「10K」のクラブが助けてくれるのは打点のブレ、 フェースの開きは助けてくれない!
最新ドライバー選びのツボは 軸周り慣性モーメント!

大慣性モーメントは曲がらないはずなのに方向が定まらない。大型ヘッドはどうしても苦手。どちらの悩みも、その原因は軸周り慣性モーメントにあった。
「慣性モーメントが大きいから曲がらない」 この謳い文句には前提条件がある
最新ドライバーは10Kブーム。慣性モーメント(以下、MOI)が大きいから曲がらずにしかも飛ぶというのが売りだ。ところが、歌い文句通りの結果を得られている人もいれば「そんなことはない、曲がるじゃないか」という人もいる。それは「大MOIが曲がらない」という言葉には「インパクトのフェース向きが概ねスクエアならば」と言う前提が隠れているからなんです。

2016年から2024年までの8年間ほど、ギアライターの他にシャフトフィッティングのフィッターを務めさせていただいた。フィッティングにいらした方の中には「大型ヘッドが苦手」と言う人がいて、2016年から2021年ごろまでは10人中2~3人、その後は徐々に減っているものの今でも10人中1人~2人いると実感している。
「大MOIなのに方向が定まらない」「大型ヘッドが苦手」と言う人は、スイングと軸周りMOIの相性に問題がある。

軸周りMOIが大きいと、スイング中にフェースが開閉する動き(フェースローテーション)がゆっくりになり、軸周りMOIが小さいとフェースは“クルッと”動くようになる。要するに、軸周りMOIが大きいと、ゴルファーが能動的に「フェースを返しにくく」、小さいと能動的に「フェースを返しやすく」なる。

球を打つ本人はフェースを返そうとしているのに、思い通りにフェースが返らずにインパクトのフェースの向きが狂うと、打球の行方が定まらなくなってしまう。しかし、計測データを見ながらシャフトフィッティングをさせていただいた経験では、打った球が目標から左右にズレるのは、スイング軌道の狂いが原因と考えている方が多い。でも、実際は、打点が概ねスイートエリアに収まっていれば、ボールが飛んで行くのはインパクトでフェースが向いていた方向。だから、右へのミスが多い人はインパクトでフェースが右を向いている、左へのミスが多い人はインパクトでフェースが左を向いているということなんです。


図を見ていただけば、スクエアにインパクトすることの重要性が分かるはずです。ましてや、今のドライバーはスイートエリアが広くミスヒットにはめっぽう強いので、多少打点がブレようが、ヘッド軌道がブレようが、インパクトのフェース向きがスクエアならば、OBなんて出ないはずなんです。
10年ほど前、ゴルフトゥデイでドライバーの特集記事を書く際に、クラブメーカー時代の先輩を訪ね「ドライバーのタイプ別分類を考えているのだが、何かいい分類法がないか知恵を貸して欲しい」と相談した。私の中では「重心角」「重心高さ」「MOI」あたりが指標になるのではと考えていたところ、速答されたのが「軸周りMOIと重心角の組み合わせ」だった。
この先輩、杉山公平氏はクラブメーカーを退職後、二木ゴルフでクラブの分析とクラブの知識やフィッティングを社員に指導する職に就いていた。ちなみに同社内では「ドクター スギ」の愛称で呼ばれている。
「狙った所に飛ばせるクラブがいいクラブ」なのだから、スクエアにインパクト出来るクラブを見つけるには、つかまえやすさの指標となる「軸周りMOI」とつかまりやすさの指標となる「重心角」での分類がいいとのこと。話を聞いて納得し、その後もプロの試打評価と分類結果が一致することでさらに納得した。以来、ゴルフトゥデイのドライバー特集ではドクター スギにご協力いただき、この方法でドライバーを分類している。

二木ゴルフでは2010年頃から、この方法で分類を行いフィッティングに活用している。過去のモデルから最新モデルまで資料として蓄積されているから、今使っているドライバーのタイプから、どのタイプに替えれば良いかを基にドライバー選びが出来る。軸周りMOIが気になる方は、同社のフィッティングを受けるといいだろう。ちなみに、4月5日発売のゴルフトゥデイ5月号には、この方法による2025モデルドライバーの分類チャートを掲載する予定。
文・大塚賢二(ゴルフギアライター)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。有名シャフトメーカーのシャフトフィッターとしての経験も持つ。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。

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