重量アップで初速アップからの飛距離アップ。お財布にやさしいゴルフクラブの「3UPチューンナップ」
鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第60回

ドライバーの飛距離を伸ばすには、ボール初速を上げるのが最も効果的と言われる。だからといってクラブをそっくり買い替えるのは、リスクといえばリスクだしお財布の事情もあるから避けたい。もっと手っ取り早く初速をUPさせる方法ってあるんですか? カリスマフィッターの鹿又さんに聞いてみた。
ヘッドを重くして上手く打てたら、初速は少し上がる

「重ヘッドで飛ばす」と謳ったピン「G20」ドライバー。ヘッド重量は201g、当時のドライバーヘッドとしては最重量クラスだった。
ボール初速を上げるには「スクエアなインパクトをしてほしい」という前提があります。そのスクエアなインパクトをする条件で、ボール初速を上げる方法は2つあります。今回は、できるだけお金をかけないで、初速アップが叶う方法を考えてみました。
一つは、ヘッドを重くすること。ヘッドが重くなって、同じスピードで同じインパクトができたら、衝突エネルギーが大きくなるぶんボール初速は上がります。以前にピンやグローブライドが「“重ヘッド”で飛ばす」という言い方をしていたくらいですからね。
ただ、ヘッドの重さというのは、直接的にスゴい影響があるわけではありません。それでも、ヘッドを重くして上手く打ったら、ボール初速はほんの少し上がります。
“太・重グリップ”を入れて上手く打ったら15ヤードUP
次に効くのは、グリップを太くすることです。一般的にいえば、グリップを太くすると重くなるもの。
グリップを太くして重くすると何が起こるかっていうと、切り返したときにヘッドが遅れやすくなります。その遅れたヘッドをインパクトにかけて戻そうとすると、勝手にHSが上がるということです。
以前に実験したことがありますが、スタンダードのグリップとジャンボサイズのグリップで打ち比べると、真っすぐ打ったときの差でいえば15ヤードくらい変わりました。もちろん、後者のほうが飛びました。ボール初速にすると、だいたい4~5m/sくらい変わった感じです。

従来と同じ感覚で打つと、振り遅れて右に行きやすい
何も変えずにボール初速を上げて飛ばそうとしたときにやる手立ての一つとして「カウンターバランス」(クラブの手元側に重量を配分して、スイングウェイトを軽くする)もあるでしょう。ということはグリップを太くするのは、ある意味で効果的だとは思います。
たとえばゴルフプライドのラインナップで言うと「スタンダード」「ミッドサイズ」「ジャンボ」というサイズ違いがあるグリップもあります。それから、ブライソン・デシャンボー選手が使ってるような極太グリップ(ジャンボマックス)もあったり。あくまでも「市販で手に入るグリップで太いモノ」と考えればいいでしょう。
その代わり注意してほしいのは、そういうクラブを今までと同じ感覚で打つと、振り遅れるぶん球が右に行きやすくなります。遅れたヘッドを戻そうとして戻ったときに、HSが上がるということなので。
グリップを太くするにしてもヘッドを重くするにしても、そういう工夫をして飛距離を伸ばそうとしたときに、必ず方向性は犠牲にならざるを得ません。そこは踏まえて試してみてくださいね。

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鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。