一番飛ぶのは何センチ? ドライバーのティアップの高さで飛距離はどのくらい変わる?
吉本巧のゴルフギア教室 第19回
アイアンで高さを出したい時、ティを高めにすることありますよね? じゃあ、ドライバーの飛距離を伸びるティの高さもあるのでは? ゴルフのメカニズムに精通したコーチ・吉本巧がギア目線から森羅万象を解説する企画。今回は「ティの高さ」についてです。
写真/ゴルフサプリ編集部
打点とスイングタイプによってベストマッチの高さは変わる
ドライバーのティアップ、どれくらいの高さが一番飛ぶのでしょうか? 結論から言うと、プレーヤーのインパクト時の打点と、どういったスイングをするかによってベストマッチの高さは変わります。「高すぎたり、低すぎると怖い」といったメンタル的な影響もありますが、そこまでいくとプレーヤー個々の問題になるので、ここでは打点によるスピン量の違いとスイングタイプの2点にスポットを当ててお話しします。まずは、今の自分のティアップの高さ、打点の傾向(フェースのどこにボールが当たりやすいか)とスイングタイプ(アッパーブローかレベルブローか)を思い浮かべ、内容と照らし合わせながら読み進んでください。
最初は打点。これはフェースのどこでボールを打てば一番飛ぶのかということに関連します。フェース面のどこで打つかにより、ボールにはさまざまな影響が生じますが、今回は最も影響するスピン量の観点から分析します。
フェース面には芯があります。芯から上方に大きく外れ、クラウン部近くに当たるとボールが上がって距離が出ません。いわゆるテンプラで、フェース面の上方にボールの下半分が当たる感じです。逆に、芯から下方に外れてソールに近い部分に当たると、ボールが上がらず、すぐに着弾して距離が出ません。ライナー性の打球になったり、最悪チョロになる。いずれにしてもフェースの芯を大きく外すとまったく飛びません。
これらに対してフェースの芯のちょっと上、もしくはちょっと下で打った場合にはどういった球が出るのでしょうか。スピン量をもとに考えてみましょう。まず芯のちょっと上、芯の大きさがボール1個分だとしたら、ボール半個分ほど上に当たるとスピン量が減ります。逆にボール半個分ほど下で打つと、芯で打った時よりスピン量が多くなります。もちろん、クラブによって大小の違いはありますが、打点がわずか上下にズレるだけでスピン量が変わるのです。
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なぜスピン量が変わるかというと、クラブがそうできているから。ギア効果と呼ばれるものが効いて、芯を外した時になるべく飛距離ロスが出ないようになっているのです。
打点が上にズレると打球が上がります。打ち負けてロフト角が大きくなるためです。その極みがテンプラでボールが上がっておしまい。つまり、上がりすぎてしまうと飛ばないので、スピン量を減らす方向にギア効果が作用します。芯より下に当たった場合も打ち負けますが、こちらはロフトが立つ格好になります。すると弾道は低くなる。これまた「いかん!」ということで、低くなりすぎない方向にギア効果が働き、スピン量を増やしてボールを上げようとするわけです。
いずれにせよ、芯の少し上に当たるとスピン量が減り、少し下に当たるとスピン量が増えます。ですから、スピン量が多すぎ、ボールが吹け上がって飛ばない人なら、打点を少し上にしてスピン量を減らせばいい。すなわちティの高さを少し高くして打点を上げればいいのです。反対に、スピン量が少なすぎて打球が失速して飛ばない人は、スピン量を増やせばいい。打点が芯より低くなるとスピン量は増えますから、ティアップの高さを低くしてスピンが入りやすくすればいいのです。
スイングタイプによって適したティの高さがある?
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