップ」でした。
大会は初日が悪天候で中止となり、金土の2日間で予選ラウンドが行われました。規定の72ホールを消化するには日曜日の最終日に2ラウンド(36ホール)することが必要。予選を通過したのは50位タイまでの62人でしたが、全員を2ラウンドさせると日没に間に合わない可能性があったため、「セカンドカット」で決勝ラウンドをプレーするのは33位タイまでの41人、となりました。
この時、第2ラウンドを終えて首位と7打差の21位タイにいたの高校1年生のアマチュア、石川遼です。最終日は朝6時20分スタートの第3ラウンドは69で4打差の9位に浮上。そして最終ラウンドは7バーディー、1ボギーの66。ツアー初出場の15歳が見事に逆転で優勝しました。ぎこちなさがあったインタビューでの表情から「ハニカミ王子」と呼ばれるようになったその後の活躍は改めて説明するまでもないでしょう。
「ハニカミ王子」は誕生していなかったかも?
たら、れば、になってしまいますが、ホール数を短縮して最終日は予選通過者全員で18ホールのみ、となっていたら石川遼が7打差を逆転していた可能性は限りなく低かったでしょう。
当時は宮里藍、横峯さくららが活躍した女子ゴルフの絶頂期でしたので、「男子ツアーで高校生のアマチュアが頑張った」ことは話題にもならなかったかもしれません。即プロ転向もできなかったわけですから、社会現象になったほどのフィーバーは起きていなかったでしょう。
規定の72ホール消化にこだわったからこそ、時代が変わるほどのことが起きたわけです。
短縮によるドラマも
一方で、プレーが出来ないほどの悪天候で競技を短縮して大会終了となることもあります。
その結果として今年3月の「アクサレディス」で臼井麗香が。昨年7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」では小滝水音が初優勝を挙げました。
さらに青木瀬令奈、永井花奈、森田理香子、諸見里しのぶといった選手も初優勝は短縮になった大会でした。
天候に大きく左右されるゴルフだけにセカンドカットや短縮といった措置が取られるのは致し方ない面があります。その結果として予想もしなかったドラマが起きるのもゴルフならではといえるのかもしれません。
(文・森伊知郎)




