視野が広がる34インチ、なんとなく構えやすい33インチ。パターの長さは難しく考えないほうが吉?
石井良介のゴルフ・すべらない話:第36回
石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話。今回は、自分に合うパターの長さについてのお話です。
写真/ゴルフサプリ編集部
操作性がいいのは33インチ。フィールやイメージが出やすい
市販されているパターの長さは33インチか34インチ。「1インチの違いで何が変わるの?」と疑問に思っている人も多いでしょう。もちろん、身長や腕の長さに対応するためという理由はありますが、それならもっと種類があっていいはずです。それはさておき、僕の場合、短いパターと長いパターを両使いしていて、通常は33インチを使っています。といっても、シャフトを切らずにヘッドを接着して、自分が構えやすいところでカットしていますから、厳密に言うと33コンマ何インチです。
僕には悪いクセがあって、ラウンド中に大事なパットが続くと構えが小さくなり、ボールに寄ってしまう傾向があります。それを予防する、あるいはパットが不調で気分転換したい時に、お助け的な意味合いで中尺パターを持っていきます。普段使っているAi-ONEのロッシーは、タッチがバリバリに合うとロングパットがガンガン入るんですが、小さく構えたり、動きが悪くなる時があるので、そんな時は中尺パターにして体を起こして大きいストロークができるようにしているわけです。また、気持ちがネガティブになったり、ナーバスな時も、いい意味で鈍感になるために中尺を用いています。
やはりパットはフィールやイメージに依存するところが大きい。ラインやボールスピードを想像してコントロールしながら打つので、操作できるパターがいいと思います。僕の場合は短いパターの方が操作しやすいということですね。
話を33インチか34インチかに戻しましょう。実は僕はロッシーを2本持っています。前述したスチールシャフトの33インチをすごく気に入って使っていましたが、興味本位で34インチも買ってみたんです。
ところが34インチは全然別物でした。1インチ長いだけなのに、振りづらい、動かしづらい、扱いづらい。動かしたいところにヘッドが動かず、自分が思っているところに打てませんでした。何度か試してみましたがダメなので、33インチのカーボンシャフトに入れ替えて2本体制にしています。グリップも同じなのでシャフト以外は一緒です。ちなみにシャフトは「LA」というブランドで、試しに入れたらフィーリングが良かった。いまはこれを一番信用していて人にも貸さないパターです。
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体を起こして大きく構え視野を広げたければ34インチもあり
僕の場合は中尺ですが、長いパターのメリットは体が起こせること。適正な長さは身長や腕の長さにもよるので、闇雲に長くするのはどうかと思いますが、34インチでもそれなりに構えは大きくなります。体が起きると視界が広がります。また、小さく構えると肺が圧迫されて呼吸が浅くなって良くないと言われ、34インチを使っていた時期もあります。呼吸について真偽のほどはよくわかりませんが、1インチ長いだけでも体は起きますから効果はあると思います。
僕が33インチを使っているのは、何となく構えやすくて結果が出たからで、数字に固執しているわけではありません。正直、自分のパターの正確な長さも、バランスも、総重量も知りません。パターは好きですが、数字をきれいに揃えようという概念はないんです。うまくいかない時に数字を揃えてみたこともありますが、あまり意味がありませんでした。数字が揃っていると気持ち良く打てるというメリットはあるかもしれませんが、僕はそこじゃない気がする。例えば、その場で転がると思ったらロフト寝かせる、転がらなければ立てる、とやるだけ。鉛を貼るのも打ちやすくするためで、数値は目標にしていません。打ちやすさありきで、たまたま数値が揃っていたなら、それはそれでいいと思いますが、揃っていなくても問題はありませんから。
ロッシーと中尺の他に、一応ピン型のブレードタイプも手元に置いてあります。これは自分のフィールを呼び起こしたい時に使います。感じが出ない時はシャープなパター、疲弊している時にはファジーなパター、という使い方もします。パターはたくさんあるので何もなければロッシーを使いますが、何か起きたらパターを見ながら選んで、これら以外のものに換えることもあります。
もちろん、速いグリーン、遅いグリーンにも対応しないといけません。1本のパターで対応できる器用な人ならいいですが、残念ながら僕にはそれができないので、重いグリーンはよく転がるパター、速いグリーンは普通のパターといった使い方もします。ただ、そうするにしても、どちらかに基軸を置く必要があると思います。僕は基本的に速いグリーンに基軸を置き、それ用のパターを持っていて、遅いグリーンの時に対応できるものも持っていくようにしています。自分がメインとしているグリーンに対してちょうどいいパターと、そうではないグリーン用のパターを用意した方がいいということですね。
ツアープロには、コーライグリーンとベントグリーンで換えている人もいましたし、器用じゃないから換えられないという人もいます。僕からすると、器用だからこそ1本のパターでやっていけるのではと思うのですが。やり方はひとつではありませんからひとそれぞれでいいですが、長さや形状を含めて非常時にスクランブル態勢が取れるようなパターを2~3本持っている方が病んだりしないと思います。1本で根を詰めることなく時々気分転換もできますからね。
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石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。