「試合で競い合うことが大事。その場を提供したかった」

自身の名前を冠した「丸山茂樹ジュニアファンデーション」では2000年から子供たちにゴルフの楽しさを知ってもらうためのイベントを行っており、2010年からは大会を開催するようになり、今回が第32回となりました。
ジュニアの大会をやる理由について丸山は「競い合う場を提供したかったんです。他の選手と戦う場所がたくさんあれば試合慣れしてメンタルも向上するし、技術的に足りない部分はやっぱり試合しゃないとわからないですから」と言います。

月例などの競技ゴルフを経験したことのある方ならわかると思いますが、普段いいスコアを出せるコースでも、試合(競技)の緊張感などの中では思わぬ大叩きをしたりするものです。
将来プロをめざすようなジュニアがこれでは困ります。
「やっぱり試合で競い合うことが大事です。試合でないラウンドでいくらいいスコアを出しても、ブルペンピッチャーみたいなものですから。プライベートでよくても試合じゃダメ、というのは、女子の場合だとプロテストであからさまに出たりするでしょうし」と丸山は言います。
日本の女子ツアーは、プロテストに合格しないとQT(予選会)を受けることができません。
そのプレッシャーに負けて実力があるはずの選手が不合格、となるケースが珍しくないので、早いうちから緊張感のあるゴルフに慣れてもらおう、というわけです。

「無料、のコンセプトは一生変えない」

世の中には多くのジュニア大会がありますが、出場には参加費やプレー代の出費が伴うことがほとんどです。
それが「丸山ジュニア」では全て無料。「このコンセプトは一生変えないつもり」と言います。
これには自身が小さい頃ゴルフ場に行くと嫌味を言われたりした経験からきています。
「丸山茂樹の試合はお金かからないから行ってきなさいよ、と言ってくれる親御さんが増えてくれたら嬉しいし、子供たちもお金のことを忘れて伸び伸びとやってほしいです」(丸山)。
とはいえ開催コースへのプレー代などの支払いは発生します。
それをまかなうのは自身やマネジメント会社の人脈によるスポンサーの協力あってこそ。
「この大会のことを知ってもらえて、ウチも同じようにやってみようか、というスポンサーや大会がひとつでも出てきてくれればうれしいですね」。

この努力と心意気に感謝しているジュニアや保護者は多いはずですが「感謝してほしいとか思ってない。自己満足ですよ」とサラリと言います。

自身のツアー参戦については

ところで自身の「プロゴルファー」としての活動はどうなのでしょう。

男子のレギュラーツアーは「生涯獲得賞金25位以内」の権利を行使することでシーズンの出場資格を得られます。
丸山は昨シーズン終了時点で25位。26位の岩田寛が57万5429円差に迫ってきており、行使するのは今年が事実上ラストチャンスでした。
しかし「僕が出ることで若い選手のスポットをひとつ奪ってしまうようなことはしない」と行使しませんでした。
シニアでも年間を通して試合に出る、というよりも何試合かのスポット参戦となりそうです。

自身のジュニア大会で若い芽を育てる一方で、昨年のパリ五輪では日本代表監督として松山英樹の銅メダル獲得をサポート。選手としての露出は減ったとはいえ、ゴルフ界には欠かせない存在といえそうです。

(取材・文/森伊知郎)