短く持ってミート率が上がるなら最初からそうすればいい
前々回から紹介しているクラブの“短・重・硬”化。僕がこれに取り組んでいるのは、一般アマチュアゴルファーのクラブ選びにも大きく影響するからです。レッスンの場ではアマチュアの方のクラブをたくさん見る機会がありますが、やはり“長・軽・軟”のクラブを使っている人が圧倒的に多く、“短・重・硬”を使っている人は皆無です。
とりわけ女性ゴルファーは顕著で、“長・軽・軟”一辺倒。“短・軽・軟”もありますが、いずれにしても、みなさん打ちづらそうにしています。それを見て、試しに80グラム台のスチールシャフト(NS850)を8番アイアンに入れ、短く持って何人かに打っていただいたところ、みんな普通に打てました。女性でもそれくらいのクラブを打てるパワーはあるんです。でも、男性に比べるとドンピシャで合うクラブのレンジが狭いので、合わせるのが難しいのだと思います。
男性の場合、クラブがちょっとくらい合ってなくても合わせて打てちゃいますし、男性の方が広い選択肢からクラブを選べるので、間違いが少ないのだとも言えるでしょう。それに比べると女性のシャフトは、L、A、もしくはシニア用くらいしか選択肢がないと思われています。そう考えると、“短・重・硬”化について僕が知識を高めたり経験を増やすことで、アマチュアの方にもっと適切なアドバイスができると考えている次第です。
クラブの“短・重・硬”化は、自分のクラブを短く持って打つことが出発点。それで何かが変わるかどうかです。プロは中途半端な距離を打つ時、クラブを短く持ってコントロールすると言います。でも、アマチュアの方がこれを真似をすると、思った以上に飛んでしまうことがあります。短く持つことでミートできるからです。そもそも長すぎるので、短く持つことで適正になったとも考えられますが、いずれにしても、ほとんどのアマチュアゴルファーはこの事実を知っています。なのに、なぜ短く持たないのでしょう? そころからさらに短く持てば必ず距離は落ちるわけで、プロはそうやって距離を調整しているのです。
例えばグリップの長さを目安にして、グリップエンド目一杯のところを持つのが一番長く、シャフト側ギリギリのところを持つのが一番短いとすれば、その真ん中もあります。よほど手の大きな人はその限りではありませんが、「長い、短い、真ん中」の3つがあって、真ん中を持つことを常態化すれば、短く持つことも比較的すんなり受け入れられるんじゃないかと思います。
1インチ短くするだけで70グラム台のシャフトが心地よく振れる
スイングへの影響で最も大きいのは、シンプルにクラブがモノとして扱いやすくなることです。長いモノは多かれ少なかれ持て余します。重い部分が手元から遠いほど、シャフトがあらぬ方向にしなったり、違う方向に行こうとするからです。短く持てば、そうはなりづらいので当てやすい。これを否定する人はいないでしょう。
そう見ると、アマチュアゴルファーはプロより難しいクラブを使っているかもしれません。ローリー・マキロイのドライバーは44インチです。マキロイは体力があるから44インチでも飛ばせるというのが一般論ですが、自分にとって振りやすく扱いやすい長さのクラブだから、という前提があっての話なのかもしれません。ただし、みなさんが今持っているクラブを単純に短くすると軽くて短くなり、前述した女性ゴルファーが使っている難しいクラブになりかねないので、いかに重くするかも大事になります。
クラブを“短・重・硬”化する場合、一番わかりやすいのはドライバーですが、実際どれくらいの長さにすればいいか? 僕が思うに、ほどんどの人は長いものに慣れてしまっているので44~44.5インチくらいでいいと思います。ロフトはちょっと寝ている方がいい。可変式なら10.5度を12度にする。もちろん12度のヘッドでもOKです。もうちょっとあってもいいですが、ロフトが寝たクラブは基本的に軽いため13度くらいまでが限度かでしょう。
重さについて言うと、僕が設えた44インチのドライバーには70グラム台のシャフトが付いています。ちなみに、そのクラブでスイングしたアマチュアの方は、誰一人「重い」と言いません。僕は60グラム台のシャフトを使っていましたが、10グラム増えて70グラム台になっても、わずか1インチ短いだけで振り心地がまるで別物になります。カーボンの1インチなんて1グラム程度だと思いますが、なぜかみんな振りやすいと言うのです。
こんな例もあります。テンプラするのでドライバーが苦手という痩せ身で非力な方のドライバーに、重めのレディス用シャフトをつけたのですが、それでもテンプラする。そこで重すぎるかもしれないと思いつつ、70グラム台のシャフトにしたところ、打ててテンプラもなくなりました。短く重くしたわけですが、自分とヘッドとの距離ってすごく大きくて、ちょっと変わるだけでウンと扱いやすさが変わる。おまけにクラブスピードも上がった。テンプラにビビらず思い切りよく振れるようになったせいもあって飛距離もアップしました。
僕がおすすめした中で「短く持っても何ひとつ変わらない」という人は、今のところ一人もおらず、みんながみんな振りやすいと感じています。一時的にヘッドスピードは落ちますが、振れるようになるのですぐ元に戻ります。重くて硬いですが、それを振るべく体が動きはじめるのです。そうなると“長・軽・軟”より“短・重・硬”の方が飛びます。当たりやすいのですから当然です。手前味噌ですが、僕は最近スマッシュファクター(ミート率)がすごくよくなっています。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。




