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ZOZOチャンピオンシップのパー4で「8」を打ったシャウフェレに学ぶ「後悔しない決断」

石井良介のゴルフ・すべらない話:第49回

2024/11/06 ゴルフサプリ編集部

「ZOZOチャンピオンシップ」の第1ラウンドで悲劇に見舞われたザンダー・シャウフェレ。舞台となったのは、506ヤード、左ドッグレッグのパー4。左に曲げたティーショットが林に入り、ボールは木の根元に止まった。そこで2度の空振り(!)、救済を受けて5打目にしてようやく脱出できたものの……結局このホールはクワドラプルボギー「+4」となった。今季、メジャー2勝のトッププロになぜこのようなことが起こるのか。石井良介が振り返る。
撮影/相田克己

もう一度同じ状況になっても同じことをやるくらいの選択をする

ティショットを失敗したあと、2打目で取り返そうと3番ウッド(以下3W)を振り回していませんか? 常識で考えれば、一番打ちやすいティアップという状況で失敗したばかりの人が、ラフから3Wなんて打てるわけがないのですが、残念ながらそこまで思いが至らない人が後を断ちません。

ラウンド中、プレーヤーのバロメーターは上下します。いいタイミングとテンポでスイングできている時間帯と、なぜかミスしてしまう時間帯があります。後者の時に3Wで1ヤードでも距離を稼ごうと無理をすると、さらにスイングが悪くなって負のスパイラルにハマっていきます。そうなったら赤信号。最悪は心がキレて「今日は練習。スコアはどうでもいいや」という感じになってしまいます。

諦めたことでスコアがよくなる人もいますが、求めていることを自分がやりたい時にできるようになるのが上達するということ。諦めた末に持ち直したスコアは、次に出そうと思って出るものではありません。

ラウンド中は自分のスイングとメンタルのバロメーターを見て、いかに上向きになるチョイスをするかが大事。この見極めができるようになれば、ティショットをミスしても3Wではなくユーティリティや7番アイアンで立て直そうという気持ちになり、スイングも上昇過程に誘導することができます。

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これはレベルを問わず誰にも言えること。プロでも120打つ人でも変わりません。先月のZOZO選手権でザンダー・シャウフェレがパー4で8を打ったのは記憶に新しいところですが、僕はたまたまシャウフェレのおじさんとLINE交換をしていたので、あの時の彼のチョイスについて聞いてみました。

すると、あの状況はとても難しかったけれど、ZOZOは予選落ちがない大会。ワンペナでボギー確定にするか、ワンチャンスに賭けてパーをとるか天秤にかけたということ。予選落ちがあれば無茶はしなかったけれど、そうじゃないのに無抵抗でパーを捨てるのは嫌だったから寄せワンを狙ったというわけです。

でも、打ったらボールが1ミリも動かなかった。おじさん曰く、問題はその次の一打で、あれはちょっと頭に血が上ったそうです。1回目は丁寧に確認や素振りをしたのに、2回目は随分あっさり打ったなと思ったら、案の定また1ミリも動かなかった。そうなったら本人は笑うしかなく「ああ、やっちゃった」で8になったということでした。

メジャーチャンピオンの金メダリストでさえ、頭に血が上って不用意なミスをすることがあります。ただ、アマチュアゴルファーと違うのは1回目に難しさをしっかり認識し、冷静に判断してチョイスしたところ。2回目は想定外で結果は8でしたが、1回目のチョイスは後で思い返しても納得いくものだったと思います。

シャウフェレ,ザンダー

このようなミスは僕もやらかしています。先日パー5でティショットを打ったあと、セカンドの3Wの当たりが悪く、ちょっとコスって右のラフに入れました。その2ホール後にティショットを刻みたいホールがきて、そこで3Wの失敗を思い出したんです。どうしようか考えたのですが、結局3Wを使って同じミスをしました。ひどいミスではなかったものの、嫌な感じがよぎったんだからチョイスを変えればよかったのに、ちょっと意固地になって次はイケると思ってしまったのです。

だからと言って、迷ったらクラブを替えるべき、とも言い切れません。結局、答えは誰にもわからない。大事なのはただ一つ、あとで振り返った時に、自分が納得できる決断をできたかどうかです。

言い換えれば後悔しないチョイス。もう一度同じ状況になっても同じことをやる、それくらいの選択をすることです。簡単ではありませんが、アマチュアの方はすぐに頭に血が上り、ムキになるパターンがあまりに多い。失敗した時には翻って考え方や設計図自体が間違っていなかったかまで考えてほしい。状況にそぐわないことをやろうとした結果、スイングが悪くなってしまうこともよくあるからです。例えば6番アイアンで無理にグリーンを狙うより、8番やPWで出した方がスイングが悪くならない、ということがよくある。どちらかといえば、そんなマネジメントをした方が1日の流れもよくなると思います。

石井良介

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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