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メジャーVが竹田麗央の海外進出の追い風になる? 「最強女子」の今後を考察してみた
日本最強の女子プロゴルファーになりつつある竹田。その目はすでに世界へ向いている。
「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」は竹田麗央が大会史上最少ストロークタイ記録となる通算19アンダーで優勝した。念願のメジャー初勝利を沖縄の喜瀬カントリークラブで挙げたことは、近い将来の海外進出に向けて大きな意味を持つ。
開催コースは日本初採用の「21世紀の芝」
大会が開催された喜瀬CCは、芝がフェアウェイ、グリーンとも「シーショアパスパラム」という品種でした。
ベントや高麗とも違う聞きなれない名前ですが、塩害に強い。バミューダグラスに比べて少ない散水や日射量で大丈夫、などの特徴からアメリカでは「21世紀の芝」として注目されています。
ゴルフ場で塩害、といってもピンとこないかもしれませんが、猛烈なハリケーンは海水を吸い上げて地上に降らせ、海に近いと芝が枯れてしまうなどのダメージを負うことがあります。
2021年には全米ゴルフ協会(USGA)が「高速グリーンにする際にはバミューダに及ばないが、十分に代替種に成り得る」とのレポートを発表しました。アメリカでは今後の主流となっていく可能性は十分です。
実際に2016年のリオ五輪のために新設されたコースはこの「シーショアパスパラム」でした。
喜瀬CCはこの芝を日本のゴルフ場で初めて採用。リオ五輪前には日本代表候補の選手が練習に来ていました。
見事な対応力を見せた竹田
竹田は開幕前に「ラフの芝とかが強いので、注意したい」と話していました。
今シーズンの「リカバリー率」(パーオンを逃したホールでパー以下のスコアで上がれる確率)を見ると69.7% で10位。無双、ともいえる成績からすると意外な順位です。
それが喜瀬CCでは失敗したのは最終日の10番ホールだけで成功が8回。「リカバリー率」でいうと88.9%でした。
今年は海外メジャー4試合を経験して「向こうの芝だったりすごく勉強になったので、もっと上手くなるように頑張りたい」とも話しましたが、喜瀬CCの芝にしっかり対応できていたのは海外進出に向けて明るい材料です。
メジャーVの3年シードは「有効期間10年」
「メジャー優勝による3年シード」も海外進出には大きな後押しになります。
前週までに5勝を挙げている竹田ですが、これによって確定していたシードは来季の1年のみです。
竹田は海外進出の時期を明言していませんが、例えば来年アメリカに行って日本での試合場合が限られた場合、普通の試合で勝って得られるシードは「翌年の1年」のみ有効なので、日本で試合に出た際に勝つかそれに近い成績を収めないと、再来年の日本での「職場」がなくなる可能性もありました。
今年LIVゴルフに参戦している男子の香妻陣一朗が必死で「KBCオーガスタ」に勝ったのは、この理由です。
それがメジャー優勝で得た「3年シード」は、獲得の翌年から10年以内なら好きなタイミングで行使できるメリットがあります。
アメリカなどに主戦場を移した後で日本に戻る気になった時、2034年のシーズンまでならそこからさらに3年は出場資格が保証されるので気持ち的にかなり楽です。
本人も「3年シードが取れたことで、すごく挑戦がしやすくなった」と言っていたのは、このためでしょう。
2018年以前は「獲得の翌年から3年」でした。それだと“有効期間”は2027年のシーズンまででしたが、ルール改正により海外進出がよりしやすくなりました。
「年間女王」にもなればシードは5年に
ちなみにメジャー優勝して年間女王にもなると長期シードは「5年」に増えます。
今の勢いからすると、それも達成しそうですね
(取材・文/森伊知郎)
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