パター選びは直感だけに頼っちゃダメ!自分好みの『見え方・長さ・角度』の微調整にこだわろう
ゴルフライターT島が切り込む!フィッティングショップだから分かるゴルフギア最新事情/第163回
吊るしのパターを購入して、そのまま使って問題がなければめちゃくちゃラッキー!? 人の感性は十人十色で千差万別。じっくり考えてみたら「見え方」「長さ」「距離感」「打感」などなど、気になるところが見えてくるかも? パターにとって重要な“微調整”についてT島氏と大蔵ゴルフスタジオのフィッター・金子氏が語り合います。
かつてピン型は”やさしいパター”だった
T島 最近、ピンのPLDアンサー2を使っているT島です。
金子 ピン型ですか? 珍しいですね。
T島 現代では、マレットやネオマレットタイプのパターがやさしいと言われております。しかし!実はピン型というのはやさしいパターの代表だったんですよ。
金子 トゥヒールバランスにして慣性モーメントを増やしたパター……たしかに、やさしいパターですよね。
T島 ピンのアンサーの最初のモデルは1966年に生まれました。当時はL字パターやキャッシュインなどいろいろなパターがあったんですけど、ピンの創業者カーステン・ソルンハイムさんは、パターに悩んでガレージでシコシコ自作。そこから会社を起こしピンを創業したのです。
金子 カーステン・ソルんハイムさん、すごいですよね。スコッティ・キャメロンのほうが有名になっちゃいましたけど。
T島 こらこら!ピン型パターは特許を取っていたのですが、1984年にその特許が切れて、いろいろなメーカーさんから“ピン型”のパターが発売されております。オリジナルはピンなんだけどね。
金子 ピンは鋳造技術を用い、精度の高い製品を大量生産してコスパの良いクラブを作ったんですよね。パターもアイアンも!
T島 そうですね。当時は精度を高くするためにロストワックス製法(鋳造)を用いておりました。精度を高めるべくインゴット(金属の塊)から削り出した“ピン型パター”で人気になったのが、スコッティ・キャメロンです。
金子 キャメロンは、たしかに見た目も高級感がありますし、精度も高いです。
T島 精度が高ければ3パットしないのか?と言われれば、それは残念ながら……
金子 ……T島さん!それはまた別の問題です(笑)。でも、精度が高いと信頼感は湧きますよ!
T島 そうだね。日本人は精度高い!と言われるとありがたい感じを持ちやすいです。大事なことなので繰り返します。ピン型って難しい印象を持つ人が多いですが、ミスヒットには強いですよ。
金子 はい。ヘッドの幅が狭く、ブレードタイプなので、難しいイメージを持つ人が多いみたいですけど。
T島 はい。ピン型を使っていると“難しいの使ってるね〜”とか、毒を盛りに来る人がいますけど、スルーでOKです。
見た目、転がり、打感などなど。自分なりのパターを選ぶ基準、ある?
金子 T島さんなりのパターを選ぶ基準ってあるんですか?
T島 俺のパターの師匠は、カスタムメイドのパターメーカー「GOLD’S FACTORY」の佐々家氏なんです。いろいろ教えてもらったんだけどね。すごい要素が多くって。結局たどり着いたのが、ターゲットに向かって構えやすいと感じる形状。そして距離感が合うこと。最後にアドレスに入りやすい。モジモジしないパターがいいな。
金子 なるほど、形状って大切ですよね。ターゲット方向を意識させるラインが長いほうが好きな人はマレットやネオマレット。2ボールなんかもそうですよね。でも、そうしたパターが苦手という人も少なくない。他にも、ターゲットラインに対して垂直な線(フェースラインなど)が欲しいと言う人もいますね。
T島 縦も横もいらない!ボーッと構えたい!と言う人も、聞いてみると意外と多いです。
金子 ところでT島さんの言う距離感は、打感とか打音のことですか? それともストロークしやすいか?
T島 打感のほう!T島はしっかりした打感が好きです。打音もしっかりするほうが好き。だけど、逆に柔らかいのが好きと言う人も多いし、音も大きいと合わないと言う人も多い。パターは好みで分かれることが多いですよね。
金子 ストロークのしやすさについては? フェースバランスやL字だと重心角が違います。私はストロークタイプとヘッドの重さといった要素が気になります。
T島 まず、ヘッドが重い=慣性モーメントが大きい、です。これはドライバーの10Kなどでも説明していますけど、パターも同じです。ただ重すぎると動かしにくくなります。そして軽すぎると安定して動かしにくい。なので距離感が合わない時は、ヘッドの重さが原因かもしれませんよ?
金子 パターのロフト角もとっても大切です。あまり知られていませんが、ロフト角で距離感が変わることもあります。
T島 インサートが樹脂などのやわらかいものは『ロフト角を殺しちゃう』って、佐々家氏に言われました。つまり、柔らかい分ロフト角が減るんですね。ですから、フェース素材やフェース形状、インサートの形状も大切だったりします。パターも結局、『どれぐらいキャリーを出してそこからどう転がすか』だそうです。だから、ロフト角が距離感と関わってくる、と。
金子 なるほど、そうなるとロフト角を大きくすることで得られる効果を期待するには、フェース素材が樹脂インサートではないパターを選ぶ必要がありますね。
T島 まあ、“ロフト角を謳っている”パターは、ちゃんとそのへんは外していないですよ。
“いつものグリップ”を決めるのも良いですよ
金子 T島さんの“アドレスに入りやすい。モジモジしないパター”っていうのは、ヘッドの見え方とか、パターの長さとかで合ってます?
T島 はい。パターの長さはとっても大切。ピンは長さを調整できるパターを発売していたけど、1本買って試行錯誤するとシックリくる長さに出会えますよ!
金子 グリップの太さも大切じゃないですか? T島さんは、パター買ったらすぐ“いつもの”グリップに変えますよね。
T島 そう。いつものグリップがあると話は早いです。
金子 グリップにはたくさんのバリエーションがありますから、いろいろ試してみると良いと思うんです。
T島 スコッティ・キャメロンなんかは、グリップを変えちゃうと中古の買取査定が下がっちゃいますので要注意ですけどね。
金子 売ることを前提に買ってる人、T島さんぐらいです。
T島 スイマセン。それと調整できる幅はパターのネック形状によって違うんだけど、ライ角やフェース向き、ロフト角などもネック調整することができます。T島はいつもフィッター金子に曲げてもらっています。
金子 T島さん、足で踏んで曲げたりしていますけど(笑)
T島 良い子は真似しないでください。でも“吊るし”のパターを買って、それがピッタリってことが意外と少ないのよ。微調整するとピタッと構えられるパターになったりします。パターのシャフト重量もとっても大切。実はパター用シャフトっていろいろと種類があるのよ。
金子 T島さんは、“惜しいな、なんか違うなぁ”って感じるパターを持ってきて、調整していますよね。
T島 微調整はとっても大切なのですよ。あとは先入観を持たずに、心地よく打てるパターを探してほしいですね。ミスヒットには弱いかもしれないけど、L字パターって意外とやさしいと感じる人が少なくないかもしれません。ピン型もそうだし、センターシャフトも!いろいろ試してください。
金子 はい。先週のライ角の話ですが、パターにも当てはまりますよね。
T島 そうだね。気に入っているパターは決して手放さないこと。そして、気に入っているのと、対局にあるようなパターにも挑戦してみる。いろいろやってみる。すると自分の好きなパターが具体的にわかってきます。
金子 大蔵ゴルフスタジオでは、皆さんの試行錯誤にお付き合いしております!
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T島氏のプロフィール
ゴルフ関連のライター、動画撮影編集、ブロガー、フォトグラファー、YouTuber的な(笑)、いろいろやってます。ゴルフ、クルマ、カメラ、音楽、映画、ガジェット、が好きです。以前は、店舗の運営、出店、立て直しを25年やってましたが、何故かこんな仕事をしています。
大蔵ゴルフスタジオ
上記動画はT島氏が特派員ブログを勤めている東京都世田谷にあります大蔵ゴルフスタジオの説明。大蔵ゴルフスタジオ世田谷のクラブフィッティングの流れを説明しています。
取材協力/大蔵ゴルフスタジオ世田谷
住所:〒156-0053 東京都世田谷区桜3-24-1 オークラランドゴルフ練習場内
営業時間:11:00〜19:00
定休日:毎週月曜日
TEL:03-6413-9272
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