御殿場コースを国際水準に! その際、松山がこだわったのは……

「アジア太平洋アマチュア」2010&11年大会の優勝者で、御殿場コースで開催される「三井住友VISA太平洋マスターズ」でも2度優勝している(2011&16年)松山は、2018年のコース改修の際に「監修」を務めました。

「国際水準のトーナメントコースに」をコンセプトに、マスタープランを作成したのは「全米オープン」や「全米プロ」開催コースの改造を数多く手がけたリース・ジョーンズ氏。
プランでは8番パー4のフェアウェイにあるモチノキを伐採することが提案されました。

コースで唯一バンカーがなく、最後に左に曲がるレイアウト。フルバックから447ヤードのパー4は、ツアーでは中継ホールではないのでご存知ない方も多いかもしれません。

「あの木がないと平凡なホールになってしまう」

伐採されそうになったのはティーイングエリアから約350ヤード。グリーンまで65ヤードの地点にあるモチノキ。これをなくして、2グリーン時代にもうひとつのグリーンがあった場所にグリーンを復活させて距離を長くすることが提案されました。
これに異を唱えたのが松山です。

ジョーンズ氏と太平洋クラブの韓俊社長との“三者会談”で「8番はあの木があるからこそ戦略性が高まる。それをなくしたら平凡なパー4になってしまう」と意見したことが尊重され、伐採されることはなくなりました。

このモチノキがあることで、ティショットを飛ばし過ぎるとグリーンが狙いにくくなり、刻むと2打目の距離が長くなります。
また2打目でモチノキを避けてグリーン左の「コレクションエリア」に外してしまうと難しいアプローチが残ることに。

こうした条件を考慮して、ティショットを正確なポジションに運ぶことが要求されます。

通常営業ではパー5が、パー4に設定されたホールより難しい

最終日は平均スコア4.35で難易度が全体の2番目。バーディ3人に対してボギーは17人。ダブルボギーより多くなりました。

平均スコア4.42の難易度1位は、通常営業ではパー5がパー4になった6番なので、ある意味当然ですが、同じく普段はパー5がパー4になった11番(平均4.34)より難易度が高くなりました。

トップ10の11人だけ見てもボギー3人とダボもひとりいて、難しかったことがわかります。

「マスターズ」に行きたければ……

一方で3位の中野らトップ3は全員がパーセーブ。4日間で誰もボギーを叩かず、通算スコアは全員がアンダーでした。

松山の思いが込められたホールに、主催者のオーガスタナショナルGCとR&Aが決めたピンポジションとセッティングには「マスターズと全英オープンに行きたければ、ここを4日間アンダーで回れるスキルとマネジメント力を持ち合わせなさい」との意図が含まれていたのでしょうか。最後まで優勝を争っていたのは、この“課題”をクリアした3人でした。

ゴルフ場にある木は「その全てに意味がある」とも言われます。
もし太平洋クラブ御殿場コースでの試合を現地で観戦したり、プレーする機会があったら、8番ホールでこのモチノキを見上げて松山の思いを感じ取れば、一層面白みが増すはずです。

(取材・文/森伊知郎)